07
東条は昼も食べずに春香と彩芽の到着を待っていた。
「東条さん、食べてくださいよ…」
と春香が呆れながら言って手に持ってる麺を啜る。
「インスタント麺食べると吐きそうになるんだ…」
「女子ですか…」
…春香はそうつっこみ東条の横に座る。
「……」
彩芽は軽い笑顔で2人を見る。
―――東条が口を開く。
「単刀直入に聞くが彩芽さん、どうして"すぐバレる嘘"をついてまで、あの夜抜け出した…?」
「……」
彩芽は笑顔を崩さない。それは別に狂気でも諦めでもなく普通の簡単な笑顔。
「"俺と会う"と春香さんに言って銭湯施設から抜け出したと聞いた」
…彩芽は春香の顔を見る。春香は麺を啜りながら彩芽の目を見る。
「春香ちゃん…あの時、見たよね?」
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深夜3時に彩芽が銭湯施設の入口から抜け出そうとして春香に声をかけられた時の事…
銭湯施設の入口バリケードから出る彩芽。
「東条さんのハートをつかむために頑張って来るよ…!」
「話変わってません…?」
「じゃあ、おやすみ!すぐ戻るから…!」
…そのまま出ていく彩芽。
「……」
春香はまぁ特に心配もせず寝床にむかった。
(いや…)
春香は足を止める。
(彩芽さんがエスカレーターまで行ったとこまで入口から顔出して見てたけど、ちょっと待って、屋上に行ってないよな?下に降りた…?え?なんで?)
「……」
(東条さんが下のフロアで呼び出した…?そんなリスク高い事をあの人がする…?)
「……」
(いや…あの人が実は裏切り者ならあり得なくもないけど、私は片山さんから話を聞くように頼まれてるし…)
「……」
…春香はこっそりと彩芽についていこうとした時…
コツ…コツ…
「…!」
屋上方面のエスカレーターから歩く音が聞こえる。
(立花…!)
…この赤髪の名前は東条から聞いていた。
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東条と"談笑風に会話"していた最後…
「あと東条さん、もうひとつだけ私から言いたい事が…」
笑いながらも小声で言う春香。
「ん…?」
「私と一緒にいた黒髪のお姉さん…彩芽さんてわかります?」
「ああ…」
「あの人…『東条さんに呼ばれてる』って言って深夜3時に銭湯施設を抜け出したんです」
「…!?」
「東条さんに確認すればすぐわかるウソをついてまで銭湯施設を抜け出して…会っていた人物は立花です」
「…!!」
「…どう思います?」
東条はアゴに手をあてて考える
「私が東条さんと絡みがある事を知った上で彩芽さんはあんな嘘をついた」
「……」
「おかしいですよね…?私が確認すればすぐバレる」
「……それは逆に言えばバレても良いと思ってる」
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「春香ちゃん…あの時、見たよね?」と言う彩芽の問いに春香は答えず、東条が続ける…
「あんたは俺にもコンタクトを取りたかったんじゃないか…?しかも"バレた上"で…」
「……」
「さらに細かく言うと春香さんにもバレた上で…。真意はわからないがね」
彩芽が小さく笑う。
「おけー。話すわ。そんな複雑な話じゃないの」
…夏日が彩芽を照らす。
普通にしていれば美しい黒髪ロングヘアの女性。
髪をかきあげ太陽を見上げる。
太陽に目を細めるしぐさは純粋に美しい。
……東条は心の中で思う。
…立花はあの夜に俺との会話で『軍師』と言う言葉を使って色々と比喩してきたが…
下手をすれば彼女も『軍師』か…
はたまた軍師を落とすために動く『妖艶策士』か…




