05
…結果的に彩芽と海田の2人がその蓄電池を取りに下へ行く。
蓄電池の型番や特徴は東条から彩芽に伝えられた。
彩芽は暗記力のバケモノだ。
自分で自分を詰め込み教育していくつもの資格やスキルを取ったバケモノだ。
それを知っているから立花は彩芽の腕を買っている…
もとい、彩芽を飼っている………
有能だからこそ油断はできない
もともと味方とは思っていない
昨日の海田と彩芽と春香が食料品売り場へ降りた際、
彩芽がどう言うわけかホースを取って屋上へ戻ってきていた
片山のおば様が屋上にもともとある蛇口にそのホースをつなぎ、
水を噴出させて打ち水をする。
その際にイタズラ心でホースから出る水を藤堂にかける。
「うひゃっ!?」
藤堂は変な声をあげて逃げ回る。
「やめてっ!片山さんっ!」
31歳サラリーマンがおば様に遊ばれている姿だ。
それを見た美優が楽しそうに打ち水のところへ参加する。
「避けるよわたしっ!」
と言いながら藤堂のところへ行き片山と目が合う。
「ふっふっふお嬢ちゃん…避けれるかな?」
「どんとこいっ!」
ぶっしゃああああああああ
顔に水流直撃してる美優
「えーん、えーん…」
と麗に抱き着き泣く美優に対して麗が冷静につっこむ
「今のは美優ちゃんが悪いよ完全に」
「……」
それを笑いもせずに眺めている立花は隣の東条に声をかける。
「何がしたいんだよ東条さん?」
「…あ?」
「食料の保存方法で神崎に媚びてる姿しか見てねえけど、あんた別に神崎に媚びるつもりはさらさらねえだろ?」
「まぁ神崎に媚びるつもりはないけど前も言った通り神崎には生きててほしいけどな」
「そりゃ俺への抑止力への方便だろ…。別に神崎本人に媚びても俺が神崎を消す事に対する妨害にはなってない」
「そうだな。まぁ俺も食品に対する熱が神崎と一緒なのかもしれないな」
…的を得ない東条に深く話すのをやめる立花。
「…まぁあんたに真っ向から会話するだけ無駄だ」
「それは俺から見たお前も一緒だ」
「だろうな」
立花は改めて口を開く。
「一応、改めて、状況整理も兼ねて言っとくぞ東条さん…」
「……」
「俺は物資を占領してる。もう『物資』カードはこっちのもんだ。それは昨日の夜にあんたが食料品売り場に行かせたピンク髪の女から聞いてるハズだ」
「………」
「保存が効く食料やその他の役立つ物資は全て鍵がかけれる場所に保存してるし、その鍵自身も別の場所へ隠し、その鍵のありかは俺と海田しかわからない。厳密に言えば神崎も知ってるハズなんだが本人が覚えるつもりないから忘れてる…」
「……」
東条は目を閉じひと息つきながら口を開く。
「…で、お前は"いつ"神崎を消すんだ?」
「…!」
…立花は東条を睨む。
「立花…まぁお前は本気で神崎を消すつもりなんだろうが、それならとっととやればいいだろう?」
「……」
「なにをそんなに遅らせてる…?」
「……」
…と、東条は立花を責めているが、東条自身、人を殺すなんて度胸はない。
助ける方が何百倍も楽だ。
「調子に乗るなよ東条?」
…と怒りに任せて立花が東条の胸倉を掴む。
「他人を殺す度胸もねえ事業家が偉そうに言うなよクソが……?」
「……」
「俺が神崎を殺せねえわけじゃねえんだよボケが…」
「……」
「お前もわかってる通り、良くも悪くも神崎は『暴力』カードでまだ必要なんだよ…!」
「……」
「あいつはあくまで"駒"だ…まだ使いようがある」
「……」
「神崎を消す時が来たら、それはお前も消す時だ東条………」
「……」
立花は東条を突き放すように胸倉から手を離す。




