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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1751話:パワープレイが効果的

 クララの飛行魔法で移動しながらも、地上の様子を観察する。


「どうだ?」

「うん、いるいる。バッチリ」


 何がいるって、お昼御飯のお肉がだ。

 さすがに集落近くになると植生も変わってくるようで、草食魔獣も多くなってくる。


「ハマサソリを食わされそうで、トサ様戦々恐々だったぜ」

「え? ハマサソリはハマサソリで美味いんだけどなー」


 人は肉のみにて生くるものにあらず。

 されど肉は肉なり、ってことかな?

 一度トサ様にもハマサソリの素揚げを食べさせてやりたいわ。


 近くの辺境開拓民集落に着地する。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「ほう、見事な飛行魔法じゃ。どなたじゃな?」

「おう、ジジイ」

「む、トサか。そちらのお嬢さん方は?」

「二ヶ月半くらい前にヤマタノオロチが出たって噂があったろう? そいつを退治したドーラの冒険者ユーラシアだ」

「おお、このような田舎村にようこそ。しかし何用でございましたかな?」

「草食魔獣狩ってくるから、皆でお昼食べようよ」

「は?」

「村人全員集めて、デカい釜用意して待ってろだってよ」

「肉狩りだっ!」


          ◇


「食資源の保護のため、おいしい魔物は狩り過ぎないって考え方があるじゃん?」

「ねえな」

「未開の地域はいいなあ。いくらお肉を狩っても怒られないよ」

「おい、さっきからその技どうなってるんだ? トサ様ビックリなんだが」


 ウサギの魔獣を見かけるたび首をせっせと刎ね、ヴィルがせっせと集落まで運ぶ。


「技ってほど大したもんじゃないよ。パワーカードには物理攻撃の射程を伸ばすってやつがあってさ。併用すると遠くまで届くんだよ。単独で現れるお肉を狩るのに最適」

「射程を伸ばすったって、一〇ヒロ近く離れてたじゃねえか。呆れたもんだぜ」

「さっきの村の住民の数、割と多そうだったよね。五〇人以上いたかな?」

「おう、七、八〇人くらいじゃねえかな。でも随分狩っただろ」

「うーん、もうちょっと大きい獲物が出ないと食べでがない。お腹が満足しない」


 大口叩いて来たのだ。

 村の衆に舐められることないくらいは狩らねば。

 あたしの沽券に関わるわ。


「あっ、ラッキー! 結構いいサイズのやつだ!」

「アールファングだなって、もう仕留めちゃうのかよ! ちょっとは解説させろよ!」

「ふーん、これがアールファングか」


 古の家畜ブタの元になったという、イノシシの魔物アールファング。

 ワイルドボアの成獣見たことないけど、どっちが大きくなるんだろうな?


「これヴィルが運べる大きさじゃないから、飛んで戻ろうか」

「昼飯には十分過ぎるだろ」


 『フライ』でびゅーん。


          ◇


「ごちそーさまっ! 満足です!」


 確かにアールファングの肉質はコブタマンに似てる。

 でも若干臭みがあるな?


「オスだったからじゃねえか? アールファングはメスの方が美味いんだぜ」

「そーなの?」

「牙のデカいやつはオスなんだ。雄の方が身体もデカいけどな」

「ふーん。知らんことが多いな」


 しかし村長さんも村人も上機嫌だ。


「ありがとうございました。皆の者大満足ですぞ」

「肉狩りは任せて。世界一を自負しているよ」

「世界一も納得のバカげたテクニックだったぜ」

「もうちょっとまともな褒め言葉はないのかよ。可憐で美しい容姿だったとか」

「容姿関係ねえよ!」


 アハハと笑い合う。


「帝都メルエルの主席執政官閣下に、辺境開拓民集落の様子を見てきてくれって言われてるんだ。困ってることあったら教えてよ」

「さてさて、困っていることと言われても……」

「スイープのお頭が言ってたんだけどさ。武器や薬が手に入らないから、魔物退治する人があんまりいないって。合ってる?」

「ああ、柵で魔物を入れないようにするのが原則ですな」

「ドーラ人の感覚からすると、魔物がいるところに住んでるのに武器がないってのはあり得んのだけど」


 考え方はドーラ西域に似てるが、武器がないってのがよりヤバいな。

 トサ様がため息を吐く。


「本土では武器禁止が建前だからな。いくら辺境開拓民がその原則から外れてると言っても、武器作るやつがいねえんじゃどうしようもねえ」

「せいぜい棍棒か金棒程度ですな。薬についてもまあ確かに。せいぜいチドメグサくらいのものです」

「辺境開拓民は戸籍がアバウトで、市民権持ってない人が多いって聞いた」

「トサ様も帝国の市民権持ってないぜ」

「うちの村では一人も市民権登録してませんな」

「マジか」


 一人も市民権持ってないってどーゆーことだ。

 帝国の戸籍管理はすげえと思ってたのに、ザルじゃねーか。


「ひっじょーによろしくないね。今度帝都では皇帝選挙やって新皇帝を選ぶんだけど、その有力候補プリンスルキウスはスイープのお頭の話を聞いてるんだ。プリンスルキウスは皇帝になれなくても執政官にはなるはずだから、絶対辺境開拓民の改革に力入れるよ」

「まあ、適当に勘弁してもらいたいものですな……」


 あれ、あんまり嬉しそうじゃないね。

 何で?


「市民権なんて税金取るための手段だろ?」

「辺境開拓集落は生きてゆくだけで精一杯です。税金を取られては暮らしてゆけません」

「あ、そーゆー理解なのか。違うんだって」


 市民権を持たない者が多くなるのは帝国に社会不安をもたらすので、おそらくは政策を変えてくる。

 特に罪がないのに市民権を持たない辺境開拓民には、市民権を持たそうとするはず。


「ずっと辺境で生きてくことが決まってるなら、市民権なくてもいいかもしれないよ? でも他の地域に移住すれば山賊扱いだし、移民申請も通らない。市民権持ってないことは生き方を狭めちゃうんだって」

「し、しかしよ……」

「プリンスルキウスは、魔物退治に必要な装備品やアイテムを入手しやすくする施策が必要だって言ってたぞ? でも一般市民には武器売れないルールなんだから、何らかの登録制度は絶対導入されるよ。辺境開拓民が優遇措置受けるために避けて通れないんだってば」

「そ、そうかもしれませぬが……」

「じゃ、試しにトサ様市民権取ってみなよ」

「「えっ?」」


 我ながらナイスアイデア。


「経験してみて特に不利益被らなきゃ、将来の期待を込めて皆の理解を受けやすいでしょ?」

「市民権って簡単に取れるもんなのかよ?」

「知らんけど多分」


 だって誰も損しないもん。

 こういうのは大概パワープレイが効果的。

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