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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第308話:最近ちょっと族長っぽくなってきた気がする

 ――――――――――七〇日目。


「カカシー、いずれは各種ステータスアップ薬草を全部凄草に置き換えるの?」

「ああ、凄草はパワーアップの効率がいいだろ?」


 今日は凄草以外のステータスアップ薬草の株分けの日だ。

 植え替え作業をしながら畑番の精霊カカシとお喋り。


「パラメーター上昇の効率もいいんだろうけど、凄草は圧倒的においしいんだよ。見逃せないポイント」

「ハハッ、いいじゃねえか。理由は何でも」

「まあねえ」


 正直、ステータスアップ薬草を食べて強くなってるのかと言われると実感はない。

 でもおいしい不味いは一口でわかるしな。

 サッパリした甘さの凄草が、他のステータスアップ薬草に置き換わる日が待ち遠しいものだ。


「ボチボチ落ち葉を集められる季節だろ? 今使ってない庭の隅にオイラが穴を開けとくから、一杯になるよう落ち葉集めて入れておいてくれるといいな。冬の内に腐葉土にしておくぜ」

「うん、わかったよ」


 あったりまえのことなんだけど、収穫すると土地が痩せてしまう。

 土地から収穫物の分だけ要素が抜けちゃうわけだから。

 栄養分は補っておかねばならない。

 灰の民は皆がよく知ってることなんだけど、黄の民なんかはわかってないような気がしたな。

 ドーラの発展のためには、いずれ知識も共有しなきゃいけないんじゃないか。

 とするとサイナスさんの学校とゆーアイデアはいいなあ。


「じゃ、出かけてくるよ」

「おう」


 灰の民の村へ出発。


          ◇


 村への道の途中でうちの子達と話す。


「カカシが腐葉土作るから落ち葉を集めといてくれって」

「何でもいいんでやすかねえ?」

「乾くとパリパリになるような落ち葉が分解早くて一番いいです。でもまあ何でも大丈夫ですよ」

「ホールができたら早めがいいね」


 寒くなってからだと作業大変だしな。

 ただ落ち葉たくさんのところから我が家まではちょっと距離がある。

 落ち葉って運びづらいんでめんどい。


「ところでクララの『フライ』って、覚えたての頃よりかなりすごくなってない?」

「飛行魔法の消費マジックポイントは、起動してる時間に比例すると言われているんですよ。距離を稼ぐなら早く飛べた方が有利だと思います」

「ふーん? 暇な時、検証してみないといけないねえ」


 検証しなきゃいけないスキルは、実はまだある。


「アトムの『マジックボム』あるじゃん? あれ投げつけないで、そーっと置いといたりするとどうなるの?」

「爆発しないでそのままでやすよ。刺激与えりゃボンですが」

「どれくらいの時間、効果が持続するのかな?」

「え? やってみたことがねえんでわからねえでやす」


 魔力は時間とともに拡散するはずだから、際限なく効果が続くってことはないはず。

 でもある程度の時間効果があるなら、トラップ的な使用法が可能になるんじゃないかな。


「『デトネートストライク』もわかんないことあるけど、あれは迂闊に実験すると何かのフラグ立ちそうだしなー」

「ベリーヤバいね」


 アンタッチャブルな魔法なんだよなあ。


「黒の民の『マナの帳』って魔法ってあるじゃん? 掃討戦の時サフランが使ってたやつ。あれ教えてくれって言ったらどうなのかな?」


 闇属性・聖属性に対する耐性は、レベルがカンストした今になっても該当スキルが得られず、また装備でもその手のがない。

 味方全員に闇耐性・聖耐性を与える『マナの帳』は、将来必要になるかもしれない。


「姐御は色々考えてるんでやすねえ」

「そりゃあんた達のリーダーで天才美少女冒険者だからね」


 考えることはタダなので、あたしは自前の優秀な頭脳を使うのだ。

 使い過ぎるとぷしゅーってなっちゃうけど。


 さて、村の門が見えてきたな。

 他色の民の村に比べて質素な門だけど、灰の民の村は地味なのが一番合ってる気がする。


「こんにちはー」

「やあ、いらっしゃい」

「これお土産、皆の味方コブタ肉だよ」

「いつもすまないね」


 サイナスさんに挨拶する。

 ふーん。


「何だい? ニヤニヤして」

「サイナスさんは最近、ちょっと族長っぽくなってきた気がするなーって」

「精霊使い様に言われると嬉しいね」


 マジで嬉しそうだな。

 そーゆーのわかるんだぞ?


「これが預かった赤の民の試作品のコップだよ」

「随分と多くない?」


 ラルフ君パパの注文で試作した取っ手付きのコップだ。

 陶器とガラスともに一〇個ずつ計二〇個。

 陶器って作る時、乾かすのに時間かかるんじゃなかったかな?

 短縮する技術があるのか、元々こういったものを試作していた職人がいるのか。


「各々に番号札がついてるから、取らないようにな」

「あ、ほんとだ。注意する」


 いい悪いを番号で知らせてくれってことか。


「持てるかい?」

「まあ何とか。割れないようにさえしてもらえれば、転移で飛ぶから大丈夫だけど」


 転移?

 そういえば……。


「デス爺の転移って、転移先のビーコンの位置をずらすとどうなるのかな?」

「当然ずらした位置に転移するだろ。もっともデスさんは転移先が見えるって言ってたから、事故にはならないだろうけど」

「ユー様何か思いついたんですか?」


 クララが期待に満ちた表情で聞いてくる。

 付き合いが長いから、こういうところ敏感だな。


「いや、腐葉土用の落ち葉の運搬の話だけどさ。穴の中にビーコン置いて転移すれば一度に運べるなーって思っただけ」

「ユーラシアはいつも変なこと考えてるなあ」

「いつも変ってゆーな」


 ついさっき落ち葉運ぶの面倒だなと思ったところだったから。

 実用的なアイデアと言って欲しいものだ。


「じゃあ、今日は忙しいから帰るよ」


 アレクとエルの関係がどうなってるか気にはなるが仕方がない。


「ああ、明日もカラーズへは来るんだろ?」

「輸送隊員の選抜しなきゃいけないんでしょ? 黄の民の村行く予定だよ。美少女精霊使いユーラシアのお眼鏡にかなうのは誰か?」

「一々ドラマチックにしたがるなあ。その時は付き合おう」

「お願いしまーす。じゃーねー」


 あたしが単独で余計なことしてると思われないために、灰の民の族長であるサイナスさんの存在は重要なのだ。

 一方で、実力者デス爺の後任ということでどうしても軽く見られがちだったサイナスさんが、あたしと一緒に行動していることから存在感が大きくなっているような気もする。

 穿ち過ぎかな?


 転移の玉を起動して帰宅する。

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