01
――そして海田が取ってきたビデオカメラを、
屋上で全員にわからない場所へ海田に設置させる。
…立花自身が設置すると東条に怪しまれるからだ。
――そのまま立花はわざと下の階層へと姿を消す。
海田を連れているので一人ではないが。
時間を空けた方が情報が得れる可能性があるため改めて物資を吟味する。
食料や、サバイバルで使えるアウトドア製品ばかりを押さえていたが、
簡易的なケガの治療に役立つ薬品系も押さえた方が良いかもしれない。
立花はそう思い適当にピックアップしたものを海田に渡す。
これらも"封印室"に全て入れるつもりだ。
…しばらくして立花ひとりが屋上へ戻る。
海田は夜の食料の調達のために下に残して来た。
…屋上へ戻った時に見た東条の姿はふぬけたものだ。
美優とのオセロ勝負に決着がついたところだった。
(のん気にガキとオセロ…?なに企んでやがる東条…?)
「ふっふっふ!東条さん!私が一枚 上手でしたね!」
「さすがだな美優ちゃん!なんて才能だっ!」
…と東条はキャラにもなくバカッぽい声で美優を褒める。
それを見ている春香と麗。
オセロ勝負は美優が"僅差"で勝利していた。
一部始終を見ていた春香が胸中で言う。
(すごい東条さん…美優ちゃんにわざと"僅差"で負けてる…)
盤面を全て見てきたがなんの不自然もない"綺麗な"負け方。
本気を出せば明らかに東条が勝っていたのだろう。
わざと負けるにしてもあからさまに負けるのは誰もが簡単にできる。
しかし、絶妙なバランスで、時には美優を攻め込み、時には美優にチャンスを与えていた。
美優の立場からするとめちゃくちゃ頑張って障壁を乗り越えて勝った"超絶価値のある勝利"である…
いわゆる絶妙な塩梅で美優を気持ち良くさせる"接待オセロ"だ。
(……まぁ、そもそもなんで美優ちゃんに接待オセロをする必要あるのかわかんないけどね)
春香はそう思うも、美優は喜びながら麗に笑顔で嬉しそうに自分なりにこの試合で使った"超絶戦法"を説明している。
その姿を見て春香は微笑み、
東条もまたあたたかい表情をしている。
…しかしその"あたたかい表情"も束の間、
すぐに真剣になり目線だけを立花に向ける………
立花も目線だけを東条に向けるが、すぐに反らす。
(まぁお前が何かしてようがしてまいが、一旦、俺はカメラを回収しない。念のためだ)
…仮に東条達が不自然な事をしてようがしてまいが、
カメラ回収は東条達が見ていない所でしたい立花。
…立花がやってしまうと目立つので海田が帰ってきてから任せるつもりだ。
東条は思う………
接待オセロか………
立花に通用するかどうかは俺の力量次第か……
"ザ・クワイエット・ボード"……
何も動いていないように見えるこの"静寂の盤面"に
東条と立花………
そして、春香と彩芽………だけじゃない、さらなる他メンバーを巻き込んでの………
"静かなる戦局変化"が行われていた…
…なお、神崎は相変わらず酒を飲んだくれているだけだ……




