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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第346話:これでこそ平等

「五年後が楽しみだぜ」

「んーアンセリのこと?」


 先ほど会ったソル君パーティーには、イシュトバーンさんも大いに関心があるようだ。

 ソル君はできるやつだし、アンセリの二人は対照的な魅力があるしな。


「二人ともソル君の嫁だからダメだぞ?」

「生意気な小僧だ」


 ハハッ、笑える。

 イシュトバーンさん、結構ソル君のこと評価してるっぽかったのに。


「のど渇いちゃったねえ」

「こういう日に安く飲み物を提供する店は気が利いてるな」

「確かに」


 サポート参加店で提供するハーブティーを飲みながら次の店を物色する。

 あれ、あの明らかな強者オーラと茶褐色のマントは……。


「シバさん!」

「あっ、ユーラシアさん!」

「え?」


 ポロックさん一家とシバさんでした。


「角帽被ってなかったからわかんなかったわ。ギルドの総合受付のポロックさんとその御家族だよ。こちら商人のイシュトバーンさん」


 一応互いに紹介しとく。


「ようシバ。久しぶりじゃねえか」

「どうも」

「ハハッ、相変わらずぶっきらぼうだな」


 やっぱりイシュトバーンさんとシバさんは知り合いか。

 現役時代から実力者だったような人とは、イシュトバーンさんは皆交流があるんじゃないかな。


「シバさんの娘婿がポロックさんなんだよ」

「おう、そうか」

「初めまして」

「よろしくな」


 ポロックさんに肩車されてるのは娘さんだろう。


「今日、ギルドはどうなってるの?」

「フェスのおかげで、半分休みみたいなものですよ。買い取り屋と食堂だけはやっておりますがね」


 マジか。

 フィッシュフライフェスの影響大きいな。

 ギルドの食堂でも魚を食べられるようになるといいなあ。


「イシュトバーンさんとユーラシアさんの仕掛けなんですか?」

「オレは名前を貸しただけだぜ。全部こいつの企みだ」

「企みはひどいなー。乙女のたしなみだってばよ」


 娘さんがニコッと笑いかけてきたので手を振る。

 三歳くらいだろうか?

 可愛い。


「本当にこの時期でよかったですよ。一ヶ月遅ければ、娘を連れてくることはできませんでしたし」


 ポロックさんの娘は病弱という話だった。

 一ヶ月後だと一二の月だ。

 かなり寒くなるだろう。

 魚フライフェスが今日になったのは偶然とはいえ、喜んでもらえてよかったよ。


「家族水入らずを邪魔しちゃ悪いぜ」

「うん、たくさん楽しんでいってね」

「ああ、ありがとう!」


 ポロックさん一家と別れたところで、イシュトバーンさんがボソッと聞いてくる。


「あの娘、見たか?」

「見た」

「可哀そうだな」

「……うん」


 魚フライを食べたら油で唇が光るだろうに、ポロックさんの娘さんは何かを食べた形跡がなかった。

 確か以前、魚は好きって聞いたけどなあ。

 特別どこかが悪そうには見えなかったが、それほど食が細いのか。


「元気に育つといいが」

「そーだね」


          ◇


「あ、ダン」

「ユーラシア……とクソジジイか」

「つれねえじゃねえか、ダナリウスよ」


 ダンの苦虫を噛み潰したような顔とイシュトバーンさんのニヤニヤした顔の対比。

 ダンがこんな顔するの珍しいな。

 マジでクソジジイって思ってるらしい。


「それはどこの店のやつ?」


 ダンの持ってる魚フライにはポテトフライが添えてあった。

 ボリュームで勝負の店かな?


「ん? 後ろの店だぞ」


 『サナリーズキッチン』か。


「買ってくる」

「オレはいらねえ。さすがにもう腹一杯だ」

「じゃあ、ダン、これ持ってて」

「「え?」」


 ダンにイシュトバーンさんを預けて『サナリーズキッチン』へ。

 帰ってくると二人とも苦虫を噛み潰したような顔になっていた。

 まあイシュトバーンさんが男に抱えられて嬉しいわけはないから。

 よしよし、計算通り。


「うん、これでこそ平等」

「「何がだよ!」」

「その辺が」


 ハハッ、ぐうの音も出ない二人。

 ちなみにイシュトバーンさんのお付きの女性二人は、すっごく楽しそうな顔になっていた。


「なあダナリウスよ。この精霊使いちょっとひどくねえか?」

「俺なんかギルドのオチ担当を仰せつかってるんだぜ」


 ちょっと二人の距離が縮まったか?

 魚フライ&ポテトをいただく。


「フライセットはどうだ?」

「まあまあだね。味は普通。ポテトの分だけ量が多い点は評価できるかな」

「普通か……」


 え、何なの?

 ガッカリしてるけど。


「精霊使いよ、『サナリーズキッチン』は『オーランファーム』の直営店なんだぜ」

「ふーん、もっと採点厳しくすべきだった?」

「傷口に塩塗り込んでいくスタイルだな」

「オレも魔境に捨てられかけたんだぜ?」

「どうせユーラシアを普通のいい女扱いしたんだろ。超絶美少女扱いしないとダメなんだぜ」

「おお、ダンはわかってるね」


 皆で笑う。


「カリフは息災かい?」

「ああ、元気だぜ」

「ダンのお父さんっていい人だよねえ」


 カリフ・オーランはダンのパパだ。

 印象としては、まず善人という感じ。

 イシュトバーンさんとダンが視線を交錯させる。


「まあ農場のオヤジとしては合格点だろ」

「クソジジイ、耄碌して点が甘くなってんじゃねえか?」


 おっと、さっきのあたしの採点より厳しめですけど。

 ダンは自分の父ちゃんに不満があるのかな?


「『オーランファーム』はレイノスにとってかなり重要だ。特に位置と規模がな。ユーラシアだって十分わかってるんだろ?」

「そりゃまあ」


 重要だと思ってるから、あたしだって従業員のパワーレベリングに協力してるんじゃないか。


「いい人で務まるなら世話はねえ」

「言ってることがわからんではないけど」

「言うじゃねえか。まあ昔はただ生意気なだけのガキだったが、今日会ってみてダナリウスに実力が備わってきたとは感じたぜ」

「ダンに対する評価高いね」

「オレは商人だからな。いいものはいい」

「だってよ?」


 表情は変わってないけど、ダン嬉しそうだな。

 あたしはわかるんだぞ?

 細かい心の動きが。


「ダンの中でイシュトバーンさんが、キングオブクソジジイからただのクソジジイにランクダウンしてない?」

「嬉しくねえランクダウンだな、おい」

「心配すんな。いつでもランクアップしてやるから」

「それでも嬉しくねえ!」


 笑い合う。

 ちょっとはわだかまりが解けただろうか?


「そろそろ三時だ。中央広場行くか」

「うん」


 各店の魚フライの売り上げ集計終了の時間だ。

 表彰式もやるみたい。

 順位はおまけみおたいなもんなんだけど。

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