図書館への道のり1
食卓に着くとお父様、お母様、ユウタはもう座って私を待ていた。
「おはよう」
「おはよう」
私が三人に挨拶をすれば、三人は声を揃えて挨拶を返しくれた。
うう……。昨日考えたせいで全然落ち着かない。
でも、やっぱり、家族の絆は変わらないのだな。
弟のユウタからは懐かしい匂いのような、絶対に大丈夫のような感じがする。
まるで、本能が家族だったよ、と言っているみたいだ。
朝ご飯を食べていると、図書館に行くことを思い出した。
「お父様、今日は図書館に行ってもよろしいでしょうか?」
「別に構わないが急にどうしたんだ?」
うっ、本当は今までの記憶を思い出したんです……。それで、引っ掛かる所があるので、神界の掟について調べに行くんです。なんて言えるはずもなく──。
それに、勘違いだったら、はずいし…。
お母様と弟のユウタを見ると、こちらも興味津々に私を見ていた。
「いえ。もっとこの神界とチェーロ家系について知りたくなったので」
一応…、嘘はついてない……。
でも、罪悪感が……
「えらいな。なら取り寄せようか?」
「い、いえ、違う本も見て見たいので」
「そうか。気をつけてな」
「はい。お父様ありがとう!」
◇◇◇◇◇◇
「お嬢様、とっても似合っていますよ」
「ありがとう、なな。」
私は、図書館に行くためにメイドのななに支度をしてもらっていた。
改めて鏡を見る。
「わあ、すごいっ!ななの技術は毎回私を驚かされるわね」
「いいえ、お嬢様の髪がとても美しくて、こちらこそ編みがいがあります!」
ななは、私の腰まで伸びたアメジストの髪を編み込みをしたハーフアップにしていた。さらにパールやビーズ、花飾りをかるく盛っている。その絶妙の感じがとっても良くて、感動で私の語彙力がなくなる。
服は、髪型に合った白いワンピースで、とてもバランスが良い。
図書館に行く支度が出来たので、家を出ようとする。
すると、お母様がやってきた。
「愛莉、馬車を使って図書館に行くよね?馬車は準備したの?」
「いいえ、お母様。私は歩いて行きます。結構近いですし、町の様子も知りたいので」
「そうなのね、分かったわ。じゃあななと一緒に行きなさい。ぐれぐれも一人にならないように!!気をつけてね」
「はい」
私はお母様に見送られて、家を出た。
「何かあったら、知らせて!気をつけてね!いってらしゃい」
「はーい!いってきます!」
──その時はまだ、図書館に行ったことで後のトラブルが起こるきっかけになるとは、夢にも思わなかった。