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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1739話:ドーラに足りないもの

 フイィィーンシュパパパッ。


「オニオンさん、こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「いらっしゃいませ、ユーラシアさん」


 アビーとエメリッヒさんを送ってから魔境にやって来た。

 今日は午後の時間が余ってしまったので、十分魔境を満喫できるな。

 ただちょっと天気が不安定だ。

 雨降ったら帰ろ。


「おっぱいさんにもらった余ってる石板クエストの話、この前したじゃん?」

「ドーラ南部沖合いの島ですね?」

「うん、それ。今さっきまで海の女王のところで昼御飯食べてて、協同開発の件を持ちかけたんだ」

「どうでした?」

「イケる。女王の承諾はもらった。とゆーか結構乗り気だったな」


 女王も商売人だから、儲かる話には乗ってくれるとは思ってた。

 しかし……。


「島の観光開発はあとになるな。おゼゼができたらできるところからやらないと」

「できるところ、ですか?」

「問題の島までの転移石碑は、管理の上からもギルドに置くことになるじゃん? ドーラに遊びに来ようとするような帝国の上流階級の人は、レイノス港からギルドまで歩いてくるなんてことしないわ。まず馬車を走らせることができるだけの、しっかりした道を作んないといけない。いや、それならレイノスの拡張の方が先か」


 ドーラには足りないものがたくさんあるなあ。

 何にもやる余地がないよりはうんと楽しいけど。


「エルフの族長アビーも手伝ってくれそうなんだ」

「ドーラの観光地化についてですか?」

「うん。エルフは何してくれるのが一番いいかな。オニオンさん、どう思う?」


 腕を組むオニオンさん。


「……本来ならば塔の村近郊にでもエルフの出張村を作ってもらい、生活様式を見物できるようにするといいと思います」

「なるほど」


 エルフの三角の家は一見の価値があるしな。

 木と共生する森エルフの生活は、まんま見てもらうのがいいと思う。

 木で作ったお土産品もよさそう。


「でもいきなりは難しいですかね。投入する資金も多くなっちゃいますし。となればレイノスにエルフの店オープンが現実的ですが……」

「むーん?」


 邪魔になるのがレイノス人のノーマル人至上主義か。

 厄介だなあ。

 しかしオニオンさんから意外な言葉が。


「レイノスのノーマル人至上主義がかなり崩れてきているんですよ」

「マジ?」

「はい、新聞によればですが。元々ノーマル人至上主義の主体は、中町住人の帝国人上位思想なのです」

「らしいねえ」

「中町の住人が何よりも精神的に重んじるのはカル帝国の皇族です。しかしその皇族であるリリー皇女殿下やルキウス皇子殿下と誰よりも親しいのは、精霊使いのユーラシアさんじゃないですか」


 リリーやプリンスルキウスがノーマル人以外を嫌ってるわけじゃないし、中町の住人にとっては一種の価値感の崩壊があったのか。


「新聞の『ドーラ行政府だより』には、よくヴィルちゃんも登場するんですよ」

「アドルフいい仕事してるなあ」


 『ドーラ行政府だより』のコーナーのネタを提供してるのは、大使付きのアドルフだ。

 以前亜人と揉めようとするのはやめろって言ったのが、頭に残ってるのかもしれない。

 アドルフと近い上級市民達にも、同じ意識が共有されてきてるのかもしれないな。


「最近レイノスでもヴィルちゃんを連れてること多いらしいじゃないですか」

「あれ、そんなことまで新聞に載ってるの?」

「はい」

「ヴィル、レイノスで嫌な感情浴びることある?」

「ないぬよ? 皆優しいぬ」


 知らん間にレイノスの人の心も変わってきてるんだな。

 いい傾向だ。

 完全に変わるのは時間がかかるのかもしれないけど、亜人がレイノスに足を踏み入れることができるようになるのも、あまり遠いことじゃないのかもしれない。


「レイノスを拡張する時が一つの節目かもしれないな。その際に中町住人のノーマル人至上主義を吹き飛ばす、インパクトのあるイベントを放り込めれば……」

「おや、心当たりがありますか?」

「まるでないの。どうしよう?」

「どうしようもないぬ!」


 アハハと笑い合う。

 これは今後の課題だな。


「観光に関してはですね。ワタクシ、転移自体も帝国人のしたことのない経験だと思うのですよ」

「言われてみれば。ちょっと思いつかないことだったな」

「何でもない自由開拓民集落へ飛んで、魔物肉を食べるという体験だってドーラらしいと思うのです」


 オニオンさんの言う通りだ。

 ちょっとしたことでも観光の材料にできるんだなあ。


「もちろんドーラに来てみたい欲求を起こさせるものではないかもしれませんが」

「おまけ的な材料にはなるってことか。ありがとう、参考になった」


 オニオンさんニコニコ。


「サクラさんにもう一つ『地図の石板』を配られているでしょう?」

「『不思議の泉』ってやつだね。まだ行ってないんだ」

「おや、どうしてです?」

「うちのパーティーは原則的に、新しいクエスト入ったら朝に行くことにしてるの。かかる時間が読めないから。『不思議の泉』もらったの一昨日なんだけどさ。昨日今日と優先すべきことがあったんで、明日行こうかと思ってた」


 オニオンさん、意味深な視線ですね?


「その『不思議の泉』ですが……実は転送先がここの世界ではないそうで」

「へー」


 サクラさんがここまで話してるってことは、秘匿性の高いクエストじゃないらしい。

 じゃあ異世界でもバエちゃんとこの世界は関係ないっぽい。

 本の世界ほどヤバいところでもない。

 チュートリアルルームやヴィルの家みたいな、亜空間中に存在する小さな実空間の可能性が高い?


「おっぱいさん、クエストと呼ぶのが適切なのかも微妙って言ってたんだよね。クリア条件が曖昧ってことなのかな?」

「いや、クリア条件が曖昧なんてことはないはずです。対人クエストの場合、転送先の住人にメリットがあることが原則なんですが、そのメリットが不明ということなのではないかと」

「えっ、メリットが不明なんてことある?」


 『アトラスの冒険者』の石板クエストは自動収集だろうという推測がある。

 が、何故そんなのがクエストとして収集される?

 おっぱいさんは、あたしなら有効活用できるのかもって言ってたな。

 場所自体に価値があるのかな?


「まーいいや。行ってくる!」

「行ってくるぬ!」

「行ってらっしゃいませ」


 ユーラシア隊及びふよふよいい子出撃。

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