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VRMMO バーチャルってなんだっけ?  作者: 肉うどん
第7章 仮想世界
77/114

68話 イベント六日目と掲示板


 イベント六日目。


 「さて、準備はいいかしら?」


 合同ダンジョン入口、トリアがソウ達に確認をとった。

 これからソウ、ミーナ、マッキー、トリア、そしてミズキはFANTASY&CREATUREダンジョンの攻略を開始するのだ。ちなみにダンジョンにいち早く入ろうとするソウの首根っこをミーナが捕まえて離さない。


 「は、早く応援ポイント使うね」

 「お願い」


 ミーナがソウを押さえつけて言うと、ミズキはさっそくメニューから応援ポイントの使用を選択した。

 ソウ達を白い光が包みこみ応援完了を告げる。ミズキの首からかけている青い宝玉が赤色に染まり、ミズキのパーティ参加を認められた。


 「それじゃあパーティに入れてもらってもいいかな?」

 「おけー」


 ミズキが素早くパーティ参加申請を送り、パーティリーダーのミーナがそれを受諾する。


 「今日の学校で聞いてたけど本当にSIMでもダンジョンに入ることが出来るんだね」

 「自分でも驚いてるよ。まあでも、ボクだけ仲間外れにならないで良かった……かな?」


 マッキーが言った通り、ミズキは学校で合同ダンジョンに入りたいとソウ達にお願いした。ミーナが猛反対しそうなものだが、あまりに真剣そうに言うものだから反対し損ねたのだ。ソウが妙にノる気で仕方ないと諦めたのもあるが。


 「そんな事よりも早くダンジョンに潜るぞ。ダンジョンは待ってくれない」

 「だね」


 ソウが待ちきれないと急かして、ミズキもやる気を漲らせて応える。

 意気揚々とダンジョンへ向かうソウとミズキに、遅ればせながらミーナ達がついていく。

 ミズキの中身が男だと知っているだけに、マッキーとトリアはソウ達も男友達なんだなと妙に納得した。


 「パーティリーダーは私だよぉおお!!」


 ミーナは一人嫉妬に狂っていた。








               ★










 ソウやミーナ達がダンジョンに入った瞬間、異変は起きた。


 「うぉお!」


 CREATUREダンジョン独特のマス目が出来上がるとともに、ソウを眩い光が包み込んだ。

 光が消えるとそこにソウは居なくなり、地面に1枚のカードが落ちたのだった。


 「ソウ! ソウー! ソウぅうう!!」

 「お、落ち着いてミーナちゃん! え、えー!」

 「…………これは」


 突然のことに取り乱すミーナとマッキー。トリアはふふんっと胸を張っているだけだった。

 そんなミーナ達を尻目に、ミズキが地面に落ちたカードを拾う。


 「えっ、ソウ? なにしてるの?」


 そのカードには一人のプレイヤーが表示されていた。……表示されていたというよりは幽閉されているというのが正しそうだが。

 カードの中からソウがこちら(・・・)を叩いていた。何かを喋っているが、生憎何も聞こえない。


 ミズキはとりあえずソウのカードをミーナに渡した。

 ミーナが半狂乱状態で早く渡さないといけない気がしたのだ。


 「ミーナさん、これ」

 「これは……ソウ!? えっ、えっ、なんで」


 目を白黒させながらもそっとポケットにカードを懐にしまおうとするミーナ。

 そしてトリアが無言でその手を掴んだ。折角の説明する機会が失われてしまう、ダンジョン攻略するまでカードを離さない気概がそこにはあった。まるでイタズラがバレたようにポケットからミーナはソウのカードを取り出した。


 「パーティリーダーはミーナだから、所有権はミーナにあるのよ」

 「……ソウの所有権」


 ソウのカードを見ながら小刻みに震えるミーナ。そう、ソウの所有権は今ミーナにあるのだ。


 「とりあえず召喚してみなさい、SPは100消費するから……マッキー頼んだわよ」

 「う、うん! 任せて!」


 トリアから頼りにされて力強くマッキーは返事する。

 ミーナは言われた通りにソウの名を呼び召喚した。


 見慣れた召喚陣がマスの上に現れ、光と共にソウが召喚された。

 ソウは首を振りまわして辺りを確認し、ほっと息をつく。


 「あぁー、びっくりしたー」

 「どうだった? カードの中っていうのは」

 「なんだろう……暗かった?」

 「いや、しらないけど」

 「一応画面みたいなのがあって、そこから皆の姿が見えるんだけど……ミーナの顔がドアップされてカードの中も悪くないような」

 「……一生カードの中にいなよ」


 多少なりなりとも心配していたミズキは能天気なソウに呆れながら軽口を叩く。ソウは「それもいいかもしれない」等とボヤいていたが、ミズキは見事にスルースキルを発揮した。


 「ミーナの所有物になってしまったな」

 「ふふふっ! 名実ともに私のソウに……」


 上機嫌で笑うソウに、何やら黒い笑みを浮かべるミーナ。

 ソウがカードになる事態になっても平常運転な二人だった。


 「トリアさん、もしかしてこのダンジョンではFANTASYのプレイヤーは」

 「ええ、カード化するわ」

 「それはまた大変そうだね」

 「ミーナ達ならあまり関係ないみたいだけどね」


 トリアはソウとミーナを見ながら肩をすくめる。二人は本当にこの状況を楽しんでいるみたいだ、ここまではしゃいでくれるならトリアも満足だろう。



 「そういやここでのボクの役割ってなんだろう」


 ダンジョン1層を暫く歩いていると、やってくる小さいウサギのようなエネミーをマッキーのクリーチャーやソウが退治する。SPの足りないミーナはクリーチャーを召喚しないが、実質ソウの主みたいなものだ。後ろをただ歩きながら採取ポイントで採取するミズキには他にすることが見当たらない。


 「あら。それじゃあミズキは私と一緒に応援でもすればいいんじゃない?」


 そんなミズキにトリアはどこからかポンポンを取り出すとミズキに渡す。

 そして気がつくとミズキはチアガールの格好になって、ソウ達の応援をしていた。


 「ん? あれ?」

 「……ミズキ。その、な?」


 そんなミズキにソウは歯切れが悪くなりながらも話しかけた。


 「応援、しないでくれると有難いんだが……」

 「ふぇ?」


 ミズキから目を逸らしながら言うソウ。

 間の抜けた声と共にソウの真意を考える、そしてミズキは一つの結論に辿り着いた。


 「はは〜ん。ソウ……ここが気になるのかい?」


 ミズキはニヤけながら、腕を組んで突出したソレを強調する。

 ソレは確かにポンポンを持って跳ねたり飛んだりすると……揺れる。上下に激しく揺れる。


 否応なく目に入るのだ、ソレが。

 見ないようにしているのにも関わらず、ソレが動くたびに視界が揺れ動く。特にチアガールの姿だとソレが特に目に入る。

 健全な男子高校生なのだから致し方ない、致し方ないことなのであった。


 「あ、いや、えっとだな……」

 「どれだけ否定しても本能には逆らえないんだよ。ほらほらっ」


 なおも歯切れが悪いソウに気を良くしたのかミズキは満面の笑みで近づく。

 ソウの反応が新鮮で楽しいのだ、一緒にダンジョンで遊んでいるというのも大きい。だからソウがミズキの後ろを見ていることに気づかずに近づき……後ろからトリアにハリセンのようなもので叩かれた。


 パッシーンっと心地よい音がして、隣でミーナが親指を立ててグッジョブをする。

 我に返ったミズキは恐る恐る後ろを振り返りトリアと目が合った。


 「まったく、私の前で不純異性交遊をするなんて」

 「あっ、いや。ボクは一応男だし、男同士の遊びというかなんというか」

 「……ミーナ、判定は?」

 「ギルティ」

 「だそうよ?」


 こんな時だけ男ということを棚に上げるミズキだったが、意味はなかった。判決はギルティである。

 トリアは指を鳴らすと、いつの間にか着ていたチア服が元からミズキが着ていた服に変わる。残念だがチアガールはお役御免のようだ、一瞬落胆するソウにマッキーが半眼で視線を送っていた。



 そうこうしている間に第一層ボスへ。

 ボスは大きな兎でその質感に魅了されるミーナ達。


 「ソウ、ストップ」


 さっそくボス兎を倒そうと走り出したソウにミーナが待ったをかけた。その瞬間ソウの動きがピタッと止まる。


 「え、あれ? ミーナ? 動けないんだけ──ムグッ」


 首だけ振り返ってミーナに声を掛ける、しかしボス兎の射程圏内に入ったソウは動けないまま圧倒的質量に飲み込まれてしまった。


 「わぁー! 羨ましいぃー!」

 「もふもふしてそう!」


 押し潰されそうな勢いのソウを見て目を輝かせるマッキーとミーナ、その瞳には何が映っているんだろうか。

 なおも苦しみ続けるソウ、しかし動くことは出来ない。


 「あはは、助けた方が良くないかな?」


 ミズキだけは苦笑いして冷静に提案していた。

 そしてソウが救出されたのは10分ほど後のことだった。


 「SSスクリーンショット沢山撮ったねー」

 「可愛かったねー!」


 第二層を歩きながらミーナとマッキーは撮った写真の見せ合いをしていた。それはソウの上から動くことなかったボス兎に近寄って撮ったSSだったり、あろうことか弾力のある腹部にダイブしているマッキーのSSだったりした。

 そしてズーンと肩を落として歩いているプレイヤーが約一名。


 「……ソウ、元気だしなよ」

 「…………むり」


 ミズキがソウの肩を叩くが、ソウは更に気を落とした。さぞ重かった事だろう……色々な意味で。


 「それにしてもまさかソウに行動制限があるとは思わなかったよ」

 「ミーナの指示には逆らえないみたいだな」


 ミーナが止まれと言った瞬間にソウの行動が止まった。またボス兎を討伐した時はミーナの言葉で動くことが出来た。基本的な行動は出来るみたいだが、指示を貰うとそれを優先して動かざるを得ないみたいだ。


 「このダンジョン内にいる限り、ソウの行動はミーナによって制限されているわ。基本的にミーナの言うことは聞かないといけないわよ」

 「……ソウが私の言ったことを?」


 トリアがソウに説明していると、隣でマッキーと写真を見せ合っていたミーナが反応する。

 そしてすぐにソウの前まで近寄った。


 「み、ミーナ?」


 身の危険がする。

 ミーナは顔を赤らめてソウを見上げた。


 「私の肩を掴んで」


 言われるがまま体が勝手に動くソウ。

 肩を掴まれたミーナは「んっ」と甘い声を漏らしながらも言葉を続けた。


 「そのまま私の──」

 「はいストップストップ!」


 ミーナとソウの間をミズキが割り込んだ。

 ソウとミーナは顔を真っ赤にして、見ているミズキ達の方が恥ずかしい。そんなに顔を赤くさせてまでするなら、やらなければいいのになんて言葉は胸の内にしまっておいた。


 「隙があれば二人ともイチャつくんだから」

 「イチャ!?」


 ミズキのボヤきにボフッと赤い顔をもっと赤くさせるミーナ。

 やっとさっきソウにさせようとしたことに気づいたようだ。


 「ミズキ、今いい所だったのに」

 「ソウは自重しなさい!」


 さっきまで落ち込んでいたソウはどこへ行ったのか。悔しそうにミズキに詰め寄るが、逆に怒られた。











               ★










 「ふう……」


 【ダンジョンボス[ジャイアントケロケロ]討伐】

 【SP6獲得】


 ダンジョン2層のボスは普通に狩らせて貰えてよかった。

 流石に蛙じゃミーナ達のお気に召さなかったみたいだな。


 これまでで分かったことだけど、ミーナの指示に逆らおうとすると体が鈍り、逆に息が合うように行動出来ると身体が軽くなる。

 あとミーナ達のクリーチャーは案外強い。二層ボスなんて僕が居なくても余裕で倒せていただろう。この先は分からないけど、今のところ頼りになるな。


 というか強化っていうのがあって、それが結構ズルい。

 強化することで能力が上がるうえにHPまで回復するとか。僕もミーナに強化して欲しいとお願いしてみたけど無理みたいだ、SPが足りないらしい。


 ちなみに今はギガントナックルっていう上級の武器を使っている。前に使っていた円月輪チャクラムは壊れてしまって、今はこのグローブがサブウェポンだ。

 流石に紫光剣は出さないでおいた。別に力を誇示したい訳じゃないし、なによりスキルが成長しない。


 「お疲れ様」

 「ありー」


 ミズキが労ってくれるから、それを適当に返事する。

 まだ2階層で余裕だしな、ミズキもそれを分かっているし。


 「おつかれさまぁー!」

 「ありがとうミーナぁー!」


 ミーナが抱きついてきたから、とりあえず抱きつき返す。あぁ、ふわふわでいい香り……こほんっ。

 ついでにこれも聞いておこうか。


 「ミーナ、この紙切れって」


 ミーナに渡したのはボスが消える時に落としていった紙切れ。ガチャとか書いていたしミーナが使うやつだと思うんだけど。


 「あっ、ガチャ券だ。夏の特設ガチャ券、イベントが終わったあとに使えるらしいんだ」

 「夏のってことはアレだよね、水着とか」

 「そうなるわね」


 ミーナの言葉に反応してマッキーとトリアが会話に入ってくる。

 ガチャで水着とかも落ちるのか、サイズとかどうなるんだったっけ。


 「他には海龍とかもあるけど……まず当たらないわね」


 当たらないのかよ!


 「宝くじを当てるより難しいわよ」

 「あはは、狙わない方がいいんだね」

 「期待しても無駄ね」


 ひどい言い様だ。

 マッキーは狙っていたのだろうか、少し落ちこんでいる。まぁ海龍とか大層な名前のクリーチャーが簡単に手に入ったら怖いよな。街一つ破壊されそうだ。


 「夏といえば海だよな」

 「海といえば魚だよね」

 「魚は美味しいわよね」


 透き通るような海。

 そこでは自由に水中を遊泳する魚がいて、トリアにモリで突かれて焼かれた……あれ?


 「あとは山とかかな?」

 「野ウサギとかいたら可愛いよね〜」

 「山の幸ね」

 「…………トリア」


 どんどんトリアが食に侵されていってる気がする。

 マッキーとミーナが連想した野ウサギも捕まえられて焼かれていそうだ、ミーナが悲しい目でトリアを見ていた。そんなミーナと目が合ってしまったトリアは一つ咳をすると、先を促した。


 「は、早く次の階層に行くわよ! ミーナもSP回復したでしょ? 今の間に呼んでおきなさいよ」

 「はーい」


 何が面白かったのかミーナはクスクスと笑いながらカードを取り出した。

 そして呼び出される猫達。猫達にわちゃくちゃされるミーナを撮っておかないと。


 「マッキーもクリーチャーを強化できる内にやっておきなさい!」

 「りょ、りょうかい」


 羨ましい。僕も猫になりたい。

 いや今はSSを撮ることに集中だ。


 「…………ほらみんな早く行くよー」


 ミズキの呆れ声を聞きながら、かくして僕達は上の階層へ続く階段を上っていったのだった。












             ★★★











  【イベント特設掲示板2710317サーバー Mark405】




1.GREAT MAN


スレ立て完了

内容は前と同じ


            (和訳済)



             ・

             ・

             ・





24.yacc


金色が集まってる

中央広場前


            (和訳済)



25.Lupe


マジかよ

俺達がどれだけ探しても見つからなかったってのに


            (和訳済)



26.Pendragon


金色ってなに?


            (和訳済)



27.Lupe


ダンジョン攻略者のこと

名前が金色になる


            (和訳済)



28.yacc


どうやらパーティを組んでいる模様

合同ダンジョンに入ると予想される


            (和訳済)



29.Lupe


最高の組み合わせだな

俺ともパーティを組んでほしい


            (和訳済)



30.Pendragon


そいつは凄い

中央の塔か……行ってみるか


            (和訳済)



31.yacc


ん?

シムのプレイヤーもパーティを組んでいるみたいだな


            (和訳済)



32.Lupe


What?



33.コンビに


んん?



34.スイーツ


んんんん?



35.Pendragon


ガセじゃないのか?

シムはダンジョンに入れないはずだろ


            (和訳済)



36.yacc


いや本当だ

我ながら目を疑ったが、応援演出の後でネックレスが光っていたからそれの効果かもしれない


            (和訳済)



37.コンビに


そんなキーアイテムが……!?

SIMでダンジョンに入れるなんて他のサバでも聞いたことがない



38.Lupe


金色だからって片付けたくないが、金色のパーティは違うな


            (和訳済)



39.スイーツ


俺ちょっと跡つけてみるわ

FANTASYだけど、CREATUREいる?



40.Pendragon


>>39 行くか


            (和訳済)



41.スイーツ


>>40 おけ、赤旗振ってる



42.Lupe


30層まで来たら合流しないか?

俺達も気になる


            (和訳済)



43.スイーツ


>>42 おっけー

時間かかりそうならまた書き込むわ



44.yacc


朗報を待つ!(行かない)


            (和訳済)





              ・

              ・

              ・





142.スイーツ


金色達のことを教えようとしてSS撮ったんだが、何枚撮っても画像が壊れる

何故だ



143.Lupe


妨害系の何かを持っているのか?


            (和訳済)



144.スイーツ


そう思っていたんだが、1層のボスで金色達はSS撮りまくって遊んでいた

Pendragonと俺で暫く考えてみたんだが分からん



145.yacc


気付かれていた可能性は?


            (和訳済)



146.スイーツ


まず無いと思う

ズームを出来るだけしているし、スキルで補強している

まず間違えなく気付かれない距離



147.Lupe


原因が分からないならSSは貼れんな

大人しく実況求む


            (和訳済)



148.スイーツ


リアルでカップルっぽいやつがいるから晒したかったんだが……仕方ない



149.Pendragon


ちなみにシムのプレイヤーは戦闘には一切関わってないぞ


            (和訳済)



150.コンビに


まあ戦うと金がかかるからな



160.スイーツ


じゃあまた実況を続けるわ



161.yacc


朗報を待つ(2回目)


            (和訳済)






              ・

              ・

              ・





504.スイーツ


えー、これで現在20階層突破



505.yacc


……早くね?


            (和訳済)



506.スイーツ


多分最短ルートじゃないか?

大きい猫が何処かに行ったと思ったら何故か宝箱加えてくるし

名前表記のない女の人が指差した方へ行くとボスがいる



507.Lupe


名前表記が無い?

そんなやついるのか?


            (和訳済)



508.スイーツ


アイコンすらないからNPCじゃ無さそうだし訳分からん

その女も戦闘してないから案内役なのか?



509.Lupe


案内役とか聞いたことがないな

しかし早いな。1層約10分ってところか


            (和訳済)



510.yacc


最短で歩き続けても10分じゃボスまで行けないだろ

20層に行こうとするなら最低でも今の倍は時間が掛からないか?


            (和訳済)



511.スイーツ


歩くルートによって道が変わる確率も微レ存

むしろそれしか考えられん



512.Pendragon


ちなみにエネミーの出現率は倍くらい高い

事前に攻略していたからボス戦闘は省けるが、そろそろ俺たちだけじゃキツい


            (和訳済)



513.スイーツ


金色は未だに余裕そうだけどな

それに明らかヤバいやつが一人いる



514.yacc


金色なんだから全員強くて当たり前だろ


            (和訳済)



515.スイーツ


いや、飛び抜けてヤバい

この辺りのエネミーも弱くはないはずなんだが、全て鎧袖一触だった

CREATUREのプレイヤーにエネミーを全く寄せ付けてない

俺達も結構やる方だと思っていたんだがな



516.Lupe


30層待ちは難しそうだな

少し降りるわ


            (和訳済)



517.Pendragon


>>516 頼む


            (和訳済)









             ★★★









 「どうしたんだよミズキ、そんなにニヤニヤして」


 25層。

 ミーナ達が晩ご飯のため一旦ログアウトして、残るは僕とミズキだけ。

 僕は家に父しかいないから晩ご飯を遅らせても大丈夫、どうせコンビニ飯だし。

 そしてミズキも後で食べるみたいでログアウトはしなかった。


 本当ならミーナがログアウトした時点でダンジョンから強制的に放り出される筈だったんだけど、ミズキが首から掛けていた赤色の宝玉のお陰で大丈夫だった。ミーナがログアウトした瞬間に宝玉の光が僕を包んだんだ、それで理由は知らないけど外に放り出されなかった。


 それから暫く適当にエネミーを狩ってたりして時間を潰していたんだけど、急にミズキがメニュー画面をみてニヤけついていたのだ。


 「いやね、このダンジョン内でもショップが開けてね、それが結構いい物売ってるんだよ」

 「ああー、確か位置によって商品が変わるんだったよな」

 「ダンジョンの中にまであるとは思わなかったよ。ボクだけが独り占め出来ると思うと」

 「それは胸アツだな」

 「でしょ?」


 それがサブイベントの報酬だといっても過言じゃないな。

 ミズキはメニュー画面を僕に見せてくれる。


 「しかも凄く安いんだよね。見てよこれ、『禁呪の札』。凄いレアなんだよ? しかもこのダンジョン内で狩ったエネミー分のDPで余裕に賄える」

 「この『プロミネンス』っての凄そうだな」

 「『ヒーロースーツ』だって! 着てみたいなぁ!」

 「……え?」


 いや、まあ……似合うと思うよ?

 見つめ合うことしばし、ミズキは少し顔を赤くして咳払いをした。


 「それより気づいているんでしょ?」


 話を変えるようにミズキは静かに問うた。

 その表情はさっきまでと違い引き締まっていて、真剣な眼差しで僕を見る。


 「……まさかわざと残って」


 話を逸らさずを得ないな。

 ミズキは軽く舌を出してウインクする……ほんとにコイツは。


 「で、どうする?」

 「んー、とりあえず忠告しとこうか。最初からPKするとイベント後にも影響が出そうだし」


 思い出すのは通常ステージでハルジオン北支部のピーツさんとのこと。ギルドカードを使って受付嬢が討伐記録を見ることができて、その内容によっては依頼受注を拒否されるらしい。

 PKは考えてしないと。


 「おっけー。誘い出すんだね」

 「止めてくれるならそれでいいんだけどな」

 「だねー『エアリアルペイント』」


 ミズキが1回限りの魔法を使うと宙に手を伸ばした。

 白い光に包まれている右手が動くにつれて、空中に文字が描かれる。


 「凄いな、しかも虹色だし」

 「この方が分かりやすいでしょ?」

 「……派手」

 「えー!」


 最後にミズキは上に手を翳すと、文字も連動するように僕らの上へと移動した。

 頭の上に浮かぶ虹色の文字はこう書かれている。


 [去れ! さもなくば大いなる鉄槌が汝らを焼き滅ぼすであろう!]


 …………ミズキが厨二病になった。


 「自ら自爆していくスタイル、嫌いじゃないぞ。……でも出来たら僕のいない所でやってくれると助かる」

 「えぇー! 結構良い線いってると思ったんだけど」

 「僕まで恥ずかしい子みたいじゃないか」

 「そんなこと言ってー、ホントは厨二心くすぐられてるんじゃないの?」

 「そそそ、そんなことは」

 「ほらほら隠してる羽もだしてだして」

 「くぅー! こうなりゃヤケだ! あとこれは翼な」


 ミズキに言いくるめられて、最小にまで縮めていた翼を広げた。

 通常時よりも更に大きくした翼をはためかせ空へと上がると、辺りを見渡しターゲットをロックオン。


 そして調子に乗った僕は一つ、種族スキルを選び発動させた。


 「『天光』」


 僕を中心として発生する眩いほどの光は、ここから離れた場所から見ていたプレイヤー達の元にも楽々と届く。

 そしてそのプレイヤーが所持していた防具か跡形もなく消し飛んだ。


 ……ちょっとやり過ぎたかな?

 いやいや、ここまで何時間もストーカーしてきたプレイヤーだ。その代償くらいは払ってもらわなくては困る。PKはしていないから討伐記録には載らないし。ただプレイヤーからするとPKされるよりも辛いってだけで。


 「……ソウ。誘い出すんじゃなかったの?」

 「…………忘れてた」


 ……当初の目的を忘れていた。そういえばそうだった。


 先制攻撃しちゃってるじゃん。

 去れ! とかミズキが書いていたのに防具破壊しちゃったよ。


 いやだって1層辺りからずっと付けられて、この階層でストーカーするプレイヤーが増えたときたら……ねえ?

 分からないと思っていたんだろうか……甘いね。ミーナとの楽しいダンジョン攻略に水を差さないでほしいね!


 「開き直らない!」

 「へい」


 怒られてしまった。

 いやぁ。やっぱり『天光』の威力は高いねー。人様に向けるものじゃないよー。消し飛んだ防具って中級くらいだったよねー、それが一瞬って凄いよねー。


 「現実逃避しないよ!」

 「へい」


 怒られてしまった。

 なんだか懐かしいなこの感じ。


 「もうソウはいつもそうなんだから」

 「ダジャレ?」

 「…ぅ………はぁ。もうやってしまったことは仕方ないか、ソウだし」

 「なんかこっち来るみたいだな。もう一発ヤッとく?」

 「や・り・ま・せ・ん!」

 「へい」


 ミズキとそうこうしているあいだにストーカープレイヤーが僕達の元へ向かってきた。

 防具は付け替えたようで、新しくなっていた。CREATUREの人はよかったね、そもそも装備を付けてなくて。


 「ほらぁ、ソウがあんな事したからこっちに来てる」

 「去れって言ったのにね。なんでだろうね?」

 「ソウが攻撃したからだよ」

 「初めの誘い出す作戦が成功したな!」

 「そうだね! ……もう」


 なんだかんだいってノッてくれるミズキである。

 ミズキは数枚のカードを出現させて腰に嵌める、戦闘準備だけはしておかないとな。


 やがて6.7人のプレイヤーが僕達の前に集まってくると、一触即発のムードが僕らの間を漂った。

 それぞれ武装をしているからか、お互い警戒心を刺激し合う。


 少しの沈黙のあと、相手プレイヤーのうち一人が前に出た。

 そして腰の剣に触れていた手を離し、勢いよく頭を下げた。ツルピカだった。


 「申し訳なかった!」


 お、おう?

 まさか謝ってくるとは思わなかった。絶対文句を言われると思ってた。


 「つい出来心だったんだ。まさか気付かれていたうえに、ここまで気分を害していたとは思わなかった」


 防具全破壊したことには触れてこないのね、頭を下げるスキンヘッドの男は冷や汗を滝のように流して謝ってくる。

 問答無用で天光をされる可能性があるし気持ちは分からなくもないけど、それならさっさと退散すればいい話だしな。


 ……それとも余程律儀な人なのか。

 一瞬ミズキと目を合わせるとコクリと頷いた。

 ミズキは一歩前に出てスキンヘッドのスイーツさんに声をかける。てかスキンヘッドでスイーツとか似合わな……こほんっ。


 「こちらこそすいません、防具破壊は少しやり過ぎました……ソウが」


 否定出来ない。


 「あ、いや……まさかあの距離でここまでの攻撃を受けるとは──」

 「ところで見たところ防具は中級から下級の物になってしまってるみたいですけど」

 「換えがなくてな、中級の物はあれしか──」

 「そうですか、もし良ければ格安で防具を売りますよ?」


 ワザとか故意にかスイーツさんの言葉を遮るように喋るミズキ。

 そして流れるように商売を始めた。メニュー画面を操作して中級以上の防具を表示する、その下には値段が表記されていて……。


 「高くな──」

 「はい?」


 この街で売っている中級装備よりは安かった……少しだけ。

 それでもずっと高い値段で売られている防具よりは安い程度だった。

 さて、ミズキはこれらの防具を一体幾らで仕入れたんだろう。


 「あっそういえばこの『そよ風』のカードが大量に手に入ったので、良ければCREATUREの皆さんもいかがですか? 安くお売りできますよ」


 標的はFANTASYのプレイヤーからCREATUREのプレイヤーへ。

 その『そよ風』のカードって今さっきミズキがSIMのショップメニューで大量買いしていたような。……1枚10DPで。


 「こちらも迷惑・・を掛けてしまったので、今ならサービス価格1枚100DPで!」

 「……ちなみにその『そよ風』の効果は?」

 「そよ風が起こせます」

 「え?」

 「そよ風が起こせます」

 「それ以外では」

 「そよ風が起こせます」

 「…………買います」


 貼り付けたミズキの笑顔には「買うよな? な?」という威圧が込められているような気がする。


 その後にはホクホク顔でスキップするミズキがいた。その背景に肩を落として退散するプレイヤーがいる事を僕は知らない、知らないったら知らない。



 「ただまぁー!」

 「おかえり、ミーナ」

 「あら? なんだか人が少なくなったわね」


 ミーナ達が帰ってくると皆目一番にトリアが辺りを見渡す。その後何かに納得したような表情をしてミズキを見た。

 そのホッコリとした顔にトリアは満面の笑みで近づく。


 「確かその場所でなら高級猫缶が買えていたと思うわ。……いま猫缶が切らしていて困っているのよねぇ」

 「……『こねこ』」

 --にゃー


 トリアの目配せにミーナは黙ってこねこを召喚する。

 召喚されたこねこはミズキに擦り寄って一鳴き、トリアの「買ってくれるわよね? ね?」と無言の笑みがミズキを威圧したのだった。











             ★★★










724.スイーツ


金色からお叱りを受けた

よって退散する



725.Pendragon


金色には関わるな

ぼったくられるぞ


            (和訳済)



726.Lupe


俺は潔く30層に戻って攻略を進めるよ

ぼったくり防具……前のやつより性能良いし


            (和訳済)



727.Pendragon


俺は大量に『そよ風』を買わされた……

ねえ、これ何の役に立つの?


            (和訳済)



728.yacc


これは見事にやられたな

しかしすぐに逃げれば良かったんじゃないか?


            (和訳済)



729.スイーツ


俺たちの行動は完全な迷惑行為だったからな

それにあの距離で尾行していたのにも関わらずピンポイントで狙いを定めてきていた

名前が割れている可能性があったし、GMコールされてペナルティを負うくらいならなぁ。



730.yacc


考えすぎじゃないのか?


            (和訳済)



731.Pendragon


>>730

いや実際GMコールを受けてゲームデータの永久凍結をくらった奴もいるらしいぞ

何があるか分からない以上慎重にならざるを得ないからな


            (和訳済)



732.ミズキ


こんな所でやり取りをしてる時点でバレバレなのは気付いて欲しいけどね

まあでも、うちのリーダーが嫌な思いしていたら……本当に永久凍結していたかもね



733.Lupe


!?



734.Pendragon


!!?!



735.スイーツ


……マジかよ








           ★★★







 「ほらミズキ、早く行くぞー!」

 「へーい!」


 ミズキは開いていた掲示板を閉じると駆け足でソウ達の元へ向かったのだった。




 

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