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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第309話:くだらない話

 フイィィーンシュパパパッ。

 灰の民の村から帰宅後、ギルドにやって来た。

 目的は二つ。

 赤の民の作ったコップの試作品をラルフ君に渡すことと、掘り出し物屋さんをチェックすることだ。

 エンターテインメント成分が足らないんじゃないかって?

 美少女成分を補ってるから勘弁してよ。


「やあ、ユーラシアさん。今日もチャーミングだね」

「こんにちはー、ポロックさん」


 ポロックさんはいつも『チャーミング』と言ってくれるので、最近あたし専用の形容語のような気がしてきた。

 もうあたしの名前を飾る専用の用語として認定したるわ。

 光栄に思いなさい。


「今日は掘り出し物屋さんいらっしゃーいの日だったよね?」

「そのはずなんだが、まだ来てないんだよ」

「初めて掘り出し物屋さんより早くギルドに来られたな」

「ハハッ。大方、何を出品しようか決めかねてるだけだと思うよ。よくあるんだ」


 結構色々ストックを持ってるってことみたいだな。

 この前来た時は消耗品が主力商品で不評だったから、今日は冒険者好みのラインナップを揃えてくるんじゃないか。


「あたしの欲しいものがあるといいな」

「掘り出し物目当ての冒険者達は、もうかなり集まっているよ」


 ギルド内部へ。

 ほんとだ、お店ゾーンに人が多い。

 やっぱいいものが安く買える機会は貴重だからなー。

 何たってギルドの商売は、まがいものを掴まされるおそれがないところがいい。


「「「「師匠!」」」」

「皆、おっはよー」


 あたしを師匠と崇め奉るラルフ君パーティーだ。

 あれ? ヴィルがいないな。

 食堂に行ってるのかしらん?


「これ、赤の民が依頼請けてた、取っ手付きコップの試作品だよ。ヨハンさんに渡しといてね」

「思ったより数が多いですね。自分が一人で転移してこれを家に置いてくるから、その間に掘り出し物屋が来たら、目ぼしい品をチェックしておいてくれ。すぐ戻る」

「「「了解!」」」


 おお、ラルフ君ったらマジモードだね。

 後輩が冒険者らしくなってあたしも嬉しいよ。

 魔境を怖がらなくなるまで、きっとあと少しだろう。

 ラルフ君が転移の玉を起動していなくなる。


「皆は装備品目当てなんだっけ? いい出物があるといいねえ」

「師匠はパワーカードや食材が目当てなのでしたか?」


 表向きはそう。

 実のところ掘り出し物屋さんが来るっていうイベントを楽しみたいだけ。


「いや、すっごく欲しいってわけでもないから、売れ残り品でも漁ろうかなと思ってるんだ。じゃ、また後で」


 買い取り屋さんでアイテムを引き取ってもらう。

 掘り出し物屋さんが来るまで食堂で時間潰すか。

 あれ?


「御主人!」


 ヴィルが飛びついてくる。

 ソル君とダンに遊んでもらっていたか。

 この可愛いやつめ。

 ぎゅっとしてやる。


「ソル君とダン、だけ? アンセリは?」


 ダンがニヤニヤしながら話し始める。

 ははあ、どうやら面白いことらしいぞ?

 今日ギルドに来た甲斐があったわ。


「ぜひ精霊使いの……じゃねえな。ぜひ美少女冒険者の意見を拝聴したいことがあるんだ」

「何だろ? 超絶美少女冒険者が力になるよ」

「実は……」


 疲れたような表情のソル君が話し始める。


「今日の夜の御飯は何がいい、と聞かれたんです」

「母ちゃんとアンセリの計三人に?」

「そうです」


 ソル君は元々母ちゃんと二人暮らしだった。

 現在はパーティーメンバーのアンとセリカがソル君の家に転がり込んでいる。

 食事は女性三人で作っているということなんだろうな。

 アンセリが色々教えてもらって、嬉々として御飯作ってる様子が思い浮かぶよ。


「で、何でもいいと答えたら、三人とも不機嫌になってしまって……」

「バッカだなー」


 何を悩んでいるかと思えばくだらないことを。

 ソル君らしくもない。

 くだらないことが大好きなダンが大喜びしてるじゃないか。


「アンセリが料理を覚え始めて、ソル君のために張りきって何か作りたいってことなんでしょ? そこ考えてやらないと」

「いや、でも本当に何でもよくて。贅沢言える身分でもありませんし」


 くだらないが、しかし由々しき問題には違いない。

 こんなことでソル君パーティーがギクシャクしてもつまらんしな。

 ……おいこら、ニヤニヤしてる銀髪のツンツン頭よ。

 部外者みたいな顔してんじゃねーぞ。


「ちなみにこれ、ダンだったら肉が食いたい鍋が食いたいって言うよね?」

「もちろんだな」

「でもそれはあんたが農場のボンボンで、食べたいものを食べられる環境にいるからだぞ? ソル君の立場だったら何と答える?」


 途端に険しい顔になるダン。

 ダメなやつらだな、まったく。


「……食いたい料理が、必ずしも用意できるわけじゃないしな?」

「ですよね。食べられるものなら十分なのに」

「女心がわかってないなー。どーして料理の種類で答えを出そうとするんだよ」

「するんだぬ!」


 よしよし、ヴィルはいい子だね。

 それに対してあたしが何を言いたいのか、全然理解してなさそうな二人。

 頭の横っちょに疑問符が浮かんでるぞ?


「食べたい料理ができるわけじゃない。ここまでは正解」

「はい」

「本当に何でもいいなら『愛情のこもってるものなら何でもいい』、こうだろ」

「「おお~!」」


 聞いた方だって何でもいいことくらいわかってるわ。

 答え方に気配りを見せろってことだわ。


「『君がオレに食べさせたいものは何かな?』、『皆でおいしく食べられるものにしよう』、『食べて幸せな気分になれるものがいいな』、どんだけでもバリエーションはあるでしょ?」

「素晴らしい!」「なるほどな。美少女冒険者はさすがだぜ」


 感心しきりな二人。


「初めてユーラシアが尊敬できるようなことを言ったぜ」

「常に尊敬しててもバチ当たんないぞ?」

「目の覚めるような模範解答でした」

「模範解答に頼ると、アンセリは賢いからすぐあたしが入れ知恵したってバレるぞ? 自分の言葉で言うこと。それから感謝の気持ちを伝えること、いいね?」

「はい、ありがとうございます!」


 お店ゾーンで歓声が上がる。


「ようやく掘り出し物屋が来たようだな。冷やかしにいくか」

「あれ、ダンは特に欲しいものとかないんだ?」

「攻撃スキルのいいやつが安けりゃ欲しい」

「お買い得スキルなんてのがあったら、すぐ売れちゃうんじゃないの?」

「売れちゃうぬ!」

「見に行きましょう」


 お店ゾーンへ。

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