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01

―――昨夜の立花との会話を回想している東条に、サラリーマンの藤堂が声をかける。


「東条さん…?」

「…」


1日目の夜にひとつ下のフロアへ春香とともに安全確認に行ったメンバーの一人…藤堂。


1日目から東条とともに過ごしている。


「東条さんももっと食べてくださいよ」

「ああ…悪いな…」


藤堂が東条の持っている器を奪い取るように取り鍋の具材をそそぐ。


今は夜の食事時間。この鍋を囲むのは東条と藤堂以外にも複数人の老若男女がいた。


…1日目も昨日も今夜も鍋。


食材は連日、あの神崎達が食料品売り場まで取りに行っている。


「神崎さんて異常な鍋好きなんですかね…?」


と藤堂が苦笑いしながら言う。


「…」


しかし東条はそんな事よりも引っかかる事がある。










なぜ立花を含む神崎達3人は他人に食材を取りに行かせないのか?


わざわざ最下層の食料品売り場まで行っている


なぜゾンビがいるかもしれない危険性があるのにわざわざ自分たちで行くのか…?








ここに立てられる仮説は…


・食料品売り場が安全だとわかって行っている

・もしくは安全に近い状態とわかっている

・もしくは自分たちですでにバリケードなどをつくり安全を確保している


そして、そうだとして、


・物資の量や場所の把握をしている

・もしくは万が一の逃走ルートを下見している




「………」




腐っても半グレ集団の一員だ。


ましてや神崎は置いといて立花が何も考えなしにこれをやっているとは思えない。


…食材を取りに行く際に立花が神崎に小声で話しかけたシーンを見た事があるので、神崎が言い出しっぺで調達担当を買って出てるのではなく、立花が発端だろう…。




「………」




アゴに手をあてて考える。




「東条さん、まーた手が止まってますよ」

「…!」


藤堂が苦笑いしながら突っ込む。


「ははは…ダメだな。考え込むのは俺の悪いクセだ…」


そう言って東条も苦笑いしながら鍋の具材を口に運ぶ。











立花…お前が考えてるのは『アレ』か…?


確かにそれができればお前ら…いやお前のここでの実質的な支配力は強くなる…


増してやお前には神崎と言う『暴力』のカードをすでに持っている…


俺やこっち側は『暴力』で勝負できるカードはない…


もし神崎が本気で暴れ出したと仮定して神崎グループ以外の人間全員で抑え込んだらさすがの神崎も数の論理には勝てないかもしれない…


しかし少なからず『全員無傷』は絶対に不可能…


この世界で大きな怪我などをすればそれはもう死も同然…医療がない前提で考えないといけない…


なら『暴力』の次に手に入れるカードは自然と『アレ』になる…











…そう『物資』


正確に言えば『物資の実権を握る』…











『暴力』と『物資』のカード2種類がそろってしまえばもうかなりの脅威になる…











まだ確証はないが善は急げだな…


明日にでも『食料品売り場の安全性』や『その他のフロアの安全性』などの下見確認に行ってもいいかもしれない…




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