火山の巣窟 part2
キィィン!
「フェン!後ろを頼んだ!」
(やばいな。このままじゃジリ貧だ)
零蒔が今いる場所はバルティアン火山の中層の5階にて道を塞ぐ魔物達と相対している
バルティアン火山は下層、中層、上層、天上という四つの大きな階層に分かれていてそれぞれの階層が上がる事に空間の温度は10℃あがる。
更にこの階層は下層と中層は10階、上層は5階、天上は1階存在する。
つまり、バルティアン火山は全部で26階層のダンジョンとなっている。
零蒔はその中で中層の半分で魔物が大量に出現し相対している
(このまま攻撃され続けられたら…クソ!何弱気になってんだよ!こんな所で負けてしまうほど俺は弱いのか?違う!弱いのは自分の力を理解してない証拠だ!理解しろ!自分の力を)
「フェン!3分時間を稼いでくれ」
(ステータスオープン!)
ステータス
名前:八鍵 零蒔
年齢:17
性別:男
種族:人族
職種:旅行者
レベル: 35
HP:4500/6400
MP:3170/9750
防御:2450
運:650
【スキル】
超鑑定
隠蔽 Lv5
複合 Lv4
念話 Lv3
剣術 Lv8
武器召喚
万物統制
???
???
???
魔法属性:無
【ユニーク魔法】
創造魔法
【魔法】
スキル生成
万物創造
(武具創造)
(生物創造)
魔法創造
錬金術
[称号]
巻き込まれた者 異世界人 創造主 神殺しの英雄 神の祝福から外れた者 錬金術師
使えそうな武器は鏡月くらいか…
俺が鏡月を今まで使えなかったのは理由がある。
名:鏡月
ランク:神級
属性:虚無
スキル:物理反射
魔法耐性
魔力吸収 lev最大(封印)
覚醒 (封印)
天乱 (封印)
俺がエルフの街に飛ばされて修行を始めた頃に鏡月を使って見たら魔力吸収、覚醒、天乱が封印状態にされている事に気づいた。
長老と俺は狂剣ハウル戦による自身の能力不足だと判断し、剣術も同時に鍛えたがこの封印が解かれることは無かった。
それらから導かれた答えは確かにこれは自分の能力不足だったということは間違いではない。
違うところは『自身の覚醒と鏡月の覚醒』の力の相違が等しくないということではないかということになった。
長老は古代より伝わる勇者による魔神討伐の伝記にはかつて召喚された勇者の中に1人、強大な魔力、強大な無属性魔法の使い手、妖刀と謳われた大剣を扱える勇者がいたが、修行の序盤において大剣の力が封印され、フルに活用することが出来なく悩み、それでも修行を諦めずに取り組んだ結果、その勇者は覚醒の域に達し、封印も解かれ、その力で魔神領を圧制していったと記されていたと言った。
だから俺は自分の能力が完全に活かされていないことに気づき、自分の能力の覚醒が鏡月の覚醒に関係があるのではないかと考えている。
覚醒などしていなくても鏡月に備わる力が強すぎて現状の苦しい状況を挽回するために使うんだけどな。
とにかくフェンには休息を取ってもらわねば、こんな所で体力が尽きては元も子もないからな!
「フェン!スイッチ!お前は少し休んでおけ」
零蒔はフェンリルにそういうと鏡月を片手にフェンリルの前にいる魔物を切り捨てた
「承知!」
「レットゴブリン…火山に生息することにより体色が赤になり、身体能力が急上昇し、知能が上がる」
レットゴブリン
A級・亜種
種族:ゴブリン
武器:棍棒
Lv.67
HP:4440
知能:200
MP:450
スキル
棒術 Lv.12
縮地 Lv.4
火焔 Lv.Max
中層からこいつらが出てくるとかどんだけムズいんだよ!
スキルの中に知らないものがあるが恐らく火を吐く的な感じだろう。鏡月があるから火焔と棍棒の攻撃は効かないだろう。ただ縮地を使われて至近距離で火焔と棍棒の攻撃を喰らえば一溜りもないな。
「ギャアイヤァー!」
「これは相当お怒りのようで…」
ゴブリンは真っ直ぐこっちに向かってきた。
俺は何をする訳でもない。ただゴブリンの動きを見るだけ。それだけでいい、後は勝手に体が反応するだけで避けることが出来る。
右斜めから棍棒が振り落とされたそれを零蒔は右に体を倒しつつ避けた
「ギィヤ?!ギギギィ…ギャア!!!」
ゴブリンは零蒔が避けたことに驚きを見せたがすぐにリターンを始めた
レットゴブリンの身体能力は軽く帝国騎士の動きに匹敵すると言われている。それ故に零蒔に攻撃を仕掛けるごとに次に動き出す動作の短縮化、時には騎士を軽く凌駕する動きをする
したがって零蒔がいくらゴブリンより身体能力が高くとも学習能力が高い生物かつそれに耐えうる肉体を持つレットゴブリンの攻撃を受けてしまう
「こいつ!攻撃するたびにものの効率化を測ってんのか?それを実行出来る知力と肉体を持ち合わせてんのかよ!」
このゴブリンまじでチーターだな
(これはヤバイな。このまま受け続けていたら流しきれない)
「蒼呀一刀流二橋、劉旺業」
自分が自分含む殆どの生物が本来進むであろう時間軸から一瞬だけ外れることによって瞬間移動をしたように見せる技だ。
何故瞬間移動したかのように思えるかというのは、約一秒単位で振動を送る心臓、心拍を無理やり早く動かすことによって時間軸から外れることが出来る。
激しく運動したあとの心拍の速さではなく、突発的かつ非効率的の振動いわば、主点から見ると自分以外の時間が2分の1のような速度に感じる。つまり、零蒔は周りより2倍速で動けるということ。
2倍速なら二橋、3倍速なら蒼渓、4倍速なら長享、逆に2分の1なら宝来、3分の1なら来乱と分けられている。
もちろんこの技には欠点がある。
いくら早く動けるとしても心拍操作するのだから自らの心臓を破壊してるようなもの。1日に何度も使用すれば寿命を縮める行為に等しい
劉旺業…対象に横薙ぎの一閃を入れる。不知火より強く鋼鉄をも真っ二つにすることが可能な業
これでこのゴブリンが死なねぇなら更に、更にもっと上の業を使うまでだ!
キィィィン、スパッ…
「ギィヤ?!ギィギギギギ」
劉旺業を使ってさえレットゴブリンを二つにすることが出来なかった。だが、ゴブリンの肉を半分以上まで削り、ゴキブリは痛みにもがき、バランスを崩しうまく立ち上がることが出来なくなった
「あばよ、お前如きに足を止められるほど俺は弱くねえよ!」
トドメを刺した零蒔は次の階層に向かうためのボス部屋の前まで、フェンリルは魔石を拾いながら走っていった
「中層はボス部屋が2つしかないんだっけか?5階と10階に一つずつ…5階はゴブリンの群れだったけど10階も同じかな?」
「フェン!準備はいいか?ぱぱっと片付けて上層に向かおう!」
「俺が準備などする必要がないです。息を整えるだけで終わりですから!」
そういえば、フェンは荷物も武器の準備も必要ないのか…なんて羨ましい奴なんだ!
ま、主より準備が遅いことなんてあれば従者失格だけどな。
零蒔は中層10階ボス部屋の扉の前に立った。
センサーかなんかで零蒔が来たことを察知し、扉が自動で開いた
ウィィーーーーーーーーーーーーーン…ガタン!!
「バルティアン火山ね〜…俺の能力の血となり肉となれ!」