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俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
ダンジョンマスター編
120/132

魔王城



 「……そろそろ行くか」



 「そうじゃの~ 少しずつ城からの威圧感も増しとっとるし~」



 「ニコちゃんはそろそろ元気になりなよ!!」



 ジェットコースターを乗れなかったことをまだ引きずっているニコルが居るが、それよりも気になるのが主人公に向かって来ている威圧感。 主人公が遊んでいる間にも城から発せられている威圧感は段々と強くなってきていて、まるで早く来いとでも言われているかのようだ。



 「うむ。 吸血鬼でも出てきそうじゃの」



 「おどろおどろしいって感じだね!!」



 「やっぱり春まで待たせるのは駄目だったか?」



 城の目の前まで来るとその威圧感は顕著で、遊園地の最大名所?とも言える魔王城の周りに誰も居ないのもそのせいかと思えてくる。



 「ふぅぅぅ……入るか」



 深呼吸を一度挟み、主人公は鉄製の入り口に手をかけて押した。



 「……? ふんっ!!」



 押した?



 「ふぬぬぬぬぬぬ!!!!」



 押し……開かねぇ。



 「「何やってんの兄さん(何やっとるんじゃツクル)」」



 「ぬぬぬぬぬ!! 開かないが!?」



 真剣に鉄製のドアと格闘している様子は中々滑稽だが、本人からすれば困惑ものだ。



 「そんなバカなことがあるわけがないじゃろ。 貸してみい」



 「マジで開かないからな!?」



 何を言っとるんじゃとでも言うような表情で扉に手をかけるニコルだったが。



 「………開かんの」



 「だろ!?」



 鉄製のドアはびくともしなかった。



 「それならこじ開けるまでよ!!」



 神が扉に負けるなどあってはならないと、ニコルが全力で蹴りを放った瞬間。



 「お前らな……そこが入り口じゃないとそろそろ気付」



 「「「あっ」」」



 少し離れた場所にあった通常サイズの入り口から出て来たアランに声をかけられた。 ………が、ニコルの蹴りが止まることはなかった。











 「…………Oh」



 止めるのが遅かったアランが悪い……とまでは言わないが、これはあまりにもひどい仕打ちである。 扉があったはずの場所には何もなく、代わりにアランががっくりと手をついていた。 加えて、その扉と繋がっていた城には多少の罅が入っていた。



 「ニコル、謝って来いよ」



 「我か? 我のせいなのか!?」



 「紛らわしい扉も悪いよね!!」



 「そうじゃそうじゃ!!」



 壊した本人はやらかしてしまった子供のようなことを言っている。



 「ま、まあいいだろう。 どうせ俺の自腹で払わされるだけだ」



 少し時間を置き、なんとか起き上がったアランの目には涙が浮かんでいた。



 「はいこれっ!! その涙拭きなよ!!」



 「おぉありがとうなぁお嬢ちゃ…ってやったのお前らやろがいっ!?」



 アラン渾身のノリつっこみであった。 そんなコントのような会話を少しした後、アランは思い出したかのように主人公たちを見回した。



 「それじゃあ3人とも着いて来い。 この城の中に原初のダンジョンに繋がるテレポートゲートがある。 攻略しに来たんだろ? 原初のダンジョンを」



 形ある物いつか壊れる。ということで心を持ち直したアランは、3人にそう言うと風通しの良くなった入り口を通っていった。






 「俺着いて来いって言ったよな!?」



 3人が着いてこないのを気づいて帰ってきた。 どこかで見たような光景だな。



 「いや、まあ攻略はしに来たんですけど、4人ほど遊園地に残していくわけにもいかないかな~って思いまして」



 「これから攻略するなら時間もかかるじゃろ?」



 「また今度でいいよね!!」



 「全く良くないが。 そんな時のために一晩や二晩止まってもいいようにホテルがあるから、伝えておく。 これでいいだろ?」



 そんな時がどんな時なのかは分からないが、それを聞いた主人公が了承してアランに着いて行ったから良しとしよう。











 「それで………まだ着かないんですか?」



 歩き始めて早1時間。 アランに着いていった主人公たちはまだ城の中を歩いていた。



 「ふっそうだな、説明しようじゃないか。 この魔王城にはある仕掛けがある。 外敵を原初のダンジョンに近づけないように、数々の魔道具を動員して迷路のような通路になっているのだ」



 「そんな説明口調で言うところをみるに、その魔道具に敵味方の概念は無いようじゃな」



 「………その通りだ」



 その通りだ。じゃないが。 いつまで迷うつもりだ。



 「基本的に俺たちがこの道を使うことはない。 自分から原初のダンジョンを攻略させようとするような酔狂なやつはいないからな」



 「で? 今回は?」



 「それが裏目になりました…。 はい…。」



 「アホだね!!」



 「うぐぅ……」



 天然は偶に人の心を穿つこともあるんやで。 みんなは気を付けな。



 ちなみにこのあと3時間ほど迷った。











 「ようやく……着いたな……」



 「せめて景色ぐらいは変えてほしかったですね……」



 「確かにこれは攻略する気も失せるよの……」



 「面白かったね!!」



 「「「なんでそんなに元気なんだ(じゃ)……」」」



 何がミウの琴線に刺さったのかは知らないが、ミウだけは城の中を楽しく進んでいたらしい。





 「ごほん。 それじゃあ御三方。 ようこそ原初のダンジョンへと繋がるテレポートゲートへ。 君たちが1000年以来の侵入者だ」





 バンッ!!と開けられたドアの中には、テレポートゲートだけがポツンとあった。



 「………勇者よ……普通もうちょっと装飾とかしないか?」



 最後まで締まらないアランだった。




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