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俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
ダンジョンマスター編
122/132

第一関門・カルテ



 「まさか扉で苦戦する侵入者がいるなんて思わなかったわ」



 「言われとるよの、ツクル」



 「だってよ、兄さん」



 「………ノーコメントで」



 原初のダンジョンの攻略をいざ始めるところで扉を開けることが出来なかった主人公は、敵対者であるはずのカルテに扉を開けてもらい、3人からジト目で見られていた。



 「どうしてくれるのよ、せっかく格好いいポーズで待ち構えて居たのに。 戦う気が失せるじゃないの」



 と、言うと、カルテは円形の部屋の中心に立ち直し、(自称)格好いいポーズを決めた。



 「学園長、流石に遅いです」



 「誰のせいよ」



 「………。」



 もう一度だけジト目で主人公の方を見たカルテは、ため息をつきながら質問する。



 「はぁ…で? どうするの? 一応私が受け持っている階層のモンスターも用意してあるけど、学園での様子を見る限り…というか見なくても、ツクル君たちにとっては意味がないことは分かるわ」



 「ということは?」



 まどろっこしい言い方をせずに結論だけ教えてくれとでも言うかのように、主人公は続きを催促する。



 「最初の階層は私だけが相手になるわ」



 「「「えぇ~~~」」」



 「そこは次の階層へ、と言うところじゃないかの?」



 「流石に怒られるわよ」



 「じゃあしょうがないね!!」



 上司には逆らえないんやで。 たとえ負けると分かっていても戦わなければいけない時があるのだ。



 「それじゃあかかってきなさい。 遊んであげるわ」



 カルテは背後に大量の魔法を召喚しながら、煽るように手をこまねいた。 そこだけ見ると、珍しく格好いい学園長だった。











 「つってもどうするんですかっ!? 俺には魔法なんて効きませんよ!!」



 先手を取ったのは主人公。 ばら撒かれる魔法を無視しながら、直線でカルテに突撃する。



 「甘いわよ。 アランも同じようなタイプなのに対策をしていないわけがないでしょ?」



 「うぉっ!?」



 基本的に魔法が効かないとはいえ、すべての魔法の効果自体を無効化出来るわけではなかった。 軽く触れられた主人公はその場にフワッと浮かび上がり、動きを止めた。



 「あら有難い。 デバフは無効化出来ても、バフの方は無効化出来ないのもあるのね。 それに知ってるかしら? 魔法って思っているよりも万能なのよ?」



 「か はっ ぁっ」



 主人公が空中で停止した瞬間、主人公の肉体が透明な球体に包まれ、その中が真空と化した。



 「流石にレインちゃんが学内戦でやった方法を丸パクリするのは学園長としてあれだから、少しだけ真似させてもらったわ。 さて、ツクル君は動けなくなっただろうけど……お二人はどうするの? このままだと死んじゃうわよ? ツクル君」



 「おぉ~~流石は学園長だね!!」



 「だが、甘いのじゃ」



 観戦者と化している二人だったが、それも主人公に危険が無いと分かってのことなんだろう。 ………だよね?



 そして主人公もニコルのその言葉に答えるように………




 パァァァァァン!!!!




 「んなっ!? 嘘でしょ!?」



 「いや~ちょっとびっくりした。 でもさ、学内戦であそこまでしてやられたのに、対策を取ってないわけが無いだろ?」



 周りが真空になって、思うように動けなくなったはずの主人公は、直ぐに球体を割って出て来た。 とはいえ割った原理自体は簡単なもので、主人公がいつも使っている虚空から空気を供給しただけである。 真空状態が保てなくなった球体が自動的に破裂しただけなので、主人公が自分の力だけで解決できたかは疑問だ。



 「フィーちゃんの力は使わないんだね!?」



 「十八番の纏いをするかと思ったんじゃが、想定外よの」



 「そんな簡単に勝ち筋を消されるこっちの身にもなって欲しいわね」



 本気?を出すかと思っていた3人は主人公がそのままの姿で出てきたことを驚いたが、それも束の間、主人公がカルテに手をこまねいたことで戦闘が再開した。
















 「はぁぁぁ……流石に無理ね!! これ以上やってもどうしようも無いわ。 はいこれ。 次の階層に進む鍵よ」



 「ありがとうございます」



 カルテも魔法が効かない主人公に対して奮戦したものの、如何せん相性が悪かった。 数十分も戦闘を続けると打てる手が無くなり、戦闘を諦めたカルテだった。



 「思ったより時間かかったね!!」



 「どちらも殺す気は無かったのじゃからしょうがないよの」



 観戦者の二人は最後まで観戦をしているだけだった。 カルテがそっちに攻撃する気がなかったとはいえ、ゆるゆる過ぎでは?



 「どちらもじゃなくてツクル君だけでしょ。 私は殺す気だったとしても殺せないわよ」



 「それでも人質を取るとかあったでしょうに。 1対1で戦う時点で学園長は殺す気なんてないですよ」



 戦っていた2人もミウとニコルのもとに戻ってきた。 激しい戦闘を繰り広げたのに関わらず、どちらも服にすら傷一つなく、まるで本気を出していないことが分かった。



 「それじゃあ私は学園に戻らせてもらうわね。 ああそれと、たまにはツクル君も学園に来なさい。 一応教師としての枠は取ってあるわよ」



 それだけ言ってカルテはその場から転移していった。




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