目次 次へ 1/11 0.プロローグ 砂漠の海が風に揺蕩(たゆた)う月の夜。 私は砂の海の上に建つ神殿の前に、呆然と立っていた。 目の前には、異国の異形。 頭は猫。 手は人。 足も人。 パッと見は仮装でもしているかのような風貌。 けれどその青い大きな眼と真っ黒な瞳孔は、たしかに光を持って私を見つめている。 異形の彼はこう言った。 「そなたが我(われ)のマタタビか?」 背後には壁。挟まれて逃げ場なんて無い。 眼前には猫の頭をした男。 どうしてこうなった……? 私、仕事帰りに古本屋に寄っただけなのに!