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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第362話:神に反逆し、追放されし部族

 家に帰ってアレクを含めた皆で話し合う。

 内容はチュートリアルルームに行った最後の目的についてだ。

 ヴィルは通常任務に戻ってもらった。


「ユー姉が余計なこと言うなって釘を刺した理由がわかった。あの人がエルさんと同じ世界の人なんだね」

「うんそう」


 バエちゃんの赤い瞳で気付いたんだろう。

 アレクをわざわざチュートリアルルームに連れていったのは、異世界や『アトラスの冒険者』について何か意見があるのではないかと思ってのことだ。


「賢いあたしは、アレクをバエちゃんに会わせれば三角関係になるんじゃないかと考えた」

「ならないよ!」

「あれ? アレクは赤い目フェチとゆーわけではなかったんだ?」

「違うよ!」


 アハハ、冗談だとゆーのに。

 どうしたアレク、余裕がないぞ?

 クネクネお姉さんも美人だからね。


「バエちゃんに教えてもらったんだけどさ。向こうの世界にかれえっていう、ちょっと特殊な食べ物があるんだ。エルも知ってるから、まあ同じ世界の人で間違いないよ」


 アレクが懸念を示す。


「でも精霊使いのセンから、エルさんの身元が割れることはありそうだけど?」

「バエちゃんにそっちの世界には『精霊使い』の固有能力持ちいないのか? って聞いたことがある。精霊使いどころか、精霊も見たことなかったって」


 エルが精霊使いなのは、おそらくただの偶然。


「偶然で精霊使いってのはすごいでやすね」

「うーん、バエちゃんも精霊親和性高いじゃん? あっちの世界にはそーゆー人意外と多いのかもしれないけどね」


 いや、でも『精霊使い』はレア固有能力って言ってたか。

 しかし少なくともエルが向こうの世界で有名人ということはなさそうだ。

 クララとダンテが代わる代わる言う。


「イシンバエワさんから、行方不明になった人を探している、こっちにいないかという話をされたことはありません」

「ジスワールドに来てることを疑ってるなら、リッスンされてるはずね」


 うむ、まさかエルとあたしがよく知った間柄で、しかも匿うつもりだなんて把握してるわけがない。

 こっちの世界にエルが来ていることを知り、探すつもりだったなら、当然あたし達にも聞いてたはずだ。

 探していないのか?

 デス爺の転移術の痕跡を追うことができないのか?

 決めつけるのは早計か?


「エルを探しているのは本当で、単に管轄が違うからバエちゃんが知らないだけかもしれないしな。あんまりつつくと痛くもない腹を探られそう」

「ちょっといいかな?」


 アレクが何か気付いたか?


「バエちゃんって、イシンバエワさんと言うんだ?」

「そこかよ!」

「略し方があまりにもダイナミックだったから」

「溢れ出る才能の片鱗だよ」

「姐御、脱線してやすぜ」


 いかんいかん。

 アレクが話を戻す。


「『アトラスの冒険者』というのは、エルさんの世界のものなのか……」

「うん、だけど変でしょ? 向こうの世界がこっちに干渉して、何のメリットがあるのかって考えるとさ」


 『アトラスの冒険者』は世界の調整者だという。

 こっちの世界を調整して都合のいいことがあるのか?


「『アトラスの冒険者』って、かなり無節操に転送魔法陣を設置するじゃん? 収益プラスになってる気がしない。とゆーか異世界のことは秘密扱いなんだよね。だから交易してるってんでもないだろうし」


 おそらく魔宝玉クエストも異世界とは無関係だとあたしのカンが告げているし。

 アレクが言う。


「監視じゃないかな」

「監視?」

「向こうの世界にとって負の存在になりうる何かを、こちらの世界に押しつけた。かといって放りっぱなしにはできないから、監視するためのシステムを作った」

「イコール『アトラスの冒険者』ってこと?」

「うん。いろんなクエストが配給されるのはダミーだ、ってのはどう? こっちの世界が乱れると、監視対象の抑止力にならないから、でもいいか」

「あっ、赤眼族! クララ!」

「はい!」


 クララが一冊の本『亜人の習俗』を持ってくる。

 以前チュートリアルルームの大掃除をした際、礼としてもらった本の内の一冊だ。


「アレク、このページ見て」


 赤眼族は神に反逆し、追放されし部族なり。

 赤き瞳具え、性酷薄にして猜疑心強し。

 他部族と馴れ合わず、戦う様苛烈たり。


「赤眼族……」

「赤眼族がエルの世界から追放された何者かじゃないかって、考えてたことが以前あったんだ。犯罪者とか政権争いに敗れた一派とかさ」

「ははあ、いいんじゃない? もっともらしいよ。でも……」

「プルーフがないね」


 ダンテの言う通り、何の証拠もない。が……。


「大分すっきりした仮説になったね」

「ユー姉はいいんだ? 追及が半端だけど」

「自己満足みたいなものだからね。『アトラスの冒険者』の仕組みが、あたし達にとってムカつくってわけでもないし」


 各地の困りごとを自動的に集めてきてクエストとして分配するという、デス爺の仮説が真ならば、『アトラスの冒険者』とエルが関わる余地もなさそうだ。

 いや、異世界は無関係ですよとしらばっくれて、エルを探せのクエストを混ぜ込んでくることはあり得るかな?

 エルがこっちの世界にいるとの、確証を持ってたらではあるが。


「よし、この話はここまでだね。他言無用のこと!」

「「「「了解!」」」」

「いい時間だね。塔の村行こうか」


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 再び塔の村へ。


「やーこっちはいい天気!」

「ユー姉、本当にありがとう。レベル上がったら自信になったよ」

「でしょ? でもアレクの感謝の言葉は本当に背中がむずがゆくなるんで。密かに尊敬だけにしておいてくれない?」

「密かに尊敬って、ボクの心理的ハードルが高くない?」


 アハハと笑い合う。


「他の輸送隊メンバーもレベリングする予定だから、その中では見劣りするだろうけど、もう並みの大人よりはよっぽど腕力もあるはずだよ」

「うん。あっ、お爺様!」


 デス爺のもとに駆け寄る。

 デス爺の頭は目立つなあ。


「何じゃ、騒々しい。……ユーラシア、お主アレクに何かしたか?」

「した」

「ボク、カラーズ~レイノス間交易の輸送隊に入れてもらうことにしたんです。ユー姉にレベル上げしてもらって」

「呆れたもんじゃ。こちらへ」


 デス爺の小屋に通される。

 あれ? アレクをレベル上げしただけなのに、何かを察したらしいぞ?

 伊達に頭を光らせてないなあ。

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