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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1694話:ちょうどいいぎっくり腰

「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「これはユーラシア殿」


 新聞記者トリオとともにオーベルシュタット公爵家邸へやって来た。

 うっかり元公爵は一旦ラグランドに戻るつもりだろうけど?

 門番に話しかける。


「元公爵のうっかりじっちゃんどうしてるかな? リキニウスちゃわああああんって騒いでる頃かもだから、迎えに来たんだよ」

「それがぎっくり腰で」

「え?」


 思わず記者トリオと顔を見合わせる。

 人生予想外のことはいくらでもあるなあ。

 先帝陛下が亡くなって以降、覚醒したみたいにしゃっきりしてたから、反動が来たのかもしれないな。


「身動きが取れず臥せっておられる」

「わちゃー。一昨日昨日と張りつめてた気が緩んだのかなあ。御愁傷様です」

「ユーラシアさん、お亡くなりになったわけではありませんよ?」

「そーだった。お大事にが正解だった」


 アハハと笑うには不謹慎だわ。

 ここのところ御愁傷様ばかり言ってたから。


「医者を呼んではいるのだが……」

「この前オードリーの従者セグさんを診てたのと同じ人?」

「うむ」

「じゃあちょうどいいな。あたしにもじっちゃん診せてよ。症状軽くできると思う」

「こちらへ」


 邸内に通される。

 記者トリオ何?


「ちょうどいい、とは何がです?」

「この前のお医者さんなら、うちのクララの『ハイヒール』でぎっくり腰治ったの見てるでしょ? おまけに自身の肩が痛いのも、魔法で治してるじゃん。つまり白魔法の効果を実感してる人ってことだよ。魔法医のことを胡散臭く思ってるだろうけど、魔法医療自体には理解があるんじゃないかな」

「ということは?」

「魔法医療って使いどころが適切ならば有効なんだってば。お医者さんにいつまでも偏見で見られてちゃ、医療自体が発展しないわ。そこんとこもう少しわかってもらうのに、ちょうどいいと思うんだ」

「なるほど」


 通常医療と魔法医療の歩み寄りだ。

 通常医療の理屈を理解していて、手段として魔法医療を使える人材が欲しいと思う。

 公爵家に往診に来るようなお医者さんは権威ある人なんじゃないかな。

 今日もう一度白魔法の効果を刷り込んでおけば、魔法医療が見直されるきっかけになるかもしれない。


「クララを呼んでくるぬか?」

「ん? いいよ。精霊の魔法医療が特別なもんだって思われるのもよろしくないから。今日はあたしがやってみる」


 『ホワイトベーシック』を装備すりゃ、あたしでも『ヒール』くらいは使える。

 治療対象がうっかりさんだしな。

 失敗しても笑って許してくれるだろ。

 ダメだった場合はクララ呼んでくりゃいいし。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「ユーラシア君か。こんな格好ですまない」


 この前セグさんが寝てたのと同じ部屋だ。お医者さん呼ぶのに都合がいいんだな。

 お医者さんに聞く。


「やってるのはこの前と同じで、腰温めるってやつ?」

「さようです」

「ちょっとあたしにも診せてよ。回復魔法かけてみる」

「あの鮮やかな魔法医療を再び見たいと思っていたところなのです。よろしくお願いいたしますぞ」


 お医者さんも魔法医療に積極的になっとるやん。

 いい傾向だな。

 どれどれ?

 魔力の流れからすると、悪いのはまともに腰だな。

 セグさんの時より下の方だ。


「ヒール! ……ヒール! ヒール! ヒール! ……よし、こんなもんだろ。じっちゃん、もう大丈夫だと思うけど」

「おお、感謝する!」

「適度に体を動かすことを心がけてくだされ」

「お医者さんの言うこと聞かないと再発するぞー」


 うっかりさんぴょんぴょん跳び回ってるけど自重しろ。

 それは適度じゃない。

 しかし……。


「うーん、やっぱダメだな」

「何がです? 白魔法による治療の有効性を改めて確認させられましたが」


 お医者さん不思議そうだけど。


「この前の白い精霊の子ほどじゃないけど、あたしもそれなりに魔法力は高いんだ。でも今のぎっくり腰治すのに『ヒール』四発も必要じゃん? そんじょそこらの魔法医がマジックポイント尽きるまで『ヒール』撃ったって、当てどころが正しかったとしてもちょっと具合がいいかなくらいだと思う。ぎっくり腰って普通、安静にしてりゃ数日で良くなってくるんでしょ? 魔法医にたっかいおゼゼ払う価値がない気がするな」

「いや、一口にぎっくり腰といっても、原因は一つだけではないのですよ」

「そーなんだ?」


 医学の心得のないあたしじゃわからん部分だ。


「症状にも重い軽いがあります。一般の魔法医程度の魔法力でも有効な症例は多いと思われます。慢性的な古傷の痛みなどでは毎日少しずつ『ヒール』を当てるという手も考えられます」


 なるほど、何回かに分けてもいいってことか。

 あ、何人かで分け撃ちしてもいいな。


「やっぱ専門家は言うことが違うな。これあげる」

「何ですかな? カード?」

「ドーラ名物『ホワイトベーシック』のパワーカードだよ。持ってて自分の魔力を流し込めば、回復魔法『ヒール』と治癒魔法『キュア』が使える」


 白魔法の有効性を理解してるお医者さんなら、適切に使ってくれるだろ。


「ありがとうございます。大事に愛用させていただきます。……これは『ウォームプレート』や『クールプレート』と同じ原理のものですな?」

「そうそう。『ウォームプレート』知ってくれてるんだ?」


 徐々に知名度が上がるドーラの特産品。

 毎度あり。


「患部を温めたり冷やしたりするのに非常に使い勝手がよろしいのです」

「そんな使い方があったとは。お医者さんはさすがだなあ」

「残念ながらほぼ品切れで手に入らないのですよ」

「ごめん。あれ作れる職人が少なくて、合計で月三〇〇枚くらいが限度なの。ほぼ全部帝国向け輸出に回してるんだけど」


 残念そうなお医者さん。

 お医者さん一人につき何枚か持ってるのがデフォルトになるかも。

 パワーカード職人増やすのは急務かな?

 新『アトラスの冒険者』が発足してギルドから塔の村やアルアさんの工房に転移できるようになれば、レイノスから通いの職人も出始めるかも。


「じっちゃん、ラグランドへ戻る? もうちょっと帝都にいる?」

「ラグランドに戻りたい。しかし大雑把でいいから葬儀のスケジュールが知りたいのだが」

「今から施政館に行くけど、聞いてこようか?」

「いや、わしも行こう」


 散歩くらいは腰にいいかもな。

 施政館へゴー。

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