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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第398話:次の楽しみ

「しかし探索を主とする冒険者とは、それほど儲かるものですか?」


 うむ、パウルさんも娘の仕事の将来性は気になるだろう。


「今のエルマ単独ではムリだな。経験を積んで装備を整えれば可能だと思うよ。もっとも今のエルマでも、一人でオーガやケルベロスを倒すくらいの実力はあるけどね」

「オーガやケルベロス……」

「タフになったよ」


 パウルさんが優しい目でエルマを見つめる。


「小食だったこの子が、よく食べるようになったんです。一番嬉しいことですね」

「お父さま……」

「よかったねえ」


 小食か、あたしには無縁の話だ。

 ポロックさんほどじゃないけど、パウルさんにも同じような悩みがあったんだろうな。


「今日の話はお母さんにもよく伝えておいてね。もう一つ、エルマが強くなったことは、周りの人には内緒にしておいてちょうだい」

「ふむ、何故です?」

「エルマが強くなったのも、すごい才能があることも事実。ただし、駆け引きや立ち回りは一朝一夕に身につくものじゃないんだよ。全く経験が足りてない。何かことが起きた時、皆にエルマを当てにされても困るから」


 パウルさんが頷く。

 しかしあたしの頭の中では、帝国といざ開戦となった時、エルマがカラーズで最も戦えるだろうなあとは思っているが。

 アルアさん家の外で、ボチボチでいいから戦闘も覚えようね。


「エルマはしばらくギルドか工房かにいるかな?」

「はい。焦らず頑張ります」

「それでいい。多分明後日、手を貸してもらうことになるからよろしくね」

「はい、お姉さま」

「じゃ、あたしは帰るね」


 パウルさんが頭を下げる。

 決してエルマがトンチンカンなことをしているわけではないと知って安心しただろう。


「今後とも娘をよろしくお願いします」

「はーい、こっちこそ」


 エルマをぎゅっとしたろ。

 転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 麗しの魔境に来た。


「オニオンさん、こんにちはー」

「いらっしゃいませ、ユーラシアさん。今日は遅いですね?」

「用があってさ。ようやく時間がちょっとできたから気分転換に来たんだ。真面目な話してると背中がかゆくなっちゃうんだよ」

「ハハハ、いいですね」


 オニオンさんが笑う。


「最近魔境にはソル君来ない?」

「いらっしゃいませんね。ドラゴンスレイヤーとなられてからは、新しいクエストにかかってると思いますが」

「普通そうだよねえ」

「ユーラシアさんは新しいクエスト出ませんか?」

「例の魔宝玉クエストが終われば出るかもしれないけど」


 何とも言えないんだよな。

 まだギルド周りのクエストあるのかもしれないし。

 ギルド・セットはいくつのクエストが一まとめになってるのやら。


「クエストの進行のためにできるのは、人形系レアを倒しまくることだけなんだよね」


 オニオンさんが頷く。


「持ちきれないやつはギルドで預かってもらってるんだけど、たくさん魔宝玉持ってくとおっぱいさんが喜ぶの。でもその笑いが闇なんだよ。うちのヴィルも『怖いぬ』って言ってたくらい」

「この前も言ってらっしゃいましたね。しかし依頼者の事情がわかりませんねえ……」


 事情を知りたいよなー。

 でも知らなければよりイベントを楽しめるのかもしれないし。

 もうあたしの中では依頼者を破産させたって構わんと思っている。

 何故ならおっぱいさんがぺんぺん草も生えないくらいに毟り取れって言ってたから。

 徹底的にやってしまえ!


「ま、行ってくる!」

「行ってらっしゃいませ」


 ユーラシア隊出撃。


          ◇


「今日はどうしやす?」

「あんまり時間ないから北辺まで行けないな。ドラゴン帯と中央部をウロウロしようか」

「「「了解!」」」


 ザコを蹴散らしながら真っ直ぐ中央部へ向かう。


「新経験値君二体か」


 クレイジーパペットだ。

 最初に倒したのは『勇者の旋律』のロマンな効果がわかった時だったな。

 懐かしい。

 今では『薙ぎ払い』一発だけれども。


「今度は真経験値君か」


 デカダンスだ。

 掃討戦のラスボスで現れた時の戦いは熱かった。

 今では通常攻撃で一発だけれども。

 おっと、黄金皇珠落としてった。


「ウィッカーマンね」

「かなりお世話になってるし、ウィッカーマンにも何か名誉あるあだ名をつけてやらないと申し訳ない気がするねえ」


 とりあえず倒してから考える。


「やたっ! 鳳凰双眸珠だ。久しぶり!」

「……といっても三日ぶりですよ?」

「三日もこの輝きに会えなかったのか。切ないねえ」

「……どれくらい本気ね? アバウト?」

「三%くらいかな?」

「姐御、三%はほぼゼロだぜ」

「ということで、ウィッカーマンは『ほぼ経験値君』に決定!」

「「「了解?」」」


 疑問形になってんぞ?

 何となくノリで決めちゃったから、あたしも覚えられん気がするな。


「とりあえず稼いでいこうか」

「「「了解!」」」


 今は高級魔宝玉を稼ぐのが大事だ。

 何度か戦闘をこなすが、今日は巨人が出ないぞ?


「『巨人樫の幹』も欲しいんだけど」

「急ぎじゃありませんから、焦らずいきましょう」

「宿題残してるみたいで嫌なんだよなー」


 『巨人樫の幹』五つを海の女王のところに納品しなくちゃいけないのだ。


「……ダイダラボッチね」


 こいつも高級巨人族には違いないのだが、サイクロプスやティターンと違って『雑魚は往ね』が効かない。

 マジックポイント結構使うのに見返りがなー。


「一応倒しとこうか。『巨人樫の幹』を拾えるし」

「「「了解!」」」


 レッツファイッ!


 ハヤブサ斬り・零式のクリティカルを『あやかし鏡』でもう一回、さらにコピーで繰り返す。


「ダイダラボッチはウィッカーマンよりヒットポイント多いから、ヒヤヒヤするねえ」


 どうせ巨人だからクリティカル頻発だろうし、向こうにターン回すのは危ない。


「ボス、何かドロップしてるね」

「あ、魔宝玉だね」


 紫とピンクのグラデーションがとても美しい。


「雨紫陽花珠、大秘宝です!」


 オニオンさんとイシュトバーンさんにいい土産話になるなあ。


「ダイダラボッチも結構な魔宝玉を落とすことがあるんだねえ」

「これ、魔宝玉クエストが終わったら寂しくなっちゃいますね」

「残念だなー」


 もうずいぶん長いこと魔宝玉集めに奔走してたもんだ。


「姐御、また次の楽しみがありやすぜ」

「いいこと言うねえ。やるじゃないかアトム」


 さて、もう少し稼いでいこう。

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