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俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
ダンジョンマスター編
126/132

第四関門・アラン②



 「ふははははははは!!!!」



 「≪あははははははは!!!!≫」



 主人公とアラン。 限りなく神に近しい二人の全力戦闘の余波は、空間すら軋ませるほどのものだった。 それを近くで見ているニコルとミウの結界も、ニコルが居なかったら今頃崩壊しているだろう。



 「………すごいね」



 「……………。」



 唖然としているミウの表情とは反して、ニコルは何か思案するような表情をしている。



 「後少しじゃな」



 「ん? ニコちゃん何か言った?」



 笑顔を見せながらボソッと呟いたニコルの言葉は、激しい戦闘音のせいか、ミウには聞こえていなかった。 なお、ここで話しておけば後からミウのお仕置きを喰らうことにならなかったが、この時点では分かっていないのでしょうがない。


 それでは視点を主人公とアランに戻そう。











 「≪やっぱりおかしいですよねアランさんの鎧。 攻撃が全く通りませんよ?≫」



 目にも止まらぬ攻防をしながらも、ラフィスのサポートがあるからか、主人公には話す余裕があった。



 「お前が言うなよ。 この槌にしたって神造級の武器ではあるんだぞ? 生身で受けて無傷はおかしいだろうが」



 確かに。 青白いオーラを纏った白騎士とも呼べるアランの本気装備に、ほぼ生身の状態で五分に戦っている主人公が言えたことではない。 そんな会話をしながらも、アランが振り下ろした槌に合わせて、主人公はアランの顔面に貫手を放つ。



 「≪うそぉ……≫」



 「甘いな。 これでも1000年間負け無しの装備だぜ?」



 主人公の貫手は鎧にすら達することなく、アランの装備が纏っているオーラによって止められた。 そして一瞬硬直した……してしまった主人公は、返しに腹部に全力の拳を喰らう。



 「≪がっ はっ んぐぅ……さ、流石はアランさんですね≫」



 「お、やっと一発良いのが入ったみたいだな?」



 受け身を取る前にアランの権能の領域に叩きつけられた主人公は、腹部に刺すような痛みを感じながらも、顔には笑みを浮かべていた。 アランも主人公の様子を見て、笑みを浮かべるが、ダメージ自体に大したことが無いのは内緒だ。



 「≪さて、一発貰ってしまったことですし、こちらもやり返しましょうか≫」



 「……ククッ」



 アランが思わず笑い声を零してしまったのにも理由がある。 主人公の構えは両の手を顔の前に持ってきて、半身になって腰を落とす構え。 初めて主人公から攻撃をもらった時と同じ構えだった。



 「前と同じ攻撃は通用しないぞっ!!」



 そう言いつつ、アランは焼き直しの様に槌…ハンマーを振り下ろした。 アランはここから主人公は体の力を敢えて抜いて攻撃を受けながすと思っていたのだろう。


 が、この構えの真骨頂はそこではない。 前の主人公は戦闘の“せ”の字も知らなかったため、どこかの漫画で見た方法を取ったが、主人公も異世界と言う場で学んでいるのだ。



 「≪せぁっっ!!≫」



 「ぬぐっっ!?」



 主人公は振り下ろしたハンマーを紙一重で避けると、アランの懐に潜ってボディブローを叩き込んだ。



 ………スタイルにもよるが、主人公の構えは体重移動に重きを置いた構え。 つまりは相手の攻撃を躱しつつ、相手にだけ攻撃を与えるのが目的の構えだ。 前回の流れを気にし過ぎたアランは顔面の守りに気を取られ、腹部のオーラが薄かったのだろう。



 「くっくっく……はははははははは!!!! ごぽっ がほっ……ふぅぅ…合格だな!!!!」



 主人公の攻撃を喰らって仰け反ったアランの鎧は腹部の部分が欠けていた。 笑いながら欠損部に手を当てたアランは、血反吐を吐きながらも主人公に笑みを向けた。



 「≪はぁぁぁ………俺の勝ち? ですかね」



 「あぁ。 ほれ鍵だ。 今回は俺が負けちまったが、いつかは制限なしの全力で戦おうぜ」



 なんとか勝利を収めた主人公は、気が抜けたのかその場に座りこんだ。 アランは座っている主人公に鍵を手渡すと、直ぐに壁へと消えていった。 腹部にもらった攻撃が痛すぎて、主人公の前で悶えたくなかったから急いだんじゃないぞ。 ……ないぞ?











 「ものすごい戦いだったね!!」



 「よう勝てたの」



 アランが壁に消えてすぐにニコルとミウが駆け寄ってきたのを横目に、主人公は後ろに倒れた。



 「「!?」」



 「あぁぁぁぁ!!!! 勝てたぁぁぁぁ!!!!」



 二人が驚くのも束の間、主人公は大声を出しながらも、目には少しだけ涙を浮かべていた。



 「ふふっ、良かったのお。 無事に勝利出来て」



 「だね~~~!!!!」



 「わぷっ!?」



 ミウに飛びつかれてわちゃわちゃしながらも、最終戦に向けて主人公は顔をキリリと引き締めた。




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