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1.アヌビス神って知ってます?



 みなさんが子供の頃に(いだ)いた夢はなんですか?


 世界一の金持ちになりたい。

 お姫様になりたい。

 スポーツ選手になりたい。

 公務員になって安定した暮らしを送りたい。


 きっといろんな夢を抱いたと思います。

 そして私も夢を抱いていました。叶わぬ夢を。

 子供だから知らなかったのです、夢が叶わないという現実を。願っても届かぬものがあるのだと。



 私が抱いた夢は、“アヌビス神のお嫁さん”でした。



 ──え? アヌビス神を知らない?

 ではでは説明しましょう!

 アヌビス神とは、古代エジプトの神様です。

 『冥府(めいふ)』、つまり日本でいうところの『地獄』を司る神様で、死者を守ってくださるそうです。

 そしてなんと言っても、その頭!

 アヌビス神の頭は、犬なんです!

 犬ですよ、犬。ワンちゃんです。


 わたくし何を隠そう無類の犬好きで、小さい頃は実家でミニチュアダックスフントを飼っておりました。毎日犬と戯れる日々。なんと幸せなことか。そんな私は常々思ってました。


 犬と結婚できないかな?


 と。無論そんなことは無理だと子供ながらに理解はしておりました。


 そんな時に巡り会ったのがアヌビス神です!

 世界の不思議を旅するというとある番組でエジプトを取り上げた時、私は出逢いました。アヌビス神と。あの犬頭の神と。犬と人との融合体と。

 そして思ったのです。


 犬は無理でも、犬頭の人となら結婚できるんじゃないか?


 と。我ながらトンチンカン、荒唐無稽な発想だけれど、齢5歳の夢見る少女だった私は本気でそう思ったのです。

 そんな夢を5年ほどの間持っていました。さすがに10歳になる頃には神などいないと知りましたので、叶わぬ夢を見るのは諦めていました。


 それからは日々の暮らしの中でたまに思い出す事はあるけれど、笑い話として人に話すにも恥ずかしく、幼き夢は胸の奥の底の底の片隅にしまっていました。


 あの日、あの本に出逢うまでは……。




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