04
…下手になったもんだな…
春香はそう言い、自室で涙をぬぐう…
―――と
ずどんっ
突然、春香の横に巨体の何者かが座り込む
「!?」
それはなんと丈
あの口をきかなくなった感じ悪い丈
春香もさすがに意味不明すぎて焦り始める
だが丈が不器用に顔を真っ赤にさせて口を開く
「なんで…泣いてるの…」
と、声変わりした声を数年前に聞いた事があるがその記憶はわずかで、いま再び聞くと新鮮だ
こんな低い声の丈は小学生時代の弱弱しい人物とは別人に思える
丈はだらだら汗を流し続ける
「春香は…こんな敵すぐ倒せたでしょっ…なにすぐ負けてんのっ…しかも泣くほど悔しいの?」
急に意味不明に絡んでくる丈に驚くも春香は少し嬉しくなり噴き出す
「ぷははっ!なんだよジョー!急にっ!」
「…!?」
「中3 の頃にストリートバトラーで私に負けて以来から一生私に勝ててないんだから偉そうにすんなよっ…ぷははっ…!」
と春香が言った途端、丈がさらに顔を真っ赤にさせて叫ぶ。
「それだよぉぉぉっ!!!」
突然の叫び声に焦る春香。
「俺はそれがきっかけで悔しくて中3から口をきかなくなったんだよっ!!!」
「!?」
「ああそうだよ!!!キモイ理由だよなっ!?悔しかったんだよっ!?小3から中2までは春香に負けなし!!!それが中3から急に春香が才能開花してっ!!!怖いよっ!!!いくら攻撃しても防がれるし異常な反射神経なんだもんっ!!!」
「マジそれが理由…!?www」
「そっからこっちも退くに退けなくなって口を利かないままもう大学卒業する年齢になっちゃったよっ…!!!」
…そう、丈は思春期でもなんでもなくただ春香に負けた悔しさから口をきかなくなったバカだった。
「あっははははははは!!!」
「なに笑ってんだよっ…!?」
自身と口をきかなくなった理由を知り大爆笑…いや…安心の理由の笑いをあげる春香。
いつまでも変わらない丈。
お互い恋愛感情もないアホ同士の家族。
丈だって春香の涙を目撃して突撃してきたぐらいだ。
昔から丈が優しいのは知っている。
「ジョー…わたし就職したら家出るよ」
「…!」
丈も就職は決まっていたが実家からすぐに出るつもりはなかった。
「なんだろうなー本当…結局ゲームなんだなー私…」
「え?」
「ゲームなかったらジョーとも仲良くなってなかったでしょ多分。私はアホで男子殴るバケモンだった小学生時代だから、共通の趣味でゲームなかったら、あんたどうなってた?」
「…」
ジョーは土下座する。
「恐ろしいです、すみません…」
「ありがとねジョー」
「…!」
窓から入る風が丈と春香の髪をなびかせる。
「正解不正解はわからないけど…私はここを出て…自力で生きていく。ただジョーやここのお父さんお母さん…そして本物のお父さんお母さんと繋がれた『ゲーム』は忘れない…」
「…」
「ジョーも肩肘張らずゲームしなよっ?あと好きな女の子ができたら言えよ?私がアドバイスするから」
「…!?」
丈は至って冷静に言い返す。
「それは春香には無r…」
瞬間、春香が丈の首を絞める。
「いたいいたいいたいすいませんごめんなさい!!私がわるーござんした春香さますいま…!!!」
・
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就職と同時に春香は実家を出た。
家賃2万と言う破格のシェアハウスを見つけ、
本物の両親と過ごしてきた時代の家から持ってきたレトロゲーム機と、
丈たちと過ごした家にあったやらなくなったゲームソフト1本、
二つをお守り代わりに持って行った。




