第1700話:おっぱいさんお勧めのクエスト
――――――――――二六七日目。
フイィィーンシュパパパッ。
「やあ、ユーラシアさんいらっしゃい。今日もチャーミングだね」
「ポロックさん、おっはよー」
「おはようぬ!」
朝からギルドにやって来た。
オニオンさんによると、おっぱいさんがあたし用の石板クエストを用意してくれてるらしいから。
おっぱいさんはいつもメッチャ愉快な、驚きと安心のクエストを回してくれる。
セレクトには信頼性があるわ。
楽しみだなー。
「ユーラシアさんは、帝国の皇帝陛下が亡くなったことに関連して動いているのかい?」
「そうそう、使いっぱしりだよ。働かされるだけだと面白くないから、絶対いつか取り立ててやるんだ」
アハハと笑い合う。
「新皇帝は? 新聞で大体のことは読んだが」
「一ヶ月以内に選挙で決まるよ。新聞以上のこととなると、ドーラが推してるプリンスルキウスもかなり有力だってことくらいかな。主席執政官ドミティウス閣下かプリンスか、どっちかが皇帝だよ。期待してるんだ」
プリンスが在ドーラ大使として赴任してきた時は、次期皇帝争い四、五番手というところだった。
数ヶ月後の今は、主席執政官閣下とてっぺんを争うまで存在感を増している。
かなり頑張ったと思う。
「今日ユーラシアさんは?」
「先帝陛下が亡くなって、皇帝選やるぞーっていう情報が行き渡ったかな。ちょっと帝都も落ち着いたんだ。だからギルドに遊びに来たの」
「ハハハ、どうぞごゆっくり」
ギルド内部へ。
「あれえ? ソル君久しぶり」
「「「ユーラシアさん!」」」
依頼受付所にソル君パーティーがいた。
アンとセリカがポーラをぎゅーしてるじゃん。
あ、ヴィルも混ざりに行った。
あたしも混ざりたいな。
ソル君が言う。
「ユーラシアさんも、ですか?」
「そうそう。サクラさんの幸せ生活の話を聞きに」
アハハと笑い合い、内緒話モード突入。
おっぱいさんが話してくれる。
「『アトラスの冒険者』廃止に伴い、大量の余剰クエストが出ます。その処理の問題に関してですけれども」
「通常の石板クエストを終えたら次というサイクル以外に、別の石板クエストを回していただけるという話ですよね?」
「はい。御賛同いただけると嬉しいです」
「あたしはもちろん賛成」
「オレもです」
まあ当然。
おっぱいさんニッコリ。
「ソル君はクエスト順調なの?」
「はい。しかし一つのクエストを完了させるのに時間はかかりますね。待ち時間も多いです。ユーラシアさんはどうです?」
「待ち時間が多いってのはあたしも一緒だな。やることなくて困っちゃう」
「えっ? ユーラシアさんは魔境へ行ったり帝国へ行ったりしてるんでしょう?」
「一番お忙しそうではありますけれどね」
周りからどう見られているかと、自分の感覚は違うなあ。
「今、正規の石板クエストはセットのやつなんだ。いくつかクエスト終えたんだけど、どうすれば最終的に完了扱いなのかはわかんないな。先が長いかもしれないから、どんどん新しいやつもらえると嬉しい」
高レベル者を必要とするクエストが簡単なわけがない。
クリアまでの道のりが長い傾向にあるのは理解できる。
「ユーラシアさんとソールさんに新規のクエストを積極的に配給するのは決定として、その他にこの企画に乗ってくれそうな方はいるでしょうか?」
思わずソル君と顔を見合わせる。
「……ソル君はイケメンだなあ」
「は?」
「最初会った時はあたしとちょうど同じくらいの背の高さだったの。今はあたしより高いよね? 顔も引き締まってワイルドさが出た気もするし」
「可愛らしい男の子が凛々しい冒険者になりましたね」
「今関係ない話題ですよね?」
「関係ないけど、女の子はこういう話題が好きなもんなんだ」
ソル君も忙しいだろうから話戻すけど。
「『アトラスの冒険者』廃止は、どれくらいの人が知ってるのかな?」
「上級冒険者はほとんど知ってるんじゃないでしょうか」
「となると……」
シバさんマウ爺ゲレゲレさんはセミリタイヤみたいなもん。
ヤリスさんキーンさんのお兄さんズは二人分のクエストがある。
ダンは農繫期で従業員の時間が取れない。
ピンクマンとエルマは仕事の方に集中して欲しい。
ラルフ君はドラゴンスレイヤーになるのが先。
「……強いて言えばデミアンだな」
「オレも同じ意見です。最近妹さんと一緒のことが多いでしょう? 妹さんと一緒に行けるくらいのクエストは欲しがるんじゃないでしょうか」
「やるなソル君。きっと喜ぶわ」
アグネスと遊べるクエストならデミアン大喜びだわ。
大きく頷くおっぱいさん。
「デミアンさんが『アトラスの冒険者』廃止を知ってるのは間違いないですか?」
「うん、間違いない。ダンとマウさんから聞いたって言ってた」
「ではデミアンさんにも話を通してみますね。ところでユーラシアさんとソールさんは、どういったクエストがお好みとかありますか?」
再びソル君と顔を見合わせる。
「……ソル君はイケメンだなあ」
「それもういいですから」
お腹一杯だったか。
イケメンと言われ慣れてるのかもしれないな。
「あたしはサクラさんのお勧めがいいな。今まで振ってもらった石板クエスト、皆すげー楽しめてるから。できれば今まで行ったことのない場所の、単発のクエストがいい」
「オレはアン、セリカと相談して決めたいです。候補の概要を記したリストがあればいただきたいですが……」
「ではこちらの『地図の石板』をユーラシアさんに、このリストをソールさんにお渡ししておきますね」
「こーゆーもんがすぐ出てくるところがすごいなあ」
ソル君もコクコク頷いてる。
『地図の石板』はわかるけど、リストなんてソル君がそう言いだすのがわかってないと用意しないじゃん。
おっぱいさんはできる女だなあ。
「これは難しいクエストなの?」
「いえ、レベル一でもクリア可能だと思います。ただユーラシアさんなら効果的な使い道を思いつくのではないかと」
「使い道?」
「はい」
おっぱいさんニッコリ。
これ以上は行ってみてのお楽しみってことみたい。
意味深で面白いな。
「サクラさん、ありがとう。今日時間あるから、早速行ってみるよ」
「よろしくお願いいたします」
「じゃーねー。おいこら、あんた達はいつまでぎゅーしてるんだ。あたしも混ぜろ!」




