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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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1730/2453

第1730話:本土北西部の発展計画

 双子皇子の伯父に当たる、チョップ男爵家当主のルイトポルトさんが言う。


「一昨日、マルクス、ガイウス両殿下が珍しく揃って我が邸にいらっしゃいましてな。これまで二人仲が悪いのが悩みの種で、ほとほと困っておったのです。ユーラシア殿が諌めてくださったとか」

「うん。一番の味方になるべき人を敵にしてちゃもったいないからね。縁は繋いだ方が何事もうまくいくと思うよ」

「さようですな。どう説得したので?」

「今後皇族から離れることになると人生厳しいぞ。何やるんでも人脈大事、みたいな感じ」


 奇麗な韻を踏んで満足、居並ぶ貴族なんちゃって。


「そこなのです!」

「おおう?」


 横からインゴルフさんだ。

 えらい勢いだったけど、そこってどこなのです?

 サボリ君情報によるとキルヒホフ伯爵家は財政厳しいんだったか?


「ガータン経営をすぐさま軌道に乗せたユーラシア殿の手腕は聞き及んでおります!」

「いや、あれはヘルムート君に人徳と決断力があるからだよ。ヘルムート君の手腕が優れているからであって、あたしは大したことしてない」

「御謙遜を! 私どもに力をお貸しください!」

「んー? じゃあ話くらいは聞くけど」

「ありがたや!」


 そんなに持ち上げられると薄気味悪いわ。

 あたしは神様じゃないから、できないことはできないぞ?

 インゴルフさんは侯爵と違ってあたしに期待してるみたいだな。

 同じように双子皇子を持て余していても、バルトロメウスさんインゴルフさんルイトポルトさんと、それぞれお困りのポイントが違うらしい。


 中でもインゴルフさんは切実のようだ。

 えーと、キルヒホフ伯爵領には農業以外の産業がなく、人口微減が続いている、と。

 農業をまともに行えるならいいんじゃないの?

 インゴルフさんが顔を顰める。


「食うに困る地ではないのですが、それは現在の帝国本土ならばどこへ行っても同じです。相対的に魅力のない我が領は厳しいです」


 バルトロメウスさんルイトポルトさんも頷く。


「帝都から遠い本土北西地区に共通する悩みであるな」

「わかります。厳しいのは我が領も同じです。もう少し何とかならぬものかと常に考えておりますが……」

「侯爵領には北西部一の都市リンデンブルクがあるではありませんか。ルイトポルト殿のところには海がある。我が領には本当に何もなくて……」

「おまけにおゼゼもないのか。となるとやれることは限られるなあ」

「打開できる術が何かあるのか?」


 何だよ、ウルピウス殿下楽しんでるだろ。

 わかるからな?

 ヴィルが気持ち良さそうにくっついてるんだから。


「農作物を収穫して食料にします。これは定住集落の基本で、この条件を満たせないなら諦めた方がいい。でもここまでは伯爵領も一応問題ないんだよね?」


 インゴルフさんこっくり。


「当たり前だけど、おゼゼを得るためには商売しないといけない。売れるものが農作物しかないならそれを売るしかない」

「い、いや、わかりますけれども、売るってどこへ?」

「ゼムリヤとガリア」

「「「ゼムリヤとガリア?」」」


 ナップザックから地図を取り出し、皆に見せる。


「この道を通せばいいんじゃないかな」


 チョップ男爵領ブラウンシュヴァイクからゼムリヤへ抜ける山越えのルートだ。

 ほぼ使われてない道らしいが。

 ルイトポルトさんが悲鳴を上げる。


「聖モール山には魔物がいるんです!」

「知ってる。でも魔物がいるような山に山賊はいないでしょ?」

「え? も、もちろん山賊はいないでしょうが……」

「逆に考えようよ。何らかの手段で魔物を排除するなり駆逐するなりできれば、山越えの街道が使える。そうすりゃ人口の多いゼムリヤに売れるし、ガリアへ輸出することも可能だよ」

「「「……」」」

「おゼゼがないのに短期間でどうにかしようと考えるなら、どう考えてもこれが一番手っ取り早い」


 地図を凝視する領主三人。


「ゼムリヤのメルヒオール辺境侯爵は反対なんかしないと思うがな。本土北西部からの生産物が入るようになるなら、ガリアに対して取り得る手段が増えると考えるだろうし」


 またゼムリヤは地理的にガリアから狙われやすい地である。

 が、交易によって帝国本土との繋がりが強くなることは、ガリアの侵略に対する抑止になるから。

 つまりゼムリヤにとっても大きなメリットになることなのだ。

 メルヒオールさんが協力してくれる可能性は高い。

 呻く侯爵バルトロメウスさん。


「魔物がいるから通れぬものという先入観があった。しかし聖モール山越えが現実となるならばユーラシア殿の言う通り、本土北西部は大きな発展が望める」

「うん。少なくとも本土北西地区の産物が集積することになるチョップ男爵家領は、急激に商売が盛んになると思う。でも産物の絶対量が多いであろうザイフリート侯爵家領も、侯爵領から男爵領への通り道に当たるキルヒホフ伯爵領も恩恵は大きいと思うよ」


 ザイフリート侯爵家領のリンデンブルクは大きな都市らしい。

 新しい人流物流ができれば、かなりの発展が期待できる。

 キルヒホフ伯爵家領は自分ところの産物を商売できるだけじゃなく、宿場町需要も生まれるだろ。

 交通が活発になれば、リンデンブルクとの交易だって盛んになるはず。

 チョップ男爵家領のメリットは言わずもがな。


「新しいものの流れができれば確かに。しかし魔物が……」

「魔物の数が多いんだ? メルヒオールさんは魔物除けを設置してあるって言ってたけど」

「辺境侯爵領側には、ということだと思います。我が領側に魔物除けはありません。我が領では聖モール山を立ち入り禁止区域に指定し、街道には厳重な関所を設けてあります」

「なるほど、そりゃ人が通ろうとするわけないわ。じゃあ魔物除けは絶対必要として」


 あたしも帝国の魔物除けがどんなものかは知らん。

 ただゼムリヤ側に魔物除けを設置してあるなら、同じものを使うのが街道の管理上楽かと思う。

 じゃあメルヒオールさんに相談するといいんじゃないかな。


 というか魔物が出るなら退治しておゼゼに換えようという発想に、あたしはなっちゃうな。

 ドロップアイテムのある魔物がいるかは知らんけど、聖モール山にはおいしい草食魔獣がいるし、毛皮も売れると思うよ。

 冒険者の育成が必要なら、あたしが手を貸してやってもいい。

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