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『配信ゲーマーとシェアハウス』

「っしゃ!パリィっ…!!!!!」


と…神田春香(26)が叫びながらゲーム画面の敵の攻撃を神がかりなタイミングで防御する。


言わずもがなパリィとは『敵の攻撃を受ける瞬間に合わせて武器や盾で弾き返し、攻撃を無効化して反撃の隙を作るテクニック』


「いいっしょ今の!?」


と春香が叫ぶ。


春香はいま一人でゲームをプレイしている訳ではなく動画配信…いわゆる『顔出しゲーム配信者』としてこのゲームプレイを配信しているためコメントを随時投げてくれる視聴者がいる。


しかし現実は悲しくも底辺配信者と言うべき存在で同時接続は良い時で10人程度。


今は5人だ。


「初見でも私をナメんなっ!!!」


…昨今のゲームではパリィは一度敵の攻撃パターンを覚えて死んで再プレイしてからリズムゲームのようにタイミングを覚えてやる『記憶ゲーム』のようにプレイする人が多い中、


春香は目を凝らして初見の強敵の化け物のようなモンスターの攻撃をパリィする。


視聴者5人が春香のいつもの才能にざわつく。


そう…別にゲームが上手いだけで売れる世界ではないが春香はゲームが上手く、その才能に気付いた者たちが視聴者として集まっていた。


・


・


・


「神田さん…あなたクビね?」


「はい…?」


…それは神田春香がゲーム配信者になる前の話。


地獄のような就活戦争で頑張って勝ち取って新卒入社した会社のハズなのに、普段の生活でゲームしまくりすぎて遅刻しまくると言うアホみたいな事をしまくった。


最初は厳重注意だったが改善されずついに契約書を書かされ〇回以上の遅刻でクビと宣告。


にも関わらず遅刻しまくって解雇。


・


・


・


「ふう…」


配信を終えて主食…どころか大好物のインスタントラーメンにお湯を入れる。絵に描いたようなルーザー。大好物はカップラーメンやカップ焼きそばや袋麺。


後悔はない。一応配信以外で入れるときには入っているスキマバイトサービス『スキマン!』でバイトもしている。


お金はないが幸せだ。なけなしの金で変にこだわっている髪色…ピンク色に染めるのは定期的に美容室に通っている。


本人はルックスがいいと自意識過剰な事は思ってないが別に顔出しに抵抗がないから顔出してゲーム配信しており、


功をなしてか一部の熱狂的な春香を可愛がるおじリスナー『馬ガツラ』と言う名前の者がいて大量のスパチャを投げて来て少々怖いが助かってもいる。


キモイコメントもして来ず「ナイスプレイ!」「うっま!」しか言わなくてそれはそれで不気味だが実害がないので特に気にせず過ごす春香。


ズズッ…


出来上がったインスタントラーメンを口に運ぶ


「美味いな…いつもと変わらず…」


…お金はないけどこの生活がいつまでも続けばいいのに…




春香が住むここは地方都市の少し奥まった住宅街にある大き目の一軒家だ。


ここは遥の所有物でも遥の家族の物件でもない。俗に言うシェアハウスと呼ばれるもので春香を含め他人同士が住んでいる。


部屋数は1階と2階をあわせて8部屋。全て埋まってないが最大で8人が住めてリビングと風呂トイレは共同だ。


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