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最強魔術師が魔法世界で無双する?!  作者: 金糸雀
一章 テルミニア帝国で英雄譚の始まり
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パート9

 

 シンクによる訓練が始まり二日ほど経ったある日の夜、零蒔は1人誰もいない廊下ー図書館に行くための廊下を歩いていた。そこの廊下は零蒔含む勇者達が寝泊まりしている別棟から図書館に行くためだけに使われる廊下で、図書館はその別棟から真反対の位置にあるため本来は城内を通らないといけないのだが、廊下のおかげで城の下を通って図書館に直接行けるようになっている。

 その廊下の場所を勇者達の中で知らされているのは零蒔のみで、衛兵ですらこれの存在を知る人が少ないため深夜でも人目を気にせず向かうことができる。


 夜に歩くと本当に薄暗い印象で灯りもそんなに多くなく、人の気配もないため零蒔は落ち着いて廊下を歩いていた。時刻は既に日を跨いでいるので衛兵以外で人が歩いているのは不自然に思われるだろう。

 だがそんな空間において零蒔は少し違和感を持っていた。なぜならいつも誰もいないはずの廊下になぜかひとしきり明るい場所が目に映ったのだ。その明かりは廊下に付いている灯ではなく、携帯可能のランプのような光の彩りであった。

 不思議に思った零蒔は恐る恐る音をなるべく立てないように近づいてみると2つの影が何やら話しているみたいでを盗み見しようと試みた。


 今零蒔は、隠蔽の真骨頂である身体隠しを使用し、話し声がはっきりと聞こえる位置まで来ていた。


「僕の…にはあいつは……」


「ヒッヒッヒッ!ならぁおれがぁ力を貸してやんよぉ!」


 誰と誰が話しているのか気になり顔を確認すると思わず声を出しそうになった。

 なんとそこにいたのは、金井と衛兵の格好をしているが明らかに人間ではない容姿の何かが話していた。


「あ、あなたは一体誰なんですか?」


「んん?俺かぁ?俺はなぁお前が今必要としている力を与えるために来てやった神の使いみたいなもんだ」


 零蒔は直感した。こいつは悪魔だと。願いを叶える観点と神の使いという観点から、そしてその容姿から悪魔だと捉えることができた。日頃図書館の本を漁っていた零蒔が悪魔だと気づくことは容易なことだった。衛兵のような格好はしているが肌色は薄黒く刺々しい尻尾があったからだ。


 悪魔というのは取り憑いた者の願いを叶え、それが叶ったあと、身体を乗っ取り意識さえも乗っ取り魂を喰らう魔物と言われている。悪魔は願いを叶えてやるという決まり文句と神の使いだと誇示する。神の使いー正しくは魔神の使いなのだが釣りやすいように神の使いとなのる。


 零蒔はその衛兵が悪魔だと知ってもすぐに動くことができなかった。金井を助けてやりたいと思っていたが、それは上辺だけだと感づいてしまったから素早く対応することができなかった。助けるのはあくまで愚かな偽善者のすることだと。人間の醜い部分が現れてしまったことに零蒔は軽い舌打ちをした。


「本当に願いを叶えてくれるんだよね?」


「あぁ、もちろんだとも。お前の願いを叶えてやる。俺ァそんために来てやったんだからよ」


「なら、召喚された人たちを圧倒できるほどの力が欲しい」


「どれくらいなのかしらねぇが俺がお前の中に入れさえすればぁその夢はぁ叶えられるぞ?ヒッヒッヒッ」


 金井はそれが完全にダメだということを脳が警告をしていた。だが、人という生き物は所詮目の前にある欲に簡単に手を出してしまう理性を保つことができない生物だ。金井も人だ。目の前に力という私欲があるのなら手にしたいのは変わらない。本当に追い詰められた人間であればな。


「わかった。本当にそれで力が手に入るなら俺の中に入ってくれ」


 金井は負けてしまった、欲には勝つことができなかった。

 零蒔が動いた時には遅かった。既に悪魔が入り込んだあとだからだ。

 悪魔が入り込んだ瞬間、急に金井の体が黒いオーラに包まれた。金井は何が起こったのかわからなかった。零蒔も同様だ。何をすればいいのかわかっていなかった。故に零蒔は恐れてしまった金井という悪魔に。

 オーラがなくなった金井は口を開いた。


「ヒッヒッヒッヒッヒッヒァッヒァッヒァッハッハッハッハァア!ついに手に入れたぞ!勇者の体を。ジルシア様これで、これで勇者どもを内側から壊すことができます。それにしてもこれほど、深い闇を持つとはどんな生活すればこうなんだよ」


 悪魔に乗っ取られた金井はジルシアに忠誠を誓っていた。そして、悪魔の目的を知った零蒔は青褪めてしまった。

 悪魔は暫く変なことを口走っていた。


「んっ?ここは?はっ!そういえばあの変なやつが俺の中に入ってそれで…。ふふはははは!

 やったぞ!これであいつにバカにされずに済む!これで桐崎さんを守れる!」


 すると意識が悪魔ではなく金井に戻ったのか金井は、黒いオーラを出しながら高らかに笑っていた。


 ーーー


 なんで今こんなこと思い出したのだろうか?

 変な予感がしたがそれをまた無理に振り払った。


「ギィギギギィィギギギィィ」


 扉が開いた音がして扉を開けた先を見た零蒔はいや、そこにいた誰もが声を失っただろう。


 30層ー未だ誰も知らない未到達のフロア。


 サッカーコートが4つほど入るほどの広さに幅

 20数メートルほどの橋が一直線にかかっていた。橋の先には、次の階層に行くための扉なのか大きい扉が佇んでいた。ちょうどフロアの中心部には、横を低い塀で囲まれた橋よりも一回り大きいサイズのステージがあった


 誰もが予想してなかった展開になり目が点になったが団長のシンクがすぐに気を取り戻させた。


「ま、まあこれで探す手間が省けたと思えばいいんだよ。取り敢えずまだボスらしき魔物がいないから中心まで行こうか」


 なんとか仕切り直すことができたみたいので俺たちは中心部まで向かうことにした。


「いい加減にs…「ギィギュイギギギギュウァグァァァァア!!!」


 中心まできたが一向に魔物すら現れない現状にイラついたのか静かだった真田が声を出したと同時に被せられた音に全員の動きが止まった。


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