また一難
「ふー、今日のクエストも完了っと……」
スークの薬事件が解決した後でも、1号は盗賊ギルドに残っていた。ーーまあ、盗賊ってわりに良い人多いし、居心地がいいんだよね。
「おう、お疲れ」
「げ、ロリ博士……」
ーークエスト終わりに、ここの飲み屋の名物ホットコーラで一杯やろうと思ったら、面倒くさいのに出会ってしまった。
ロリ博士は前と同じく、賢者風の装いだ。
「そんなに露骨に嫌な顔するでない」
「もう、お前のクエストは、受けないからな!」
ロリ博士からのクエストは、いつも物凄く面倒くさい事に巻き込まれる。
「今日は報酬の件じゃ、フレンドにしてやると言っただろう」
「まさか……成功したのか?」
スークの薬事件の報酬として、ロリ博士は2号とのフレンド成立を約束していた。
「すまぬ、失敗だ!どうしても嫌らしい」
「……」
ーー散々苦労した挙句、谷底に突き落とされた。最悪だ。
「オヤジ!一番強い酒をくれ‼︎」
「あいよー」
ここの飲み屋の店員はやたら明るい。
「ワシは果実酒と芋揚げじゃ」
「まいどー」
ーー今日はトコトン飲もう、ギルドクエストの報酬で金は結構ある。
「3号にも頼んだが、同じく断られた」
「……オヤジ!果実酒、樽ごと持ってきてくれ‼︎」
「あいよー」
飲み屋のオヤジは、注文の品を手際良くテーブルに並べて、カウンターに戻って行った。
ーーこの果実酒は目に……心の汗が滲みでてくる。
「仕方ない、ワシがフレンドなってやる」
「うぅ……それはイラナイ……」
「な、なにおおおおおおおおおお」
ガコンと勢い良く店内の扉を開けて、ハカセの助手ウズキが入って来た。
「ハカセ、大変です‼︎クライアントから、この星からの撤退要求が来てしまいました‼︎」
「くそっ、思ったより早いな」
ーー撤退要求?どういう事だろうか?
「何かあったんですか?」
ロリ博士は果実酒を一気に飲み干して、一呼吸置いた。
「つまり、この星のサービス終了と言う事じゃ……」




