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俺?ダンジョン!?  作者: 東歌
ダンジョンマスター編
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悪魔たちのダンジョン攻略①



 「いつまでこの風景が続くんですかね?」



 「思ったより広いですね。 やはり焼き払いますか?」



 獣人たちが1層を攻略している中、悪魔達は草原の中を彷徨っていた。 出てくるモンスターたちはそこまで強くなかったので、最初の方は和気藹々と進んでいた悪魔達も面倒になってきたようだ。



 「せめて出てくるモンスターに張り合いがあれば楽しいんですけどね」



 「そうだな」



 その後も変わらない風景が続き、時間だけがただただ過ぎ去っていった。






 「………フレイムリザード。 やれ」



 グルゥ!!



 いい加減に面倒になった悪魔からの指示を受け、全力で炎を吐き出したフレイムリザードのおかげで草原が永遠と続いていた理由が判明した。



 ギュオォォォォォォ!?!?



 なお、驚きの声をあげたのは炎を吐き出していたフレイムリザードの方である。 目の前に自分よりも数段でかい植物がのたうちまわりながら現れたのだから驚くのも納得ではあるのだが。



 「あぁ、なるほど。 幻覚でしたか」



 「植物系のモンスターはよく燃えますね」



 「というかその巨体で幻覚をするだけって効率悪くないですか?」



 そんな話をしている悪魔達の前には草原の風景から打って変わって一般的な洞窟があった。






 「………どうやらこの階は時間稼ぎだけのものらしいですね。 先に進みましょうか」



 「上手く時間を稼がれた人がなんか言ってますよ」



 「俺たちが言えたことじゃないけどな」



 巨大な植物が燃え尽きてから階層を探っていた悪魔達だったが、すぐに上へと上がる階段は見つかり、1階自体が巨大植物だけで構成されたフロアだと分かった。











 「次もまた草原ですか? 同じく幻覚だったら面倒です。 焼き払いましょう」



 2階層に上がってきた悪魔達の目には1階層と同様の草原が映っていた。



 「流石にこれも幻覚ってことは無いでしょ~」



 メイドの悪魔が呆れたように呟くと同時に、悪魔の手から放たれた炎は近くの草を焼き払うだけで止まった。



 「ふむ、そのようですっ!? 全員警戒しましょうか。 どうやらここからが本番のようです」



 どこからともなく飛んできたその斬撃は薄皮一枚を切り裂くだけで終わったが、その攻撃をしたモンスターの姿一つ見えず、悪魔たちは警戒に警戒を重ねることとなった。



 「おそらくは小型のモンスターでしょうね。 背の高い草のせいで下への警戒が甘くなっていますからね。 足への攻撃が増えるでしょうから、出来るだけ気を付けていきましょう」



 「りょ~か~い」



 メイドも気の抜けるような声を発しながら、目線だけはしっかりと警戒している辺り、目に見えない敵はそれだけ強いということだろう。






 「……ちっ、面倒だな。 攻撃が止まん」



 「その場で対応できる程度の攻撃とはいえ、数が多すぎるな」



 数10メートル進むだけで数えられないほどの斬撃が飛び交い、そのすべてが何もないはずの場所から飛んできているため、肉体的というよりも精神的に消耗して来た悪魔達だった。



 「よっしゃ見つけたァァ!! 死ねクソ兎共がァァァァ!!!!」



 「珍しくぶちぎれてんねあいつ」



 「まあ実際ウザかったからな」



 1時間近く見えない敵と戦ってから、コソコソと周りを移動していた透明な兎を見つけた。 そこからはダンディな執事悪魔がちぎっては投げ、ちぎっては投げと無双劇を繰り広げていた。






 「はぁ はぁ はぁ ようやく全部ブチ殺せた……か? は? あっ……」



 「あっ、食われた」



 「警戒を怠るからだな。 リスポーンして戻ってこいよー」



 ようやく兎を全羽殺したダンディ執事は、土の中から現れたワームによって丸呑みされた。 まあ自業自得ではあるのだが、ワームの胴体でもぞもぞ動く様子は軽くホラーである。











 「あれ? お前が最初にリスポーンしたんだな。 思ったより獣人たちのダンジョンは難しいのか?」



 「はっ!? す、すみませんでしたマスター!! 直ぐに攻略に戻らせていただきます!!」



 ダンディ悪魔がリスポーンした場所は主人公のモニタールーム。 攻略に時間がかかっていることを怒られるかと身構えた悪魔はすぐに攻略に戻ろうとするが、それを主人公が引き留めた。



 「まあ待て待て。 どうせ時間だけはアホほどあるんだ。 攻略の様子を教えてくれ」



 「はっ!! 了解です!!」




 ~ダンディ説明中~




 「なるほどな……幻覚に透明な敵、不意打ちと。 思ってたのと違ったな。 獣人を舐め過ぎていたか」



 「マスターの考えをお聞きしても?」



 「ん? ああ、いや別に大層な考えじゃない。 集会の時に喧嘩を売ってきた獣人の雰囲気からして、脳死で物量のゴリ押しをしてくると思っていたんだが……向こうにも参謀的な立場のやつがいるのか知らんが、時間を稼ぎに来てるな。 ククッ、それだけこっちのダンジョンを簡単に攻略できると思い込んでるのは笑えてくるが」



 「そ、そそそそうですね!!」



 主人公の暗黒微笑に恐れを抱く悪魔といった図式が出来ているが、それだけではない。 悪魔の目には、主人公が微笑んだと同時に後ろにあったモニターで、獣人の頭が消し飛んでいる光景が映っていた。




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