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第三話 知りたかったら


「おじゃまします。これケーキです」

「いらっしゃあ〜い穂花ちゃん!あら、ケーキ?ありがとう〜おやつにだすわね〜」


相変わらず、可愛いな九条ママ。九条が金髪なのは母からの遺伝らしい。目がパッチリ二重なハーフの美人ママだ。つまり九条はクォーターだ。一回しか会ったことはないが、確か父さんもワイルド系イケメンだった。

九条自体は、まるで王子様の様な容姿をしている。くすみのない金髪に色が白くて、目が二重。雰囲気は母の方に似ているが、ナヨナヨ感はない。どこか父の要素も取り入れられているのだ。

(イケメン+美人)÷2=美形


なんともイラつく式である。



ちなみに私は日本人形のような容姿だ。長くてまっすぐの黒髪とパッツン前髪。白い肌は自慢だ。顔は自分で言うのもなんだが中の上くらい。まあ、でもよくも悪くもまだ私は子供だ。これから、可愛いくなるのか、はたまた劣化していくのか......それは私の努力にかかっている!


「何故難しい顔をしているのです?早くテーブルについてください」


まったくこの男は....こいつは将来のお顔が約束されてるからいいかもしれないが、こっちは違うんだ。あのゲームはヒロインの顔がなかなか出てこないんだよ!でても後ろ姿と横顔くらいなの!わかる?ええ?


「わかりませんねぇ....」


ギクッ


「な、なにが?」

「いや、ちょっとこっちの話です」


うっわー。やっぱこいつエスパーだよ.....

私はもう心で九条に語りかけることはやめようと決意した。











そして、只今、九条の部屋で勉強中である。

お昼ご飯は、私の大好物、オムライスだった。美味すぎて二杯も食べてしまったので、ちょっとリバースしちゃいそうだ。


「じゃあ、僕は宿題終わったので」


私が、横で苦しんでいる中、九条はもう宿題を終わらせたようだ。というかさっき勉強中とか言ったけど、まだペンもってから30秒くらいしかたってないから!九条さん、あなたは天才か。

まあ、小学校一年生の計算プリントなんて、元18歳の私にとっても息をするようなものだけどね!


...という私は、3分かかった....。まあ一般小学生にしては早いさ、うん。


隣を見れば九条はゲームの世界に入り込んでいる。テレビゲームなので、しばらく私もテレビ画面でプレイ風景を見ていた。




チャーチャラッチャ〜ピコンピコンチャッチャ〜



........なんだこの違和感は⁈



九条ってゲームなんてするキャラだっけか。いや、しない。確かこいつの幼少期は、家で本ばっかり読んでる読書オタクな子供だったはずだ。

それを、外に連れ出すのがヒロインの役目で、明るく、元気なヒロインにまた惹かれていく......って感じだったと思うけど。

何かがおかしい。この部屋に本は図鑑しかないし、そういえば公園でサッカーの練習をする九条をよく見る。



「啓吾、ゲームなんていつ買ってもらったの」

「先月の僕の誕生日ですよ。僕の叔母さん、毎年図書券送ってくるんですけど、僕本なんて読まないんでカードが溜まってくだけなんですよね。だから今年はゲームがいいって言ったら了承してくれました。暇なんですか?一緒にやります?」



なんか予想を大きく上回った回答が返ってきた。


「うーん、いいや」

「そうですか」


特に気にする様子もない返事が返ってくる。


本当にこの人、あの九条 啓吾か。

だいたいここまでくると、おかしいのだ。


幼馴染。学園の王子様。生徒会長。小さい頃から明るくて太陽みたいなヒロインが好き。ヒロインに害をなすものは、素早く処理(笑)する。その甘いマスクで女の子から大人気!優しい私の王子様♡


が本編の彼のはずだが、目の前の彼は、


幼馴染→○(?)

学園の王子様→△ (毒舌王子で有名)

生徒会長→?

小さい頃から明るくて太陽みたいなヒロインが好き→× (私がまず太陽ではない)

ヒロインに害をなすものは、素早く処理→× (この前のプールの授業の着替えで隣の坂下くんにパンツを取られて、追いかけ回す私を大笑いして見ていた)

外ヅラが良い→△ (目上に対しての礼儀がものすごく良い。同年代に関しては、まったく)

女の子から大人気→× (最初はものすごい人気だったが、その毒舌っぷりに引く女子多数。でも嫌われてはいない)

優しい→△ (普通)

王子様♡→× (顔だけ。オカン)


となんとも、爽やか甘々王子様にはなれないデータである。

前世の九条ルートを終えた私は、なんとも言えないモヤモヤ感に襲われていたものだ。ひたすらラブラブするだけの九条ルート。一番甘いセリフを吐くのもコイツだ。


そして、何より決定的な違い。それは、彼が敬語キャラではないということ。


以前、彼と出会ってから三ヶ月くらいの頃、いつまでたっても、同年代の私に、しかもまだ6歳の男の子が敬語で話してくるのにとてつもない違和感を感じた私は、九条に聞いてみたのだ。なんで、敬語なの?と。

そして濁されたのだ!「......昔ちょっといろいろあったんですよ」と言って私の前から去ろうとする九条の背中に「アンタ何歳だよ!」と思わずツッコミを入れたことは今でも忘れられない。


その時、九条はハハハ、と笑って向こうへ行ってしまった。


乙女ゲームの世界を別に満喫したくない、私としては、九条 啓吾が九条 啓吾らしくないことは良いことなのかもしれないが。


......いや私はこの世界で普通に生きるため、ノートまで作ったのだ!三冊も!どうやって立ち回ればよいか、いずれヒロインとしての私に襲いかかるドキドキシーンを無理やり回避したりせず、いかに普通な対処をするか。全部思い出せるうちに書いたノートなのだ。


彼の性格が違うということは、私の対処まとめノート(大学ノート一冊のうちの三分の一)が無駄になるということ(泣)、そしてこれからの九条の行動が読めないということなのだ。


も、もやもやしてきた〜!

この乙女ゲームの世界を作った神よ、教えてくだされ〜!彼、バグってますよ〜!


「そんなに気になるなら、聞けばいいじゃないですか」


え!神よ、答えてくれるのか!


「では、お聞きいたします。九条 啓吾、彼の性格が本来のゲームとは違うのですが、どうすればよいでしょう。バグですか、でしたら修正をお願いします。」


その瞬間、マ⚫︎オが死んだ音がした。


「では、お答えしましょう。前世の記憶があるのは、君だけではありません。それと、また僕のことバグとか言ったら.....お仕置きするから」


神が出てきたと思って、九条の存在を忘れていました。神はあなたでしたか。神様、九条様。



......え?

読んでいただきありがとございました。

九条のお仕置きとはなんでしょうか(笑)いずれ書きます。




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