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俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
ダンジョンマスター編
125/132

第四関門・アラン



 「後はアランさんだな」



 「ここを突破すれば原初のダンジョンマスターの正体が分かるわけじゃが」



 「正直もう分かってるから帰ってもいいとか言ってみたり?」



 主人公たちの前にはおそらく最後の関門になるであろうアランがいる扉があった。 第三関門までが意外と楽に抜けられたからか、主人公たちは割と余裕を持った表情をしている。



 「ここまで来て帰る……ありだな」



 「なしじゃ!!」



 「いてっ」



 顎に手を当てながら真顔でボケた主人公の頭に平手を叩きつけたニコルだった。



 「ほれ、入るのじゃ!!」



 「「は~い」 あ、それ引き扉だな」



 「………。」



 主人公たちを引っ張っていった関係で扉を押したニコルは引き扉というトラップに引っかかった。 手をついた流れでニコルが無言で殴りつけた扉は拳の形に凹んだが、また後でアランが地に伏せるぐらいだから放置でいいだろう。


 余談だが、殴りつけた時の轟音で中からアランの驚いた声が聞こえた気がした。



 「は、入ろうか?」



 「も、物に当たっちゃ駄目だよニコちゃん!?」



 「誰のせいじゃ!?」



 全く以てその通りである。


 そんな会話をしながら扉を開けた主人公だったが、扉が曲がっていたのか開けるときに少しだけ力がいったのは心の中にしまっていてもらおう。



 「ん? アランさん? どうしました?」



 「お? ツクルか!? こんな格好で悪いが、壁の傍からは離れた方が良い!! ダンジョンが揺れるなんて何か起こったかもしれん!!」



 中に入ると、大量の武器が部屋のあちこちに散乱している中心に、アランが周りを警戒しながら構えていた。 そしてアランの話を聞いて心当りがある神様が一人…というか一柱。



 「「………ニコル(ニコちゃん)。」」



 「……我がやったのじゃ。 足を絡ませてこけた拍子に扉を殴ってしもうての」



 「………………はぁぁぁぁ……驚かせやがって」



 アランは警戒を解いたが、主人公とミウはナチュラルに嘘をついたニコルに視線を送る。 なお、視線を送られたところでガン無視だが。



 「戦い前に少しだけ待っててくれ、一つ持ってくるものがあるからな」



 「……? 了解です」



 そのまま戦闘が始まるのかとも思ったが、一度アランは壁の中に入って行った。 それを見てまたまた目を輝かせる二人が居たが、残念ながらニコルとミウは原初のダンジョンのダンジョンモンスターではないのだ。 諦めろ。






 「お待たせっと。 そこの女児二人はこれを持っておいてくれ。 俺とツクルの戦闘に巻き込まれちゃたまらんからな」



 「誰が女児じゃ」



 「立派はレディーだよ!! それでこれは何?」



 レディーと言う割には玩具に興味津々のようだが、まあミウだからしょうがないだろう。



 「一定時間結界を張るだけの魔道具だな。 それとついでに説明するが、俺とツクルが戦ったところで不毛な戦いになるのは明らかだ。 だから条件を一つだけ。 その魔道具の効果が切れるまでに俺に一つでも傷を付けたらツクルの勝ち。 付けれなかったら俺の勝ち。 これでどうだ?」



 「……了解です」



 主人公は少し考えながらも、その条件を了承した。






 「よし。 それじゃあ始めるか!! この部屋に落ちている武器はなんでも使用可能だ!! ツクルも武器が壊れた時には存分に使え!!」



 「ふぅぅぅぅ。 了解ですっ!!」



 ニコルとミウを部屋の隅に行かせ、主人公とアランは互いに向き合った。



 「……これで魔道具付けなかったらどうするんだろうね」



 「流石にそれはやめてやるのじゃ」



 少々茶々が入ったが、ニコルが二人の魔道具を動かし、結界が張られたと同時に主人公とアランは動き出した。











 「この世界に来た時振りか? 俺たちが戦うのは」



 アランはそう話しかけながらも主人公に向かって近づく。



 「そうですね。 あの時はアランさんの勝ちってことでいいんですかね? 俺は倒れちゃいましたし」



 それと同時に主人公も歩き出し、互いの攻撃圏にまで足を踏み入れた。



 「つっても俺も戦いの“た”の字も知らない相手に暴走したんだ。 引き分けみたいなもんだろ」



 「ふふっ、そうですか? それじゃあ」



 「ああ」



 「「決着を付けるか(付けましょうか)」」



 同時に放たれた二人の拳が正面衝突をし、部屋の中に衝撃波が伝わった。 そうして部屋の軋む音を聞きながら、二人の戦闘は始まりを迎えた。



 「いいんですか? 権能を使わなくて」



 先手を取ったのは主人公だった。 早送りかの如く進む戦闘の中、落ちている武器をアランの方に蹴り飛ばし、一瞬の隙を作ったと同時に、アランの右頬に向かって拳を放つ。



 「お前が言うなよ。 纏い?だったか? 使わなくていいのか?」



 パシッという小気味良い音を響かせながら、アランは受け止めた拳を引き寄せ、主人公を壁に叩きつけようとする。



 「おっと。 あぶなっ。 しょうがないですね~そこまで言うなら使ってあげないこともないですよ~?」



 空中で体を器用にひねり、壁を蹴って着地した主人公は、アランに向かって少々の煽り口調で言い放つ。



 「そうか? それなら俺も使ってやらないこともないこともないな」



 対してアランも満面の笑みで言い返すと、



 「「はっはっはっ(あはははははは) ぶっ潰す」」



 「【権能:闘神】」



 「≪纏い≫」



 全力の戦闘が始まった。




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