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56話 美唯菜と体育の時間



 体育の授業はいつもよりずっと楽しい。

 根元くんが男に戻っているから、男子の目線がいくことも無く、女子の睨みが男子を襲うこともない。


 いつもなら色んな嫌がらせがあるんだけど、今日は逆だった。

 というか過保護なくらいに気を使われている。

 体操の時に転けそうになったら支えてくれたり。

 1000m走の時に転んだら道を引き返してでも集まってくれたり、その時に必要以上に『ヒーリング』してくれたり。また転ぶと、その後は固まって走って私が転ばないか見守られたり。


 ……私、転びすぎじゃないかな。


 「みぃ」

 「……ん」


 今はゴリ先生が授業内容を変えたみたいで、男女混合テニスからほぼ自由行動のようなものになった。

 個々が自分の身体的に変わった所を中心に運動するというもの。というのもVRゲームによる体の変化を慣れさす為らしい。


 奏は学校側が生徒の能力を記録する為とか言っていたけど、私は楽しいから気にしない。

 というより私も気になる。

 FANTASYの人と、それ以外の人。FANTASYには『固有スキル』っていうのがあって種族に応じた能力があるけれど、それ以外の人にはそんなものは存在しない。

 それが見た目だけ変わっているのか、身体能力は人族と変わらないのかとか。


 いま真紀ちゃんが横で黒羽をパタパタと動かしているけど、全く空に浮かぶ気配がない。

 でも猫獣人になった私は動きが軽やかになった……ような気がする。ぴょんぴょんと動いて転けそうになって奏に支えてもらったりしてるけど。


 でも種族で人族を選んだ人はどうなんだろう。

 身体能力とかは変わらないままなのかな? でも変わらないままだと、他の種族より差が出てそうだ。


 現に根元はクラスメイトの男子と競走しているけど、ほぼほぼ負けている。というか虎の獣人とか凄い速い。完全に私の上位互換だよ、私は猫だし。


 「かなと、とばないの?」

 「ん? あぁ天族は翼があるからそっちに目を向けがちだけど、こうして見ると全体的な能力が人族の時と比べて違う感じだから。昔からVRゲームで色んな種族を使っていたから違和感なく体を動かしていたけど」


 へぇ〜。天族も翼以外で変わっているところがあるんだ。

 一瞬人族に翼を生やした感じに見えるから、飛べるところ以外は人族と変わらないって思ってた。でも確かにそれだとFANTASY以外の人は飾りの翼が生えただけになるもんね。


 「……もしかしたら人族との違いを確かめるために現実への種族反映を選ぶことが出来るのかもしれないな」

 「そうなの?」

 「それも一つかもってだけ。それにまだ魔力付与は広まっていないのか……」


 魔力付与? なにそれ。FANTASYのスキルか何かかな?

 でも確かに種族反映しないで人族に戻ったら、何が変わったか分かるかもしれないね。


 「まき、ちゃん」

 「なになにー?」

 「まきちゃんは、その……血、とか、吸いたく、ならない?」


 真紀ちゃんの種族は吸血鬼だから、血とか吸いたくなるんじゃないかなって思ったんだけど。あと日光とか、ニンニクとか……。


 「んー。美唯菜ちゃんの血なら吸いたいかな」


 真紀ちゃんは吸血鬼特有の八重歯みたいなのを出して言う。

 私は首元を少し出して真紀ちゃんに見せる。吸血鬼が吸うところといったらここだよね。


 「……はい」

 「じょっ、冗談だよ! 冗談っ。うそうそウソ」

 「のまないの?」

 「……い、いただきますっ」


 真紀ちゃんは恐る恐る近寄ってくる。というかにじり寄って来た。

 あれ? 冗談のつもりだったんだけど……。


 「はいはい、ストップストップ。みぃも佐鳥をからかわない、真顔で分かりにくいから」

 「えっ、あっ、もしかして冗談を冗談で返された?」

 「……うん」

 「うわぁあああ!! 恥ずかしいー!」


 真紀ちゃんは膝を抱えて悶えてしまった。耳まで真っ赤にしてる。

 私はしゃがんで真紀ちゃんの頭をよしよしした。ふふっ、撫でられ慣れてるから撫でるのも簡単だ。


 「……美唯菜ちゃん」


 うる目で真紀ちゃんが私を見てくる。

 私はもう一度首元を見せて言った。


 「いる? …………あっ!」


 ──カプッ。

 そんな擬音が聞こえた気がした。


 牙は立てずに甘噛み。痛みはなく、あるのは首元から起きるくすぐったいような何か。

 キュンと締め付けられるような感覚が首元から湧いてくる。

 今絶対顔が真っ赤になってる。熱い、顔が熱いよ!


 真紀ちゃんは首元から口を離すと、小さく舌をだした。


 「仕返しだからね」


 いや、真紀ちゃんも顔真っ赤だよ! 仕返しになってないよ!

 たぶん相打ちだから!


 っと! 急に後ろから体を持ち上げられ抱きしめられた。

 この手の感触は奏かな。


 「かなと?」

 「佐鳥、僕のみぃを取らないでくれ」


 顔を上げて奏を見ると少し膨れてる。

 怒ってるというより、拗ねてるような……嫉妬? いやいやそんなこと……あれ? 奏が凄く可愛く見える。


 「相馬くん、これは女の子同士のスキンシップなんだよ。女の子同士の友達は首とかにチュッチュするんだよ」


 なんか真紀ちゃんが真剣な顔で言ってる。いや目がグルグルしてる。顔も真っ赤だ!


 「なら男女のスキンシップはもっと凄いことになるはずだ! こうなればみぃとチュッチュ以上の事をしなければっ」


 んんん? 奏くん?

 なにか混乱してないですかね?

 チュッチュ以上の事ってなにかな!? 何をするつもりかのかな!!


 「……みぃ」

 「ひゃっ! か、かなとっ??」


 耳っ!?

 耳がなんか!! なんかなんかっ!!

 奏がっ! はむって!


 「ひゃんっ! んっ……かな、とぉ」


 んっ! ……あっんふぅ。ああっ!

 かなと……奏っ!


 「…………もっ、と」

 「……みぃ」

 「かな……と」


 すごく変な気持ち。頭がグルグルで、なにも考えられなくなる。だけどもっとしてほしい。

 何か来ちゃう。耳なのに、耳なのにぃ!


 「やめんかい!!」


 ──カリッ


 あっ。


 「ん〜っ!!」


 あぁぁっ……ふぅ、ふぅ…………にゅぅ!


 「み、みぃ!」


 身体が痺れて、腰に力が入らない。

 奏の支えが無くなって、地面に座り込んでしまう。

 なんだかポヤポヤしたような。何が起こったの?


 「根元が急に頭叩くから」

 「いやいや、さっきのはどう考えてもやりすぎでしょ!」

 「2人とも大問題だから! 相馬くんの行動に思わず呆けてしまったけど! 美唯菜ちゃんを私が隠さなかったらどうなっていたと思っていたの!?」


 ……どうなっていたの?


 「とにかく! 2人とも反省して! 美唯菜ちゃんもこういうの許したらダメなんだからねっ」

 「まきちゃん、も……チュ、したよ?」

 「あ、あれは美唯菜ちゃんが! ……それに相馬くんみたいにあんなになるまでやるのがダメで」


 私どうなってたんだろう。あんなになるまでって……。

 あとそれは、「あんなになるまで」じゃなかったらいいということじゃないよね? 私は、その……いいんだけども。


 「4人とも集合かかってるよ。イチャつかないで早く行かないとグラウンド走らされるからね」


 クラスメイトの鈴木さんが走りながら教えてくれる。

 見ると集合場所には皆が集まっていた。……いつのまに。


 「と、とりあえず行こう」

 「そ、そうだね」

 「あぁ」


 根元に同調して頷く私達。集合場所にいくと、ゴリ先生が2.3言喋る。その後すぐにチャイムが鳴って体育の時間は終わった。


 ……なんだか色々あった時間だったな。



注。耳は行為に含みません。です。はい。

猫耳ですから口に含みたくなるのも当然ですね。←


 ★猫の小判


 効果

 猫を手札に戻せる。SPは回復しないが、再召喚可能時間が0になる。なお猫は全快する。


 紹介文

 ここに小判があるにゃー! はやく戻るのにゃー!

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