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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第382話:できれば夢も見せてやってくれ

 さて、緩衝地帯の広場に来たが?

 もう皆さん黄の民のショップに集まってるね。

 あれ、ピンクマンまで来てくれてるじゃないか。

 カラーズ~レイノス間の交易に興味があるのか、黒の民族長クロードさんの思惑かな?

 どっちでもいいけれども。


「こんにちはー」

「よく来た。待ちかねたぞ、精霊使いユーラシアよ」


 モヒカン頭の大男、黄の民の族長代理フェイさんだ。


「交易不参加の緑の民以外、各色の民輸送隊候補だ。既に固有能力を持つ者を優先して選考する旨、伝えてある」

「さすがフェイさん話が早いね。でも……」

「気付いたか」


 黄の民の輸送隊の面々のテンションが低いのだ。

 もう二度も隊商と行動をともにしているし、今後も主力になるメンバーなのに、こんなことじゃ困るんだが。


「ヨハン殿に四度目に当たる輸送を、カラーズだけで行うことを打診されたのだ」

「いいじゃない。委託料も発生するんでしょ?」

「その委託料が問題でな……」


 フェイさんが難しい顔をする。


「安いの?」

「予想される儲けの三割、と」

「三割? かなり奮発してくれてるんじゃないの?」

「俺もそう思う。しかし……」

「人数割すると子供の小遣い程度になっちゃうから納得できないと?」


 頷くフェイさん。

 最初はしょうがないぞ?

 だから兼業なんだぞ?

 まーでも対レイノス交易は、カラーズ全村が力を入れている事業ではある。

 輸送隊員もかなりの見返りを期待してたかもしれないな。


「このままだと辞めると言い出しかねん」

「活を入れればいいんだね?」

「できれば夢も見せてやってくれ」

「わかった。任せて」


 まずは各色の民から選抜するところからだな。


「こんにちはー。美少女精霊使いユーラシアだよ。今から輸送隊員の選抜を行いまーす。話聞いてるかもしれないけど……」


 レベル上げする以上固有能力持ちが有利なので、今回はそーゆー方針で選ばせてもらううんぬん。

 固有能力持ちじゃない人ごめんなさいのどうの。

 うんうん、皆とっくに納得してもらってるようで何よりだな。


 ……実際のとこ、戦争が迫ってるから固有能力持ちをレベルアップしたくなるという事情のほうが大きい。

 交易が軌道に乗ったら、固有能力持ちじゃなくても商才のある人とかを加えればいいんじゃないかな。 


「じゃ、選びまーす。君と君。端の……」


 赤と黒の民から二人ずつ、青の民から一人。

 あ、白の民には固有能力持ちいなかったな。

 残念だが、こればっかりは仕方ないことだ。


「輸送隊顔合わせを行う!」


 現在既に輸送隊として活動を開始している黄の民が、隊長ズシェンと副隊長インウェンを含めて七人。

 今日選んだ五人と灰の民アレクを含めて合計一三人か。

 うんうん、いいんじゃない?

 他にフェイさんとサイナスさん、ピンクマンが顔合わせに参加する。


「もうレイノスまで隊商について行った経験のある方もいらっしゃいますが、各色の民合同で組織するのは初めてになりますね。よろしくお願いしまーす」


 黄の民の眼帯男ズシェンがおずおずと挙手する。

 よし、計算の内だね。

 気合を入れたる。


「姐さん、いいィでしょうか?」

「はい、何でしょう」

「輸送はァ、儲からねえェです」

「輸送料として、儲けの三割を提示されたと聞きましたが、間違いないですか?」

「間違いないです」


 インウェンが答えてくれた。

 インウェンも憂慮の色が濃い。


「えーと、ぶっちゃけおゼゼになんないから嫌になっちゃったと?」


 黄の民の面々がためらいながら頷く。


「アホかーっ!」


 あたしが怒鳴るといつも全員がビクッとするけど、これもあたしの持つ固有能力『発気術』のせいなのだろうか?

 サイナスさんとアレクはあたしのエンタメ好きの性格を知ってるだろうにな?


「今あんたらがやってるのは子供の使いと同じ、言われたことやってるだけ! 儲けようなんておこがましいでしょ!」

「わ、わかっちゃいるんですが……」

「それ以前に考えなきゃいけないことがある」

「な、何でしょう?」

「商品に損害を出した時の補償だよ」


 盗賊や魔物に襲われた時、躓いてひっくり返した時、雷が落ちた時。

 理由なんていくらでもある。

 帝国には保険とゆーシステムがあって、おゼゼはかかるがリスクを分散できるやり方があるとクララに教えてもらった。

 でもドーラには補償の肩代わりみたいな気の利いた仕組みはないから、損害を出したら出した側が全額負担せにゃならん。


「無事に届けられなかった際、誰かが損を被らなきゃいけないでしょ? あたしが出資しよう。一〇万ゴールド」


「「「「「一〇万ゴールド?」」」」」


 お金をドンと出すと皆の顔色が変わる。

 輸送隊を舐めんじゃねー。

 子供の小遣い程度の話をしてるんじゃないんだぞ、とゆー心意気が伝わればいいのだ。


「何かあった時はここからお金出してね。最初は失敗するの当たり前だし、別にあんたらが何かしでかしたって責めやしないから」

「「「「「は、はい」」」」」


 よーし、ペース掴んだな。


「さて、次はあんた達が儲かる話をしようか」


 あ、ちょっと聞く姿勢が前のめりになってきたね。

 一〇万ゴールドの現金を実際に見せると効果覿面だわ。


「ここで質問です。儲けの三割をもらえる条件です。もらう金額を大きくするにはどうしたらいいですか?」


 インウェンが発言する。


「儲けが大きくなればいい、ですか?」

「正解。今はお試し段階だ。今後交易量は増えるので儲けも当然大きくなります。あんた達の得るおゼゼも大きくなる。ただし……」


 一同を見回す。


「失敗しなければ、です。取引量が大きくなればやらかした時の損害も大きくなるよ。取引量の少ない今の内に輸送スキルをバッチリ身に付けることが大事、いいね?」

「「「「「はい!」」」」」

「輸送スキルについてはあたしも手を貸すので問題なくなるとしよう。さて、今まで輸送に参加してた黄の民の諸君に問う。レイノスまで行って何してた? 行って帰ってきただけ?」


 途端に自信なさそうになる黄の民輸送隊員。


「レイノスで何が売れそうかはチェックしておきたいね。カラーズで生産できるものだったらガンガン売り込みたい。自然と交易量が、イコール儲けが増えるでしょ? ただ行って帰ってきただけじゃ、ひっじょーにもったいない」

「「「は、はい……」」」


 まあ萎縮させただけじゃ可哀そうだから。

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