1/4
プロローグ
境界が消えた日
この世界は、ある日突然、誰かが作った「理」によって塗り替えられた。
魂は循環し、命は使い捨て。
管理者のレールから外れた者は、天使の剣に貫かれるか、悪魔の嘲笑と共に奈落へ落とされる。
そんな息の詰まる檻の中で、たった一人だけ、理不尽な運命に真っ向から喧嘩を売った馬鹿がいた。
「……諦めるなよ。俺たちが見る景色は、こんな箱庭なんかじゃないはずだろ?」
銀髪に紅い瞳の彼は、世界を壊してしまいそうなほど熱い笑みを浮かべてそう言った。
それが、彼の最後の言葉だった。
彼はシステムに抗った代償として、魂を八つに引き裂かれた。
各地の無機物に封印され、かつての温もりも、雄弁だった声も失って。ただの『残滓』として、広大な世界に散り散りにされたのだ。
……ふざけんじゃないわよ。
どれだけ時間が経とうが、世界がどれだけ私を拒もうが、関係ない。
彼が私に残した「約束」だけは、何があっても繋ぎ合わせる。
――いつか必ず、この灰色の空の下で、もう一度。
これは、砕け散った魂を拾い集めるための、途方もなく長い旅の物語。




