表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/2453

第26話:湖の騎士の盾

 ソル君の肩をポンと叩く。


「あなたが最強です」

「だ、だけど今のオレは……」

「ソル君、何歳?」

「え? 一四歳です」


 あたしの一つ下か。

 将来性抜群やないけ。


「まだまだ身体も大きくなるはずだし、すごいスキル使える人に出会えれば自然に強くなれるよ。全然焦ることない」

「そうよ、ソール君。皆が最初から強いわけじゃないし、展開に恵まれているわけでもないの。ゆっくりでいいんですからね。諦めずに頑張りましょう。ね?」

「……」

「なんて言って欲しいわけじゃないんでしょ?」

「「えっ?」」


 ソル君とバエちゃんを交互に見る。

 ハハッ、ポカンとした二人の顔がおかしい。


「ユーちゃん、何とかなりそうなの?」

「なるよ」

「ど、どうやって……」

「すぐ戻る。ちょっと待ってて!」


 転移の玉を起動し、我が家に戻る。


「姐御、お帰りなさいやし」

「いや、まだなんだ。もう一回行ってくる!」


 これこれ。

 ついさっき苔むした洞窟の宝箱から手に入れた、ドワーフ製と思われる上物の青い盾。

 そいつを引っ掴んで、再び転送魔法陣に立つ。

 フイィィーンシュパパパッ。


「ただいまっ! ソル君、これあげる」

「こ、これは?」

「とってもいい盾!」


 バエちゃんも言ってたじゃん。

 装備が貧弱だから勝てないのだ。

 つまりソル君はこの盾があれば勝てる。


 食い入るように青い盾を見つめていたバエちゃんが呻く。


「……防御力+三〇%、回避率+三〇%、ヒットポイント自動回復一〇%、クリティカル無効、即死無効、もちろん自動修復機能付き。上級冒険者でもそうそう持ってないようなものすごい盾じゃない! ユーちゃん、どうしたのこれ?」


 バエちゃんすげえ!

 見ただけで細かい性能までわかるのか。

 何かの固有能力なのかな?

 ポンコツなりに取り柄はあるもんだ。

 単なる天然自堕落赤目ハゲじゃなかったよ。


「二つ目のクエストで手に入れたの。宝箱から出てきたんだ」

「「宝箱?」」


 宝箱にはバエちゃんもソル君も興味があるようだ。

 実によくわかる。

 宝箱はロマンだもんな。


「二つ目のクエストの現場が、昔ドワーフが研究所にしてたって言われてるダンジョンだったんだ。盾もドワーフ製なんじゃないかな。あたしはいらないからソル君使って」

「こ、これほどの盾をいらないって……」

「うちのパーティー、誰もこれ装備できないから」

「どういうことです?」


 説明を求めるように、あたしとバエちゃんを見るソル君。

 あー混乱してるんだろうなあ。

 バエちゃんよろしく。


「ソール君、あのね? 精霊って普通の武器防具は装備できないの。パワーカードっていう特殊な装備品じゃないと。で、精霊使いであるユーちゃんもパワーカードを使っているから、普通の武器防具は必要ないの」

「そゆこと」

「いや、だからって……」


 ソル君の肩をもう一度ポンと叩く。


「今日、ソル君は運が良かったんだよ。だから最初の一歩を踏み出せる盾を手に入れた。あたしも運が良かった。将来の大物に会えたからね」


 ソル君の泣きそうな目を直に見ながら言ったった。

 ハンサムだなあ。

 ソル君が深々と頭を下げる。


「ありがとうございます! 大事に使わせていただきます」

「ねえ、ユーちゃん、その盾に名前をつけてあげなさいよ」

「えっ、名前?」

「ぜひ、お願いします!」


 ええ? 何だよ、恥ずかしいなあ。

 冗談で変な名前にしちゃう雰囲気じゃないじゃん。

 ならば……。


「『湖の騎士の盾』でどうかな? ダンジョンの中の地底湖の側で手に入れたから」


 騎士と岸のシャレであることは言わない。

 野暮だもんな。


「湖の騎士……伝説の最強騎士……。ありがとうございます。この盾に恥じぬよう、頑張ります!」

「よーし、頑張れ。ソル君ならできる」


 道具はあくまで道具だ。

 でも『湖の騎士の盾』は、戦闘初心者のソル君を導いでくれるだろうことを信じてるよ。


「で、スキルはどうする? あたしの持ちスキルを覚えたければ教えるけど」


 今あたしが使えるのは、『ハヤブサ斬り』と今日覚えたばかりの『鹿威し』の二つ。

 『鹿威し』はザコ魔物を驚かせて逃げ散らすバトルスキルだ。

 子供の頃から村の柵の向こう側の魔物を驚かすのが趣味だったので、使い方はわかる。

 何でこんなもんが今更習得スキル扱いになるんだと思ったら、正の速度補正がついてた。

 つまり戦闘の最初に使えて敵を追い払える可能性が高い。

 これならまあ。


「ここはソル君の考え方とセンスを問われる場面だよ。習得できるのが一二種限定だから、あとで強い技を覚えたいというのもあり。序盤から使える便利なスキルを取っとくのもあり」


 そして金髪美少年が悩む姿を見つめるのは大いにありだ。

 これが役得か。

 わざわざ口には出さないけど。


「『ハヤブサ斬り』の使い勝手はどうですか?」


 うん、覚えるなら『ハヤブサ斬り』だね。

 とにかく魔物に食らわせるダメージを大きくしたいだろうから。

 『鹿威し』じゃ消極的過ぎるもんな。


「使用コストが小さいのに、与ダメージがほぼ倍になる技だからね、使い勝手はいいよ。複数の魔物が出た時とか、通常攻撃よりダメージ与えたい時はこっち使ってる。あたしが魔法使えなくて、他でマジックポイント使わないせいもあるけど」


 どう判断する?

 正直ずっと使えるスキルだとは思う。

 でも将来的に自分が回復も担うつもりならいらないかも。

 攻撃にマジックポイント使いたくないもんな。


「イシンバエワさんはどうお考えです?」


 満点だ。

 違った角度からの意見も重要だろう。


「『鹿威し』はいらないと思う。確かに戦いたくない敵に会った時、数を減らしたり戦闘回避したりするのに有用でしょうけど、使える場面は限定的でしょうね。『ハヤブサ斬り』は考慮の対象にしていいんじゃないかしら? 序盤で使えるのはユーちゃんが実証してるし、将来強敵相手でも大技の繋ぎに撃てるわ。マジックポイント自動回復装備でも手に入れたら、実質ノーコストですし。会心頻発武器をメインにした時に得できない、くらいしかデメリットを思いつかないわ。ただし一二個しかないスキル枠の一つを埋める価値があるかどうかは、ソール君が決めなければいけないことよ」

「おおう、バエちゃんにしてはまともなアドバイスじゃないか。見直した」

「そ、そう?」

「決めました。『ハヤブサ斬り』教えてください」

 『湖の騎士』は、『アーサー王物語』のランスロットをイメージしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ