魔法のようなものは、魔法になれることもある
魔法がない世界ってのがある。
魔法がないのに、何一つ不自由なく暮らしている人がいっぱいいる。
魔法がないのに、魔法を題材にした物語が人気になっている。
魔法がないのに、戦っている。
魔法がないくらい平和なのかと思いきや、そうでもないらしい。
魔法がないくらい平等なのかと思いきや、そうでもないらしい。
魔法がない世界でも、魔法のようなものは存在している。
何かを願って、何らかの行動をして、なにかしら効果が表れた時…、魔法のようなものは、魔法として認定されることがあるのだ。
何度も何度も唱えているうちに、効果が出るパターンだとか。
ただただ一心に願いを文字にしているうちに、いつの間にか叶っているパターンだとか。
魔法のない世界には、確かに魔法は存在していない。
確かに魔法の存在しない世界なのだけど…、それなりに魔法っぽい現象は起きたりする。
だがしかし、なぜ魔法のない世界で、魔法のような現象が起きるのかは…謎だ。
魔法になれたら、魔法のようなものは、魔法の国にやってくる。
魔法になれなかったら、魔法のようなものは、魔法のようなもので終わるだけ。
まあ…、あれだ。
どう見ても腐っているのに、とにかく一回食べてみようってなって…美味い美味いと持て囃されるようになった納豆みたいなもの?
どう見ても落書きなのに、有名な人が芸術だと宣言したとたんに…巨匠扱いされるようになった芸術家のようなもの?
自分は魔法として発動したんだと思えたものだけが、魔法になれるのかもしれない。
そんなこんなで…、魔法のない世界から魔法の国にやって来た魔法。
彼らは、ごくごく普通の魔法たちと比べると、ほんの少し…エキゾチックな雰囲気を持っていたりする。
いたいのいたいのとんでけ族は、ごつい人も美形も丸い人も細い人…色んな容姿をしているけれど、全員ものすごーくやさしい。
明日天気になあれ族は、若い人も年老いた人も、女子も男子も…なんだかとっても落ち着いている。
手のひらに三回人と書いて飲み込む族は、豪快な人も繊細な人もおしとやかな人も泣き虫も…みんなオンチだ。
なんだかとっても人間くさいというか、なんというか。
やけに魔法っぽくないというか、なんというか。
雰囲気がまろいというか、なんというか。
魔法のない世界に住む人々は…すごい。
魔法がないのに、魔法のようなものを身近に置いている。
魔法がないのに、魔法のある世界を思い描いている。
魔法がないのに、魔法の国に多くの住人を届けている。
魔法のない世界で暮らす人々の願う気持ちが、奇跡を起こしている?
魔法のない世界で暮らす人々のピュアな心が、魔法に昇華させている?
人の思う力って…、ホント、スゴイ。
ただの魔法が心を得た、謎。
多分…ここらへんに、その答えがあると思うんだけどな…。




