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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第350話:ぶっちゃけた

 フイィィーンシュパパパッ。

 魔境にやって来た。

 よーし、こっちは雨降ってないな。

 ダンテの予報は確かだ。


「オニオンさん、こんにちはー」

「いらっしゃいませ、ユーラシアさん」


 魔境ガイドのオニオンさんはいつも穏やかだなあ。

 そーいや昨日ギルドは開店休業状態だったようだ。

 オニオンさんはベースキャンプで独りぼっちだったのか?


「オニオンさんは昨日、どうしてたの?」

「お休みをいただいて、レイノスのフィッシュフライフェスに行ってましたよ」

「あ、気付かなかったわ」


 ポロックさんオニオンさんが来てたのなら、おっぱいさんもどっかにいたのかもな。

 皆さんに楽しんでもらえたと思うと誇らしい。

 ぜひまたやりたいもんだ。


「ユーラシアさんは目立ってらしたですけどねえ」

「声かけてくれればよかったのに」

「抱っこしてらしたのイシュトバーンさんでしょう? 恐れ多いですよ」

「おもろい爺ちゃんなのになー」


 笑い合うが、オニオンさんの目は笑ってないね?

 あたしに聞きたいことがあるようだ。

 どんとこい。


「一つユーラシアさんに質問なんですが」

「何だろ? 特別に無料で聞くよ」

「アハハ。ユーラシアさんは帝国と戦争になることを知ってるんですよね?」

「うん、知ってる」


 やっぱ戦争についてか。

 冒険者連中はまだ不確定な未来のことをギルドの職員には言わないんじゃないかな。

 とすると……。


「『アトラスの冒険者』への協力要請が来たのかな?」

「はい」

「ふーん、対応が早いな」


 パラキアスさんも戦争が近いっていう確かな情報を手に入れたっぽいな。

 帝国から直接入った情報だとすると、パワーナインの一人船団長オリオン・カーツの報告だろうか?

 一度会ってみたいもんだが。


「どんな文面だった?」

「レイノス副市長オルムス・ヤンの名で、数ヶ月以内に帝国と戦争になるから『アトラスの冒険者』の助力を請う。詳しいことはユーラシアさんに聞けと」

「え?」


 まさかの丸投げキター!

 しかし現場の指揮は任せてもらったほうがやりやすいな。

 この前総督府で話した通り、基本『アトラスの冒険者』は西域の守備という方針でいいようだ。


「……任せたから、『アトラスの冒険者』の采配はあたしの好きにやれってことみたいだねえ?」

「でしょうね。ユーラシアさんのお考えは?」


 オニオンさんが説明を待つ。


「思ったより早く戦争になるよ。多分一ヶ月以内」

「えっ……」


 愕然とするオニオンさん。


「帝国には海の一族の監視を抜けてドーラに上陸する技術があるんだ。その技術を使って、帝国の第七皇女がドーラに来てる」

「皇女がですか? そんなニュースは聞いたことありませんから、秘密なんですよね?」

「一応秘密だね。ただ皇女は帝国とドーラの争いには無関係で、皇族同士のいざこざが嫌になって逃げてきただけ」


 真剣に聞いてるね。

 皇女リリーは身分のこともあるから、戦争と何らかの関わりができる予感はする。


「で、問題はこの技術使って西域に上陸、流通網を引っ掻き回されそうってこと。帝国艦隊とレイノスで砲撃戦をダラダラやってる間に物資の輸送路止められると、ちょっとまずいことになるかもしれない」

「あっ、では昨日の魚フライフェスは……」

「海の王国からレイノスへの魚の供給はあるから、足しにはなるよ。あとカラーズから食料持ってくることも決まってる」

「ははあ……」

「ギルドのちょっと西に『オーランファーム』って大きな農場あるでしょ? ダンはそこの息子なんだ」

「……ではこの前レベリングしていたダンさんの農場の従業員というのは?」

「『オーランファーム』の守備を自前で行うための戦闘員として考えているんだ」

「何とまあ」


 オニオンさんが目を丸くした様子はチャーミングだな。

 あたし以外にチャーミングの修飾語が似合うのは男の人だった、アハハ。


「従業員は戦闘素人ではあるよ? けど六人連れてきて、全員レベルを四〇オーバーまで上げてるじゃん? 戦闘の立ち回りは今ダンが教え込んでるから、『オーランファーム』は大丈夫だと思う。でも西域の街道、とゆーかカトマス~レイノス間が完全に麻痺すると、やっぱ食べ物足りなくなるんだよね。で、『アトラスの冒険者』の役目としては……」

「西域の防衛ですか」


 あたしは頷く。

 そーゆーことです。


「となると既に冒険者の中には、この件について知っている方が何人かいらっしゃるということですか? ダンさん以外にも」

「ソル君パーティー、ピンクマン、マウさん、お兄さんズは知ってる。信用できる上級冒険者は知ってた方がいいと思うんだよね。シバさんもポロックさん経由で知るだろうし。それから上級冒険者じゃないけど、ラルフ君も商売の関係で知ってるよ。彼は実家がレイノス東とカラーズの流通に関わってるんだ。だから教えといた」

「ははあ」


 何か感心してるけど、簡単な話じゃないんだぞ?


「でも西域は広いからどうにもなんないんだよねえ。帝国軍工作部隊がどこを落としに来るかわかれば対応のしようもあるんだけど」

「小さい隊に分けて流通を寸断しにくることは考えられないですか?」

「うん、それやられるのが一番嫌だけど、地の利がないところではムリじゃないかな。向こうもこっちの戦力を知らないから、各個撃破が怖いだろうし」

「なるほど」


 オニオンさんが大きく頷く。


「ワタクシにできることはあるでしょうか?」

「今あたしが話したことは、ギルドの職員さんで共有しといて。魔境に来るクラスの冒険者には知っててもらうべきだから、口止めした上で話しておいてよ」

「口止めは必要ですか?」

「混乱すると諜報も工作もやり放題だよ。あたしはこの戦争、どう転んだってドーラの負けはないと思ってるけど、戦況がややこしくなるほど人死にが多くなるからさ。悪いけどレイノス市民の皆さんには、砲撃始まるまで何も知らないでいてもらう」

「中級以下の冒険者はどうですか?」

「これは完全にカンなんだけど、帝国ゲリラ部隊はレベル三〇くらいで固めてくるんじゃないかと思うんだ。中級以下の冒険者が勝手に動くと餌食になりそうだから、上級冒険者に中級以下を何パーティーかつけて、輸送の護衛をさせるのがいい。武装してる人数が多けりゃさすがに手出してこないでしょ」


 再びオニオンさんが大きく頷く。

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