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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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1763/2453

第1763話:夢に出てきた

 ――――――――――二七六日目。


「おっはよー!」

「おはようぬ!」

「やはり来たか、精霊使い。待っていたぞ」

「えっ? 何事?」


 イシュトバーンさん家にやって来た。

 美少女番警備員ノアが何故かしたり顔をしている。

 今日はヘリオスさんの紙屋に、『輝かしき勇者の冒険』の権利書を渡しに来たのだ。

 イシュトバーンさんに用があるわけじゃないから、待ち構えられてる理由がわからない。

 やはりってどういうこと?


「旦那様が妙な夢を見たそうで」

「夢?」


 夢がどうした。

 あたしは夢占いなんてできないぞ?

 寝ぼけてるんじゃないよ。

 あ、イシュトバーンさん飛んできた。


「よう、来たか」

「妙な夢がどうとかってノアに聞いたけど、何事?」

「あんたそれ説明しに来たんじゃないのか?」

「違う違う。別の用件。イシュトバーンさんの夢って何なのよ」


 どーしてあたしが説明って話になる?


「たわわ姫がオレの夢に出てきたんだ」

「えっ? あっ!」


 イシュトバーンさんがたわわ姫の絵を描きたい、って話をしたからだな?

 律儀にもイシュトバーンさんに挨拶に行ったんだろ。

 世界に直接干渉できないけど、夢に出てくるのはオーケーなんだな?


「心当たりあるんだな?」

「ある。昨日たわわ姫んとこ御飯食べに行ったんだよ。イシュトバーンさんがたわわ姫をモデルに絵を描きたがってるって言ったら、メッチャ大喜びしてた」

「それでか。よろしくお願いしますよろしくお願いしますって、頭下げるたびに揺れるんだ。あんなにいい夢を見たの初めてだぜ」

「たわわ姫のおっぱいすげえ柔らかそうだよね」

「目を瞑るとあの情景が頭に浮かぶぜ」

「普通の夢は段々忘れちゃうけど、たわわ姫の夢は忘れないじゃん?」

「後々まで思い出せるって寸法か。サービスが行き届いてるな」


 何のサービスだ。

 延々と楽しんでください。


「イシュトバーンさんのファミリーネームって、クラナッハっていうんだ? あたしも知らんかったようなこと、たわわ姫知ってんの。ファンみたいだよ」

「ぜひとも気合入れて描かなきゃならねえな。いつだ?」

「今日ちょっと帝国で用があってさ。終わる時間が読めないんだよね。明日の夕方向こうに行こうか。どう?」

「おう、わかったぜ。こっちにはたわわ姫呼べねえのか?」

「どーだろ? 明日聞いてみようよ」


 バエちゃんみたいに仕事場を離れられんのかもしれんしな?

 神様ルールはよくわからない。


「おっ、そうだ。別嬪さんが店に寄ってくれって言ってたぞ」

「セレシアさんが?」


 青の民族長セレシアさんは、服屋の店長兼デザイナーでもある。

 秋冬物のデザインを帝都の大店『ケーニッヒバウム』に届けてくれってことかな?


「秋冬物と水着ということだ」

「水着? 水浴び用の衣装ってこと?」

「だろうな。ドーラにはない風習だが」


 ドーラは近海が魚人のテリトリーである関係で、海で水浴という風習がない。

 生活に遊んでる余裕がないとか、魔物があちこちにいるとかいう理由もあるけれども。

 肉なし島を海水浴場としてオープンするなら、帝国の水着の傾向も知っとかないといけないな。


「あとでセレシアさんとこも行こ」

「ところであんた、何しに来たんだ?」

「ヘリオスさんに用があるんだよ。一緒に行く?」

「行くぜ」

「行くんだぬ!」


 ヘリオスさんの店へゴー。


          ◇


「ユーラシアさん、イシュトバーンさん!」

「密会ですか逢引きですかスキャンダルですか?」

「おおう、門開けてすぐだとビックリするなあ」


 新聞記者ズでした。


「記者さん達が、よくヴィルをネタにしてくれてるんだって? おかげで、レイノスのノーマル人至上主義が崩れてきてるんじゃないかって聞いたんだ。ありがとうね」

「ありがとうぬ!」

「ロドルフさんが、ヴィルちゃんの機動力はすごいって評価してるんですよ」

「うん、確かにすごい。誰も代わりができないもんな」


 肩車してるヴィルが嬉しそうにしてるのが伝わってくる。

 あんたはとってもいい子だぞ。


「レイノスのノーマル人至上主義が崩れて嬉しいことがありますか?」

「あるねえ。ドーラはビンボーだから外貨を獲得したいじゃん?」

「「はい」」

「輸出はもちろんだけど、いずれ観光客もたくさん呼んでおゼゼを落としてもらいたい。ここまでいいかな?」

「「はい」」


 何をイシュトバーンさんはニヤニヤしているのだ。

 話に参加してよ。


「ドーラにあって帝国人に馴染みのないものの一つに、亜人の存在があるんだよ」

「亜人で観光客を呼べてしまう?」

「可能性が高いね。あたしも結構帝国に行ってるけど、亜人に会ったことがあるって話は聞いたことないもん。だったら例えばレイノスに亜人のショップがあったら、それだけで観光客が喜ぶじゃん? となるとノーマル人至上主義は邪魔」

「「ふむふむ」」

「魚人と森エルフは協力してくれそうになってるの。亜人も含めた皆でドーラを盛り上げたいと思ってるんだ」


 くだらん差別などなくなればいいのだ。


「今、エルフとの共同事業で、ブタの復活というのに取り組んでいるんだ」

「ブタ……帝国の内戦で滅んでしまったという、高級肉の取れる家畜ですよね?」

「うん。帝国本土のテルミッツってところが、古のブタの産地なんだ。現在テルミッツを領地にしているギレスベルガー子爵家には、ブタ飼育の資料がたくさん残されてるの。その資料を借りられることになったから、早いと数年でブタはよみがえるよ」


 首をかしげる新聞記者ズ。

 どうした?


「ギレスベルガー……あの元宮廷魔道士だという移民も、ギレスベルガー姓でしたよね?」

「おっと、よく覚えてたね。ギレスベルガー子爵家はエメリッヒさんの実家だよ。もちろんエメリッヒさんも、ブタ復活プロジェクトに一枚噛んでくれてる」

「大きなプロジェクトなんですか?」

「エメリッヒさんによると、ブタの復活はギレスベルガー家の悲願なんだそうな。五日後には現在の子爵家当主や前当主をドーラに連れてきて、エルフのブタ飼育場に案内する予定だよ。ね? 帝国貴族は亜人だからって忌避したりしないんだって」


 ちょっとずつ亜人と仲良くしようという意識を刷り込んどこ。


「もう一つ記事ネタになりそうなことを仕入れてあるんだ。ヘリオスさんとこで話すね」


 とっととヘリオスさんの店に行くべえ。

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