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「お父様、少しお話があるのですが…。」
いつもと変わらぬ家族の食事。いつもと変わらぬお父様とお母様とお付きのものたち。
唯一変わっているのはこの私【ヴァネッサ・クロティルド】だけだろう。お父様は、ん?と優しく私に笑いかけてくれる。
「どうしたんだ?」
お母様も多分、よほど深刻なお話だと思わないだろう。だからこそ、ニコニコとして私の方を見てくれている。
「お父様、私」
わたしは、喉から出てくる言葉を突然ぐっと飲みかけた。言っていいのか。こんなに優しくしてくれる両親に。
そして、いいのか。未来の私。多分だが、両親は大いに狼狽える。そして、お母様に至っては泣く可能性大である。
しかし、わたしは言わなくてはならない。あのような事にならないように。私の将来のために!!
「お父様、私…私婚約破棄をさせて頂きたく思います。」
一瞬にして、部屋がシーンと静かになった。
皆様。初めまして。急にこのような修羅場から始まりましてとても驚いた事かと思います。
では、私の紹介…いえ、この世界について少し説明させて頂きます。
この世界は所謂【乙女ゲーム】の世界なのです。私の前世の世界で流行った乙女ゲーム。名前は【掴みとれ☆愛と魔法とあなたへの思い!】
…どんな題名だよ!?って突っ込みたくなる気持ち大いにわかります。私なんてこの説明を笑顔でしていますが、すぐにでもこの場から逃げ出しです。だって、愛とあなたへの思いって同じじゃないんですか?というか、掴みとるのは彼からの愛では?と色々とツッコミたいのです。でも、前世の私はこんな名前クソゲーをやっていたのです。
と、まぁこんなこれからちゃんと説明に入ります。腰をおってしまい申し訳ございません。
略してまほおもというのですが、このまほおもの世界には3人の攻略対象とヒロインが魔法学園で過ごして愛をえるという簡単にいうとこんなお話です。
ちなみに私はヒロインでもあのよく小説に出てくる悪役令嬢でもございません。
えぇ、私はモブです。モブなのに乙女ゲームの世界では冤罪をきせられ、どこかの島に流されたり、人に殺されたりとそりゃもう、ひどい扱いなのです。
そして、これ全部ヒロインや悪役令嬢によって行われます。私が何をしたのですか!?と言いたい所ですが、私はなぜか悪役令嬢側なのです。
これでは文句をいうことも出来ません。えぇ、文句をいうことも!!
ちなみにこのまほおもは名前以外にも私にとってはクソゲーなところが多々あります。
今はこれです。【モブにもきちんと役割を与える】
なんで!?なんで役割与えるの!そのせいで私死亡フラグたちまくりよ!!
もう、死にたくないと思ったところに前世の記憶がよみがえり、「あ、これゲームなんだ」と思い出すことができました。
嬉しいのやら、悲しいのやら。
私が思い出したのは魔法学園入学前。それもとても嬉しいことなのです。だって、ヒロインは二年で転入してくるのですから。それなら、いっぱい時間があるのです!!いやぁ、もう沢山!
私はとりあえず、第一の死亡フラグである私の婚約者【エドワード・ヴィンセント】との婚約破棄にのりだし…。
と、現在進行はこんな感じです。
次から新しくお話は始まります。長らくお付き合いありがとうございました。
「では!私の死亡フラグ回避と婚約破棄を目的としたこのゲームをぜひ!お楽しみ下さい!」