天空の遊園地
「おぉ……落ちたら死ぬな。 これ」
「異世界ってすっごい場所に遊園地があるんだね!?」
今、主人公たちが居るのは雲の上。 アランから渡されたチケットは大人数用だったため、屋敷のみんなで遊びに来たようだ。 一応危険かもしれないということも伝えてはいるようだが、世界で唯一のダンジョンを改造した遊園地に招待されたとあっては行かない選択肢はなかった。
「仮に落ちても問題の無いようにはなっとるの。 というかそんなことを気にしとらんではよう入るのじゃ」
「はいはい。 待ち遠しいんだな」
「は? 待ち遠しくなどないが?」
と言いつつ目はキラキラと輝いていたニコルだった。
「おぉ~これが魔王城か。 うん、ホラーチックなディ〇ニーランドだな」
「日本にあったら訴えられそうだね!!」
遊園地の中に入ると、少し離れた場所に巨大な城が見えた。 その様子はまるでどこぞのディズ〇ーランドである。
「思っていたより人は少ないんですね」
「そりゃそうですよ!! 魔王城はその希少性から限られた人物しか来ることができないんです!! この遊園地のチケットが無かったら、ここに繋がっているテレポートゲートを作動させることができないんですよ!!」
『へぇ~』
流石は自称全国を回っていた女アニー。 その知識量は中々に豊富だ。
「まあそんなことは良いんだが、これからどうする? みんなで回るか、ここで解散するかだが。 チケット自体は入る時に使うだけだから、俺が居なくても問題はないぞ」
ダンジョンを改造しているから分かるが、入園者は侵入者扱いになって悪意(DP)が吸い取れるシステムなので、チケットさえあれば遊具は乗り放題だった。 …久しぶりに聞いたなこのシステム。
「全員で回るのは迷惑じゃろうから、くじで分けるかの」
「そうですね」
「誰と当たっても恨みっこなしだよ!!」
この人数でじゃんけんをするのもあれなので、毎度おなじみガチャから出たくじを使ってチーム分けをするようだ。
「我、圧勝!! ドヤァ」
「何が圧勝かわからないけど、そこまで胸を張られると少し悔しい気持ちになってくるね」
「ニコちゃんが圧勝なら私もだね!!」
ニコルからすれば主人公と同じチームのなるのは圧勝らしい。 というわけで主人公と同じチームになったのはニコルとミウ。 これに限ってはただの運なわけが無いが、そこを突くのは無粋だろう。
「それじゃあ楽しんで来いよ!! 無いとは思うが、誘拐されそうになったら殺しても構わん!!」
「物騒じゃの」
「遊園地ぐらいはそんなことも忘れて楽しみましょうよ」
「………一応警戒はするの!! わかった!?」
『は~い』
ゴリ押して警戒させることを頷かせた主人公だった。 この選択が幸となるか不幸となるかと言いたいところだが、正直意味はなかったと言っておこう。
「まずはジェットコースターじゃろ!!」
「バカと煙は何とやらって言った方がいいのかな?」
「言ってやるな美羽」
まずは主人公、ニコル、ミウのチーム。 解散した瞬間にジェットコースターに向かって走り出したニコルだったが……一応こんなんでも神様であるとだけ言っておこう。
「なんで乗れんのじゃぁぁぁぁ!?!?!?!?」
「あっ……「身長制限……」」
なお、乗れるとは言ってない。 ……そういやのじゃロリだったな……残念ながら一番楽しみにしていたジェットコースターに乗ろうとした瞬間、身長制限によって入場を拒否されたニコルは魂が抜けたかのように静かになっていた。
「……ニコルさんの声がここまで聞こえてくるね」
「ジェットコースターに乗れなかったとかでやがりましょう。 私もですが、身長が低いでやがりますからね」
「あぁ、なるほど」
ラファエルとシェイルのチームはその話を聞いて、園内の食べ歩きにシフトしたようだ。
「本当にこれも無料でいいのか? どう考えても利益がでない」
「もぐもぐもぐもぐ いいでやがりますよ。 私たちは楽しむだけでやがります」
これがダンジョン型遊園地の良いところだな。 そこにいるだけでDPが増えるため、実利を無視した販売が可能になる。 存分に食べ歩きを楽しんだ二人だった。
「ちょちょちょちょっと待ってもらってもいいですかね!?」
「ふふっ、早く来ないと置いていきますよ~」
「腰が抜け……ぎょぇぇぇぇ!?!? 首無いぃぃぃぃ!?!?」
最後にアニーとノエルのチーム。 実はお化け屋敷が大好きだったノエルに振り回されまくるアニーがそこにはいた。
「はぁっはぁっ!! 流石のアニーちゃんも死ぬかと思いましたよ!!」
「もう一周行きますか?」
「ふっ……ちびりますよ!? 大の大人が!!」
魔法が使える異世界において、完成度の高いお化け屋敷は駄目だと言っておこう。 おそらく年齢の高い方が入ると心臓発作で詰む。
一部犠牲となった者が居たものの、遊園地自体は全力で楽しんだ一行だった。 そして主人公がいるチームだけは最後に行く場所があることを忘れてはいけない。




