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プロローグ

境界が消えた日

この世界は、ある日突然、誰かが作った「システム」によって塗り替えられた。


魂は循環し、命は使い捨て。

管理者のレールから外れた者は、天使の剣に貫かれるか、悪魔の嘲笑と共に奈落へ落とされる。

そんな息の詰まる檻の中で、たった一人だけ、理不尽な運命に真っ向から喧嘩を売った馬鹿がいた。


「……諦めるなよ。俺たちが見る景色は、こんな箱庭なんかじゃないはずだろ?」


銀髪に紅い瞳の彼は、世界を壊してしまいそうなほど熱い笑みを浮かべてそう言った。

それが、彼の最後の言葉だった。


彼はシステムに抗った代償として、魂を八つに引き裂かれた。

各地の無機物に封印され、かつての温もりも、雄弁だった声も失って。ただの『残滓』として、広大な世界に散り散りにされたのだ。


……ふざけんじゃないわよ。


どれだけ時間が経とうが、世界がどれだけ私を拒もうが、関係ない。

彼が私に残した「約束」だけは、何があっても繋ぎ合わせる。


――いつか必ず、この灰色の空の下で、もう一度。


これは、砕け散った魂を拾い集めるための、途方もなく長い旅の物語。

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