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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第335話:いい女には二面性があるんだよ

 面白くなってきたぞー。

 魚フライフェスの宣伝がてら、もうちょっと新聞記者達を玩具にしたる。

 イシュトバーンさんもからかってやろうぜって顔でこっち見てくるし。


「ところで記者さん達、あたしが『閃き』の固有能力持ちだってことは知ってた? メッチャカンがいいってやつ」

「「い、いえ」」

「確かなあたしのカンが、二人はラブい関係だと告げてるんだけど?」


 ギクッとする二人。

 笑えてくるほどわかりやすいなー。


「そ、そんなことありませんよ?」

「あたしのこの手のカンは絶対外れないんだぞ? 極めて優秀なラブセンサーだから」

「おう、尾行つけて証拠集めしようぜ?」

「まあ証拠集めはあとでもいいけどさ。ライバル新聞の記者同士が密会してちゃいけないよねえ?」

「スキャンダルだぜスキャンダル」


 アワアワする二人。

 ちょっとは隠す気ないのかよ。

 玩具玩具してたら遊んでやりたくなるがな。

 楽しいなあニヤニヤ。


「ねえ、イシュトバーンさん。新しい新聞作れない?」

「ん? できないことはないぜ?」

「このスキャンダルを記事にしよう! 絶対売れちゃうなー」

「実に面白れえな!」

「「か、勘弁してください!」」


 深々と頭を下げる二人。


「やだなー。冗談だってば」

「あなた達の言うことは冗談に聞こえないんですよお!」


 まあこんだけ遊んどけば十分だろ。

 さて、目的の魚フライフェスの宣伝もしっかりしておかねば。

 記者さん達も紙面を埋めなきゃならないだろうから、協力してやるベえ。


「号外は読ませてもらったよ。明後日のフィッシュフライフェス、かなり話題になってるみたいだね」

「今レイノスの一番の関心事ですよ!」

「実にありがたいわ」

「でも各店ともガードが固くて……」

「各店で一品料理出させて、売り上げ数勝負なんだっけか?」

「そうそう。どんなフライで勝負するか、本番まで秘密にするって考えはわからなくはないけど」

「新聞を利用して宣伝しようって店はねえわけか」

「残念だね」


 新聞みたいな便利な媒体は使えばいいのにな。

 考え方が未熟なのか、新聞自体の信用がないのか。


「なかなか記事にできるような情報が出てこないんです。焦ってしまって……」

「だからあたしとイシュトバーンさんを記事にしようとしたの? バッカだなー」


 うなだれる二人。

 根本的なところがわかってないがな。


「市民の一番関心のあることを記事にしないとダメじゃん。新聞自体の有用性がなくなるぞ? 売れなくなっちゃうぞ?」

「で、ですが……」


 しょうがないなー。


「いいかな? 今朝、各店ともかなり魚を仕入れてるんだ。明日も同じだと思う。フェスに出すための一品を決めるのに、常連のお客さんとかには食べさせて評価してもらってるんじゃないかな。お客さんは店ほどガード固くないだろうから、話を聞けると思うぞ?」

「「な、なるほど」」

「魚は海の一族から仕入れてるんだよ。レイノス西強歩二〇分くらいの位置の海岸ね。明日の朝も取り引きあるから、取引現場で取材すると面白い視点の記事を書ける」

「「はい!」」

「フェス当日は、参加店の位置を記した地図を一面に持ってくるといい。字を読めない人でも一目でわかるやつね。皆欲しがるから、絶対新聞売れるぞ」

「「そうですね!」」

「今回のフェスの陰の主役、謎の調味料まよねえずの開発秘話聞きたくない?」

「「聞きたいです! お願いします!」」


          ◇


「あー楽しかった」


 記者さん達は喜んで帰っていった。

 これで魚フライフェスの記事が新聞を埋め尽くすの間違いなし。

 ハハッ、フェスの成功はすぐ目の前だ!


「お前さんは意外と面倒見がいいよな」

「全然意外じゃないと思うけどなあ」


 面白そうにイシュトバーンさんが言う。


「いいのか? 今の記者達をよ。放っとくと、またまとわりついてくるぞ?」

「いいんだよ、向こうも仕事だし。あたしもフェス成功させたいからなー。フェスの記事には協力するよ」

「おっかねえんだか優しいんだかわからねえ」

「いい女には二面性があるんだよ」

「違えねえ」


 互いに笑い合う。

 フェス以後も新聞は便利に使えそうな気がするし、記者さん達とは仲良くしときたいもんだ。


「昨日、パラキアスが来てな。お前さんがどうして魚フライに入れ込むのか聞いた」

「あ、何だ。イシュトバーンさんも知ってたのか」


 あえて『戦争』のワードは口に出さない。


「で、例の魔宝玉のことも話しといたぜ」

「ありがとう。ただパラキアスさんは全然ああいうものに興味なさそうだからさあ。価値のわかるイシュトバーンさんに持っててもらうのがいいと思ったんだよね」

「あんたのカンの良さには驚くな。おっと、そこだぜ」


 件の空き店に到着した。

 中町へ続く階段の下のところだ。

 昨日講習会があった集会所のすぐ近くじゃないか。

 店の前がちょっとした広場になっている、絶好のロケーションだ。


「おーい、セレシアさーん!」

「ユーラシアさん! どうしてここへ?」


 青を基調とした服を着た女性が驚く。

 セレシアさんはレイノスでも目立つな。

 この場所は、ラルフ君家の人に教えてもらったのだろう。


「一人で来てるって聞いたからさ、様子見に来たんだよ」

「わざわざすみません。そちらのお爺様は?」

「ここの空き店貸してくれるイシュトバーンさん」

「あっ、これは失礼しました。カラーズ青の民の村族長のセレシアと申します。どうぞ、お見知りおきを」

「おう、別嬪さんじゃねえか。よろしくな。カギ開けるから中も見ていってくれ」


 お付きの女性Bがカギを開ける。

 中は結構広い。

 思ったより埃っぽくないな。

 おそらくマメに掃除してるんだろう。


「何で中がこんなに明るいの?」

「天窓と鏡で散乱光を満たしてるんだぜ」


 へー、レイノスにも知らない建築技術があるんだなあ。

 フェイさんに見せてやりたいもんだ。


「ユーラシアさん、どう思います?」

「立地は最高だね。広さも十分。小売り専門にするのか工房を兼ねるのかで、店の方向性は変わりそうだけど」


 セレシアさんは店に入れ込みそうだから、多分レイノス詰めになるだろう。

 となると当然青の民族長としての職責を果たせるはずがない。

 どうするつもりだろ?

 族長代理を立てるのかな?


 イシュトバーンさんが肘をつつく。


「おい、何かアドバイスしてやれねえのかよ?」


 んなこと言われても。

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