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最強魔術師が魔法世界で無双する?!  作者: 金糸雀
二章 シッカ王国からの旅立ち
33/73

パート2

 

 それからラントの街を一通り周り、会った全員から歓迎され、最後に長老の元に向かったがこれまた歓迎された。この世界の人はもう少しいきなり現れた人間に対して危機感を持つべきじゃないか?俺にとってはこの対応は嬉しいけども。

 長老の計らいのおかげでラントで過ごすことにはなったが、泊まるところがなかったのでレナウラの家に今は泊まっている。

 ラントにお邪魔になってから一週間ほど経ったある日いつも通りレナウラの家で魔法をレナウラから教えてもらっていると長老からの呼び出しがあったため長老の家の玄関の前まできている。


「長老さん、はいりますよ」


 零蒔は玄関を開けて、入ると長老が巻物のような筒を一旦机に置きこちらにきた。


「やっと来よったか!お主に見せておきたいものがあるのだ。これを見ておくれ」


 長老は机の元まで来るように促した後さっきまで持っていた筒についている紐をほどき零蒔に見せて来た。

 巻物には2種類の言語で書かれていた。

 その巻物に書かれていたことを読むことはできなかった。正確にはこのラビアでは一生目にすることはないであろう文字が使われていた。ここでの生活が慣れこの世界に使われている文字は地球では見たこともない文字であったが、召喚魔法のおかげなのか言語認識を簡単に処理してくれたためすっかりこの世界に使われている文字に慣れてしまった。

 巻物に使われていた文字は日本語と英語で書かれていた。ラビアの言語に慣れてしまったことによって日本語と認識するのが遅れてしまった。最初に「何だこの文字は?」と感じてしまった俺は馬鹿なのだろうか?

 俺は文字を眺めて懐かしさを覚えたとともに恐怖を感じた。

 なぜラビアに存在することがないはずの文字がここに使われているのか、ということに、、、。



 以前から勇者召喚として召喚された者が元の世界に帰る方法は存在しなかった。魔族を討ち滅ぼすことができていれば今頃巻き込まれた自分が元の世界に帰っていられるからだ。だが、勇者召喚が行われたことは記述となって残されている。

 元来、勇者が召喚された場合、勇者が残した物は全て何も残さないように消さなくてはならなかった。異世界の文字を異世界に残しておくことはタブーであり、異世界の産物も残すことはタブーなのである。故に世界共通として勇者が残したと言われる物は全て灰にするようにと取り決められた。


(俺の推測が正しければラビアの住民が決めたことではなく、ラビアそのものが取り決めたルールだろうが)


 零蒔はふと図書館で見つけた召喚に関する文献の一節に記されていたことを思い出した。


 もし、仮に本当にこの巻物を残していたのであれば、人族の誰も立ち寄ることを許されないエルフが何らかの理由にて残していたことになる


「長老さんこれはいつ手に入ったんです?」


 零蒔は自身の世界の産物だとするならばこれは世界に変化をもたらす象徴になることを恐れ、いつ手に入ったのか聞かなければならなかった。


「確か100年くらい前だったかのぅ。4人組の男女がこれを書いて絶対に捨てないでくれと頭を下げて来たのを覚えておる。それとまたいつか勇者がここに訪れたらこれを見せてくれとな」


 零蒔はここで2つのことを思い出していた。

 1つは、図書館で読んだ召喚の本で世界と異世界での時系列は異なるということ。

 2つは、零蒔が中学2年の時、現在零蒔の通う高校の3年で集団人攫いが起きた。そのクラスは学年で最も生徒の数が少な過ぎた3年2組だった。

 朝のホームルームの後、教師が教室から出た直後に起こった。教師が教室の異変に気付いた時にはすでにその教室はすっからかんだった。正確には生徒たちの荷物だけ置かれ人間の姿だけそこにはなかったという。そして、その生徒たちがその学校に、自分の家に帰ることはなかったという。これは学校では都市伝説として取り上げられていた。後から入って来た生徒たちも都市伝説と信じた。

 その数年前にも同じことが起きていた。その時もなぜか3年2組の生徒数が周りと比べ四分の一と少ない時であった。そして今年も人数は他クラスより一番少な3年2組。


 あまりにも偶然とは思えない出来事だ。同じ高校で同じ条件下で俺らは、異世界に飛ばされていた。その人達はすでにこの世界には存在しない。否、両世界には存在しないはずの人間となった。この世界に必ず飛ばされることはないと信じたかったが、まさか巻物に俺らの高校の名が記されているとはな。恐らく俺みたいにこの世界について気づいた奴がいるかもと思ったんだと思う。


「長老さん、この文字は俺らの世界で使われているものです。それにこの巻物を作ったのは恐らく、数百年か前に召喚された勇者が残した遺産というべきものでしょう」


「では本当にこの文字はお主の世界のものなのか?それが本当ならこれを含む3本の巻物は政府の連中に見つかるわけにもいかんなぁ」


 長老の言っている通りだった。この巻物を書いた人物が零蒔ら勇者の数年前から行方不明になっている先輩にあたる人たちが記したのだ。これを政府、つまり魔神を倒すために同盟を組んだ国々の中枢に知られれば勇者の真実を教えることになってしまう。それを世界政府は黙って見過ごすほど馬鹿じゃない。世界政府はこんな重要な記述を処理しないわけがない。


 この巻物を書いた先輩達は勇者一行から外れ独自で旅をし、俺のように帰れる方法を探したのだろう。だが魔神を倒すことができず軽い封印しかすることができなかったのだ。よって帰る方法をなくし、成果をあげることもできなかった。

 一時的に戦争が終わっても勇者を元の世界に戻せないと知っている勇者は単なる脅威でしかない。勇者一人でも国の一個大隊ほどの戦力が約10名いるのにもプラスして世界情勢も知られている。

 世界政府は勇者達による反乱を恐れ勇者の殲滅を開始した。国の犬という鎖も外れた勇者は抜け出して旅をしていたが、この事実を知り騎士が立ち入ることのできないであろうエルフの人たちに、いずれ同じ運命に会うであろう後輩にこの巻物を書いた。零蒔はすでに元勇者だった先輩の末路を推測し一人旅しようと考えていたのを実行に移したきっかけである。



 ここに記されていることを読むことができている者は俺が2年間と3ヶ月通い続けてきた創祀学園の後輩だろう。そして今から知ることになる事実を飲み込むことができるのはすでになぜ自分たちが勇者として召喚されなければならないのかを分かっている筈だ。

 このラビアに召喚されるのは確実に創祀の生徒でもっと言えば3年2組の生徒のはずだ。なぜなのかは未だ分からないが創祀の3年2組にはきっと何かあると思う。


 本題に入らさせてもらう。単刀直入にいうが今政府のいいなりになっているのであれば今すぐに自由に動くべきだ。俺は召喚された当初から王国や帝国の連中が言っていることに疑問を抱え密かに調べた結果国から抜け出すことにした。地球にいた頃から仲が良かった友達と一緒に。

 話がだいぶ飛ぶが魔神の存在を知り魔神を倒すことが本来の目的であったことを知ったクラスメイトはそれでも救うために頑張ると気合を出していた。しかし、魔神をガタガタの封印で一時をしのぐことしかできなかった。それ故に自分たちが地球に帰る方法の1つの選択肢がなくなってしまった。そしてここで1つ問題が起きた。勇者から後ろ盾となるなる国を取るとどうなると思う?ただのフリーターだ。実際に起こるわけがないと思っていたが起きてしまった。建前だとは思うが任務を果たせない使えない人間を養うことはないと。


 勇者達は密かに裏で殺され、いずれ俺を含む3人も殺されるだろう。近頃、このラントに乗り込めるように王都でラント出身のエルフを探しているらしい。殺される時が来ることに非常に残念だと思う。


 ここで巻物は終わっていた。零蒔が予測していたことが当たってしまった。零蒔は顔を青くし、その場に崩れ落ちた。残酷な結末に絶望を選ぶしかあり得なかった。


「なぁじいさん、、、これら俺がもらっといていいか?爺さん達が持っていたら帝国の奴らとかに裏で殺されちまうだろ?」


 長老は立ち上がりながら淡々と告げた零蒔に恐怖を覚えながら、深く頷いた。

 零蒔はテルミニアもシッカもどの国も恨んではいなかった。恨む必要が無いと感じたからだ。


 俺はラビアの監視をしている世界政府にただ怒りが収まらなかった。

 前任の勇者達はだいぶ優秀であったとダンさんから聞いていた。

 深く言えば今の勇者達よりも伸び代があったと

 聞いていた。そんな勇者が封印で終わってしまったことに憤りを感じた。

 俺は魔神を封印でしか止めることができないという現実に4人の魔王すらその勇者達は倒すことができていなかったと事実を認めるしかできなかった。




「他の巻物も見てみたいけど今の俺じゃ全部を受け入れて今後について考えられる保証がないしな」


 零蒔は1つ目の巻物に書かれていたことよりももっと残酷な出来事が記されていたとしたら…と想像してしまったのだ。想像したから自身の脆さに気づいてしまった。今まで誰かに守られて生活してきていたことに、誰かのぬくもりを感じることでこの寒気から逃げ出したかった。



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