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狂ってしまった歯車  作者: 空雨 依里
一章

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4 前世の思い出

 私の前世は風芽という名前で、弟の風牙とお母さんの落葉。そして、お父さんの牙狼の四人家族で、神界で暮らしていた。


 ちなみに、私──風芽は自分の名前の由来が大好きだった。なんでも、大好きなお母さんの名前からで、落ちた葉の後から発芽する芽という意味で【芽】とし、風芽の【風】は、風に吹かれても発芽する芽のようにたくましく健やかに育ってほしい、ということらしい。


 お母さんとお父さんが大切に考えてくれた名前が、私の宝物となったのは言うまでもない。


 風芽で生まれた時は、当然今までも色々な思い出が私の心に残っていた。友達と笑い合った日々、忙しい仕事や大変だった生活、出会ったいろんな人たち……。


 しかし、生まれた時に一晩に感じたのは安堵だった。

 ああ、またお母さんとお父さんに会えたんだ、よかった……。と。


 この神界では、生まれて来る時は赤ん坊ではない。


 亡くなった時の姿になって、神界に来る。その時に家族や先に亡くなった仲のいい友達が向かいに来ることが多い。そして、新しい名を預かるのだ。


 新しい名前を受け取れば、その瞬間から“家族”として再び結ばれる。それと同時に、来世でもまた、同じ家族として生まれ変わることが約束される。姿も、子供の姿になり、人生を歩んでいく。


 逆に、迎えが来なかったり、新しい名前を受け取らなかった場合は──家族の絆はそこで途切れ、新しい命として全く別の家族に生まれるのだという。


 だから、『家族の繋がりは変わらない』ところは厳密に言えば少し間違っている。でも、家族が迎えに行かないことや新しい名前を受け取らないケースは非常に少ない。


 体験したことがないから詳しくはわからないけど……『家族のつながりは変わらない』のところは合っているとも言えないこともない……? 大体は……。


 身内の誰かが亡くなるとゲートのようなものが現れる。

 その時に、行くか行かないか聞かれ、「行く」と言えば、ゲートが開き、迎えに行ける。逆に「行かない」と答えれば、ゲートは無くなるらしい。


 私は「行く」としか答えたことがないから、言い切れないけど……うん、多分そうでしょ。本に書いてあったから、そのはず……っ!


 たまあに本当にたまーに、その人が最期ギリギリのとこで迎えに行くことがある。とっても例外だけど。


(……でも、やっぱりおかしい)


 今世では新しい名をもらってないし、前の人生で私は新しい名を受け取ったんだから、人界でも同じ家族になるはず。でも──私たちはならなかった。


 というか、まず人界じゃない!! それが一番の違和感だった。

 ここまで来ると、神界のルールが変わったのかを疑うべきなのだろうが、……私は聞いたことがない。


 そして、もう一つの疑問を口にした。


「だったら、お母さん達は、私を迎えに行かなかった……?」


 自分で言っているのに、その問いが胸に刺さる。

 信じたくないけど、……もし私を“選ばなかった”としたら──


(……ううん。それはないと信じよう)


 そのためには、家族の絆について、改めて調べる必要がある。



◇◇◇◇◇◇



 コンコン


 カーテンの隙間から差し込まれる光の部屋で、ドアをノックする音が響いた。


「お嬢様、起きていらっしゃいますか?」

「ん……」


 専属メイドのななの声で、私は起き上がる。


(……あさ?)


 どうやら、家族の絆について考えていたまま寝落ちしていたみたいだ。


「失礼します。お嬢様、支度をさせていただきますね」

「う、ん……ありがとう……」


 ボウとしながら、返事をする。


「出来ましたよ、お嬢様」


 ななの声に眠気が一気になくなった。


「……え? もう!?」

「はい」

「ありがとう」


(いつの間に?)


 とりあえず、礼をいうものの、内心では困惑中だ。


「お嬢様、朝ごはんが出来たので移動しましょう。旦那様たちがもう待っているそうですよ」

「うん! 今行く。なな、いつもありがとう」

「どうしたのです? 急に」

「ううん、なんでも」


 ななと話しながら、私は朝食を取るために部屋を出た。



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― 新着の感想 ―
展開が読めなくてワクワクしながら読んでます! こうゆうお話を私は全然思いつけないので尊敬します…
2025/05/01 21:14 ななもりくんしか勝たん❤️
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