閑話 霊凪の日記・1
✖月◯日 天気 晴れ 気温 中々暑い
私の名前は萱堂 霊凪。
夜にコムギから持ってきた荷物を整理してる中、
ペンと手帳を見つけた。
朝起きて通しで荷詰めしたから混ざったんだろうね。
良い機会だからこれで日記をつけようと思う。
……と、思ったけど、何を書こうか迷うね…
───結局悩んで朝になっちゃったよ…
でもおかげで思い付いた。
旅に出てからのことを書こうと思う。
凄いありきたりだけど、誰に見せるわけでもないしね。
あれから一週間が過ぎた。
皆もほとんど変わりない。
一週間前に知り合ったばかりだってのに、
スイもハウザーも兄弟かってぐらい仲がいい。
あれが海外特有のフレンドリーさ…
ちょっと羨ましいかもしれない。
…ハウザーの言ってた黒尽くめの女……
私達の敵についても、怖いぐらい音沙汰がない。
既に振り切れたのかは分からないけど、
分からないことを不安がってても仕方ない。
万が一に備えつつ、お気楽にやっていこうと思う。
そろそろ次の大きな街が見えてくる。
着いたら早速人探し大作戦だ。
初めてのことだし、きっと大変だろうけど。
それでも、世界を救うにはやらなきゃいけないことだ。
人を探す。
それは偏に、情報を探る為だ。
人は情報の宝箱。
私達の知らない場所、知らない現象、
知らない条件、知らない全て……
それを、他の人は知っている。
もしかしたら、この異常現象についての心当たりすらも。
…無いと思う?
私はね、いると思う。
あれは…何年前だったかな。
公園かなんかで遊んでる時に、出会った子がいたんだ。
その年頃の子にしては妙に大人っぽい言動してたから、
まだよく覚えてる。
『人はね、情報の宝箱だよ。
もしもゾンビパニックだとかで
君だけ孤立したら、まずは積極的に人を探すといい』
『どんな奴であっても、例え赤子でさえも、
君が知らないようなことを知ってるからね』
人が消えて、異能に目覚めて、
そんなとんでもない状況だからこそってのもあるのかな。
ここ最近でふと思い出したんだけどね。
そう、人は情報の宝箱。
これはあの子の受け売りだ。
宝箱を探して、事件を解決できるような大秘宝を探す。
子供心に突き刺さっちゃうよね。
きっと、あの子はこれも狙ってやったんだろうなって。
思えば、ちょっとスイに似てるかも。
けど、あの子はスイじゃない。
女の子みたいな声だったし、
何よりも、スイよりもずっとずっと青い髪だった。
まるでブルーペンキを頭から被ったみたいな…
私は、あの子を探してる。
思い返すと、あの子の言動の数々は、
この異変のことを暗示してたように思える。
まるで…まるでそう、私達がこの異変に巻き込まれて、
その行く先に困らないよう、ヒントを残した、みたいな。
とは言ったものの、
当の私でもこれはないなって思う。
だってあの子も子供だった。
大多数の人間が消えて、
残った人が異能に目覚めるような、
漫画の中のお話みたいな事件を、数年も前に当てられるはずはない。
でも、同時に、あの子は生き残ってるとも思う。
何の根拠もない勘だけど、でも、そう思う。
だからあの子を探すんだ。
きっと、凄い宝箱を持ってるから。
こんな異変を示唆できるような、凄い宝箱を。
秘宝を、持ってるかもしれないから。
……私はつくづく、人頼りだね。
書いてて嫌になってきちゃうよ。
……まずい。気付いたら
あの子のことばかり書いちゃってた。
私は"恋に悩むヒロインか!!"
(消しゴムで荒々しく消された後が残っている)
ダメだね…私ツッコミ適正はないや……
車が止まった。
今日の分は一旦終わりにするよ。
また明日ね日記さん。




