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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第387話:楽しみな子達

「あの子、どうなんだ?」


 灰の民の村に帰る途中、サイナスさんが聞いてくる。

 『あの子』とはウシの糞とウマの糞とヤギの糞ミックスの落とし穴を披露してくれた、一三歳の白の民ケスのことだろう。


「んーケスのこと? 多分これからはもっと落とし穴を進化させてくるね。ニワトリの糞もミックスしてくるんじゃないかな。中身の工夫であたしを落とそーとするのは甘いけど」

「そうじゃなくて」


 笑うサイナスさん。

 サイナスさんが気にするだけの潜在的な力量はある子だと思う。

 本当はケスみたいな子こそ冒険者向きなんだろうけど、白の民ルカ族長はそれを望んでいなかったからな。

 カラーズでは『アトラスの冒険者』でもない限り身動き取れないから、冒険者活動がしにくいということもある。


 この前の緑の民の新人『アトラスの冒険者』エルマも、アレクと同じ一三歳だった。

 エルマやケスの存在がアレクの刺激になるだろうなあ、ということは想像に難くない。


「イシュトバーンさんにどことなく雰囲気が似てるんだよね。いい商人になるんじゃないかな」


 いや、マジだぞ。

 イシュトバーンさんほどふてぶてしいところがあるわけじゃないが、そーゆーのは経験だと思うし。

 アレクが茶々を入れる。


「イシュトバーンさんはスケベジジイだって言ってなかったっけ?」

「ケスに『スケベジジイ』の固有能力が発現するのはこれからだね」

「アレクはどうだい?」

「アレクは『スケベジジイ』発現しないと思うけど」

「いや、そうでなくて」


 アハハと笑い合う。


「アレクは将来どうなるのかな、ってこと」

「研究者かな。本を書く側の人」

「……当たり前の答えだね」


 アレクよ、喜んでるクセに。

 あたしにはわかるんだぞ?

 隠したってムダだ。


「誰か面白い本書いてくれないかなー。具体的にはあたしが眠くならないようなやつ」

「本は高価だ。エンターテインメント方向は難しいぞ?」


 高価か。

 世間一般の常識では、エンタメは必需品ではないらしい。

 エンタメ本が高くては手に取ってもらえないから、普及させることはできない。

 よって参入してくれる人がいない。

 本を安くするにはどうしたらいいかな?

 ビジネスチャンスの気がする。


「まーアレクは別に問題ないからいいんだけどさ。ケスはまだちょっと危ういから気をつけてあげててよ」

「ん、わかった」

「アレクがついてりゃケスは大丈夫だなー。逆にあんたもケスから影響を受けることは多いと思うよ。ウィンウィンだ」


 あとは交易だ。

 アレクにレイノスから物品を買いつけて欲しいが、灰の民が何欲しがってるかってことだな。


「灰の民って、かなり質素だよねえ? ものを欲しがる気がしない」

「難しいかもな。食料品は足りてるし……農具や調理器具は欲しいだろうか?」

「逆にレイノスにこんなものがあるんだけどどう? っていうふうに持ちかけたほうがいいかもねえ」

「アレクは図書室の本は全て把握してるだろう? 良さそうな本があったら仕入れといてくれよ。君の利益込みで三〇〇〇ゴールドまでで」

「あっ、私も欲しいです!」


 クララは本好きだなあ。

 あたし達はレイノスに飛べるんだけど、精霊様連れで買い物してるとまた絡まれたりしそうだしな?


「じゃ、クララの好きそーな本五〇〇〇ゴールド分くらい買ってきてよ。内一〇〇〇ゴールドはアレクの利益で、六〇〇〇ゴールド払っとくね。読んじゃったら図書館に置くと思うから、被らないといいな」

「わかった。毎度あり」


 ハハッ、アレクが商人っぽい。

 似合わねえ。

 素朴な灰の民の村の門が見えてくる。


「あたし達は帰るね」

「御苦労様」

「今日はヴィル飛ばさなくていいかな?」

「ああ」


 アレクが聞いてくる。


「ヴィルを飛ばす、とは?」

「最近夜寝る前にヴィルをサイナスさんとこに行かせて連絡取ってるの。予定が立てやすいでしょ?」

「助かっているんだよ。カラーズ各村の交流が活発になって、ユーラシアに報告したいことも多いから」

「へえ、便利だねえ」


 便利ぬよ? という空耳が聞こえた気がした。

 転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


 夜、御飯を食べたあとのひと時。


「『鑑定』能力持ちがいたのは大きいね」

「ユー様、さりげなくタダで働かせようとしてたじゃないですか。信用を得る下積み期間だと思って協力してって」

「あっ、バレてたか」


 アハハと笑い合う。

 赤の民ビルカは、将来鑑定士をやりたいということだった。

 あたしはウソを吐いたわけじゃない。

 輸送隊やってりゃ人脈も広がるだろうし、信用も得られるだろう。

 カラーズじゃ需要もあんまりないだろうけど、レイノスなら開業できるようになるんじゃないかな。


「あのバッドボーイはどうね?」

「ケス? 面白いよ。いい具合に育つといいな」


 やんちゃ者は成長の振り幅が大きいから、将来どうなるかすげー楽しみではある。


「『狂戦士』はヤバくないでやすか?」

「眼帯君の固有能力か。ヤバいねえ」


 ビルカが初めて見たって言ってたから、おそらくレア固有能力なんだろう。

 前衛にとって魔法を使えないってのは大したハンデにならないが、物理ダメージにボーナスというのはかなり大きい。

 バトルスキルの習得には制限ないわけだし。

 武闘派輸送隊の隊長に相応しい固有能力だ。


「文字通り解釈すると、『狂戦士』の能力は人形系レアにも通じるのかもね」

「通常攻撃でもボーナス分でダメージを取れるということですか? 可能性は高いですねえ」


 黄の民は全員肉体系の能力だ。

 赤の民にはレイカと同じ火魔法使いがいた。

 固有能力というものはかなりの程度、部族間家族間など血の繋がりに左右されるものなんだろうなとは感じた。

 こういうのはマウさんやピンクマンが詳しいかもしれないな。

 今度聞いてみよ。


 アトムが聞いてくる。


「明日は特に何もないでやすね?」

「予定はないね。となると魔境かな。でも海の王国へも行っておきたいし……」


 昨日、凄草何だかんだと高級魔宝玉納品の混乱で、不要アイテムの売却を忘れちゃったんだよな。

 ギルドにも顔を出したい。

 輸送隊レベル上げの時、ピンクマンだけじゃなくてエルマにも手伝ってもらいたいから連絡を取りたいが。


「ギルドが先か。その後肉狩りで海の王国でお昼食べて、午後魔境かな」

「「「了解!」」」

「よし、今日はこれでお終い。おやすみっ!」

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