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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第324話:勇気と余裕とお弁当

 ――――――――――七二日目。


 フイィィーンシュパパパッ。


「やあ、チャーミングなユーラシアさん、いらっしゃい」

「こんにちはー、ポロックさん。雨上がってよかったねえ」


 今日はサフランとピンクマンによる、まよねえず作りの講習会の日だ。

 朝からギルドへ来いって話だったけど早過ぎたかな?


「朝早くからお仕事なのかい?」

「お仕事って言えばお仕事だな。レイノス行くんだ」

「レイノス? えっ、精霊連れなんだろう?」

「馬車出してくれるから大丈夫っぽいの。その用件でラルフ君ピンクマンとギルドで待ち合わせしてて」

「ラルフさんはもう来ているよ」

「ラルフ君はいつも早いな。あっ、ソル君、アンセリ!」

「「「ユーラシアさん!」」」


 ソル君は一昨日会ったけど、アンセリは久しぶりだな。

 ソル君は『今日の御飯は何がいい』の重要課題は無事クリアできたのだろうか?

 ヤブヘビだから聞かないけどニヤニヤ。


「魔境ガイドのオニオンさんに聞いたよ。獣人のゲレゲレさんにスキル教えてもらったから、そろそろドラゴンに挑戦するんじゃないかって」

「ええ、今から魔境でチャレンジです」

「ソールさんもドラゴンスレイヤーですか。若い世代の躍進は素晴らしいなあ」


 あれっ、ポロックさんが遠い目して爺臭いこと言ってるぞ?

 娘さんに嫌われちゃうよ?


「いや、『アトラスの冒険者』になって二ヶ月でドラゴンスレイヤーなんて、一年前じゃ考えられないことだったからねえ」

「オレだってユーラシアさんのレベル上げがなければ、今ドラゴンを倒そうなんて思えなかったですよ」

「朝からあたしの礼賛はお腹一杯だとゆーのに」


 アハハ。

 これからは人形系魔物を積極的に倒していくスタイルがトレンドになってくるだろう。

 戦闘メソッドも進化しているのだ。

 自然とレベルアップも早くなるよ。

 すぐドラゴンと戦える子も増えてくるって。



「ところでソル君達は、どのドラゴンがターゲットとか決めてるの?」

「レッドドラゴンですね」

「ほー」


 魔境ドラゴン帯には、レッドドラゴン、アイスドラゴン、サンダードラゴンの三種のドラゴンが生息する。

 おそらくソル君は、セリカの得意な氷魔法が最も効果を発揮するという理由で、レッドドラゴンを狙うんじゃないかな。

 しかしこちら全員のステータスを下げる『カースドウインド』を使ってくるレッドドラゴンは、三種の中で最も手強いドラゴンでもあるのだ。


「今日の夜は空けとく。ギルドにお祝いに来るよ。楽しみだなあ」


 皆で宴会だわ。

 アンが聞いてくる。


「何か持っていったほうがいいものあるだろうか?」

「大事なものを持っていくといいよ」

「大事なものとは?」

「勇気と余裕とお弁当だね」

「ユーラシアさんらしい答えですねえ」


 セリカが笑うが、だってあんた達当たり前のアイテムはどうせ準備してるんでしょ?


「今日はヴィルちゃんいませんね?」

「ピンクマンとサフラン、掃討戦の時にいた呪術師の子ね。と、レイノスで調味料作りの講習会を指導するんだよ。いきなりレイノスの人に悪魔を見せるのは、刺激が強くて面白くなり過ぎちゃうかと思って。今日はヴィルはお休みかな」

「で、精霊の皆さんは同行なんですか?」

「例の精霊様騒動のこともあったじゃん? 精霊まではカミングアウトしておくつもり」


 イシュトバーンさん家に飛べるようになったから、レイノスで何かしたい時には頼めば何とかなりそうってのはある。

 一方で精霊様のタネを明かしておかねばという思いも強いのだ。

 レイノスの人達を騙してるみたいだから。


「ではオレ達は魔境へ行きます」

「健闘を祈る。美少女精霊使いの祝福があらんことを」

「あはは、あとで祝福してくださいよ」


 うん、いい表情だ。

 緊張とリラックスの程よい調和が見て取れるよ。

 ソル君パーティーは転移の玉を起動し、姿が見えなくなる。


「師匠、おはようございます」


 ギルドの中から出てきたのはラルフ君パーティーだ。

 あたしを師と呼ぶのはラルフ君パーティーだ。

 こーゆー言い方は新しい芸になるかなあ?


「おっはよー」

「師匠もまよねえずの講習会に行くと伺いましたが」

「行く。で、魚持ってきた」


 理解できないような表情だ。

 もっとも魚なんてほとんど食べたこともないだろうし、まよねえずの味も知らないだろうからな?


「魚を揚げるとまよねえずと合うんだよ。ラルフ君達もきっと気に入ると思う」

「師匠はおいしいものをよく知ってらっしゃるから」

「将来はレイノスの食堂で普通に食べられるようにしたいんだよね。海の王国から魚買えるようにしてさ。今日の講習会に来る料理人さんに魚フライまよねえずの味を覚えさせて、伏線にしようと思ってるんだ」

「おいしいものは正義ですね」

「その通り。ラルフ君も一流冒険者っぽくなってきたね」


 うちの子達も含めて全員が『一流冒険者?』って顔してるが、冒険者なのに興味の守備範囲の狭いやつは二流以下だと思うぞ?

 おいしいものの探求は十分冒険者の目的たり得る。


「すまん、遅れたな」

「ピンクマン、サフラン! いらっしゃーい」


 転移してきたのは、本日のメインイベンターである黒の民の二人だ。

 ……サフラン嬉しそうだな。


「これはあれか。主役は遅れてやってくるやつ?」

「いや、今朝から調味料ラボの建設工事が始まったので、指示だけ出してきたのだ」

「えっ、早っ!」


 雨やんだから早速作業に取りかかるということか。

 フェイさんさすがだな。


「見る見る内に丸太が組みあがっていく様が面白くてな」

「へー、あたしも見たかったな。いつ頃建ちそうなの?」

「天気が良ければ明日には完成、明後日から生産開始できるとのことだ」

「明日かよ。どんなスピードだ。黒の民の大工さん、仕事がなくなって干上がるから、黄の民のところへ通わせるべきなんじゃない? もう独自でやっていける時代じゃないんだ」

「うむ。開かれたカラーズの時代だな」


 黄の民の建築法は、何せパワーがあるから早いのだ。

 よって人件費があまりかからず安く建てられる。

 早くて安いんじゃ、他所の大工は太刀打ちできないだろう。

 淘汰される者も当然出てくるが、そーゆー人達も救っていかないといけない。

 景気や治安が悪くなっちゃうからな。


「さて、行きましょうか」


 フレンドで転移の玉を起動、ラルフ君の家へ。

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