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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1681話:気の進まない報告

 フイィィーンシュパパパッ。

 ヴィルを含めたうちの子達を連れて塔の村にやって来た。

 気の進まないことではあるが、リリーにも陛下が亡くなったことは伝えておかなければならないから。


「さてと、デス爺にも報告しとくか。どこかな?」

「この時間だと見つけにくいぬよ?」

「それなー」


 かなり日が傾いている時間なのだ。

 角度的にハゲ頭が光らないんだよな。

 とにかくデス爺の小屋へ行ってみるか。


「あ、いるじゃん。おーい、じっちゃーん!」


 すぐ見つかった。

 小屋の前で元潜入工作兵の隊長メキスさんと話をしている。

 メキスさんにも話しとくべきだったからラッキー!


「何じゃ、いつもいつも騒々しい」

「今朝皇帝陛下がお亡くなりになりました。ちーん」

「「!」」


 いつかはと予想はしていただろう。

 が、まずまずのインパクトと言ったところか。

 よしよし、ヴィルはぎゅっとしてやろうね。


「ついに、か。御冥福をお祈りする」

「リリーに伝えなきゃいけないじゃん? 気が重くて」

「次の皇帝はどうなる?」


 メキスさん、ストレートに来るなあ。

 主席執政官閣下と関わりのあったメキスさんが、次の皇帝について関心があるのはわかるけど。


「実はこういうものがあって」

「何だこれは?」

「皇帝陛下の残した遺書」

「「!」」


 何故他人の驚く顔を見ることは愉快なのか。

 陛下逝去のネタなのに笑えてきちゃう。


「陛下の親友のグレゴール元公爵と、陛下の相談役で賢者って言われてるリモネスさんから預かった」

「どうしてお主が遺書など持っているのじゃ!」

「あたしが寄越せって言ったわけじゃないわ。帝国の現政権より、あたしの方が信頼できると考えたからじゃないの?」

「……君は驚くほど有力者と人脈を築いているんだな。権力者だけでなく」

「運がいいだけだよ」


 いい感じでトラブルが起きるから、いろんな人と知り合いになっちゃう。


「まだ遺書は封開けてないの。内容は誰も読んでないからわからないよ? けどリモネスさんによると、皇帝後継者についての陛下の考えが書かれているんじゃないかってことなんだ」

「……内容次第で次の皇帝が決まるということか」


 ズバリ誰かの名前が書かれてるってことじゃないらしい、ってリモネスさんは言ってたけどね。

 

「明日帝都の中央広場で市民一杯集めて内容を発表するんだ」

「よく市民の前で晒すなんてことをドミティウス殿下が許したな」

「えっ、反対される要素ある? 一番公平だと思うけど」

「遺書を所持しているのがユーラシアだからの。どうせ何を言ったところで、ユーラシアはやると決めたらやるからじゃ」


 そんな理由?

 主席執政官閣下もあたしのパワープレイを容認?


「現在の皇帝争いの情勢はどうなんだ? 君の見込みとしては?」

「現在皇位継承権一位のセウェルス殿下は心の病で脱落。本命がドミティウス主席執政官閣下、対抗がプリンスルキウス、穴がカレンシー皇妃の長男フロリアヌス殿下かな」

「ウルピウス殿下やリキニウス殿下のセンはないのか?」

「ウ殿下は次期ゼムリヤ辺境侯が内定、リキニウスちゃんはラグランド旧王族のオードリー王女と婚約したからないな」

「どうしてお主は内情に詳しいのじゃ?」

「何でだろ? 段々知り合いが増えちゃうの」

「増えちゃうんだぬよ?」


 あたしも主人公補正で片付けてる不思議なところ。

 情報を得ようと努力してるってことはあるけれども。


「ドーラにはあんまり関係ないことなんだけどさ。ドロッドロに揉めて移民や貿易に響くと迷惑じゃん? スマートに収まるように協力しようかと思って」

「お主が構い過ぎると、予想もつかぬ面白さになるから気をつけるのじゃぞ」

「そんなことあるか。ありそーだな?」


 いや、変に拗れるとロクなことないのはわかってる。

 注意すべきだな。


「じゃねー。リリーんとこ行ってくるわ」

「バイバイぬ!」

「展開が進んだら知らせよ」

「わかってる」


 食堂へ。


「美少女精霊使いユーラシア参上!」

「参上ぬ!」

「「「ユーラシア!」」」


 エルレイカリリーのパーティーとフィフィ一家もいるな。

 随分と大勢だ。


「訃報です。今朝リリーの父ちゃんが亡くなりました」

「「「「「「「「……」」」」」」」」


 うわー重くて嫌いな空気だよ。

 よしよし、ヴィル肩車してやろうね。

 リリーが口を開く。


「……覚悟はしていた」

「うん」

「葬儀の日取りはまだ決まっておらぬか?」

「まだ何も。新しい皇帝が即位してからになるんじゃないかとは聞いたけど」

「そうか。葬儀の日は連れていってくれ」

「わかった」


 従者の黒服が次期皇帝はって顔してるけど、言うムードじゃないじゃん。

 デス爺かメキスさんに聞いてね。

 努めて明るいふうを装ってリリーが言う。


「気を使ってくれなくともよいぞ。父様は天寿であったのだ。ユーラシア、愉快な話はないか?」

「急激な転換点は突然現れるなあ。フィフィの本が完成し始めてる様相なんだ」

「本当!」

「嬉しいのか、この悪役令嬢め」

「悪役令嬢ではないのですわっ!」


 笑い。

 ようやく空気が軽くなる。


「もう帝国から一五〇〇部の注文があるって聞いたよ」

「すごいですわっ!」

「すごくないの。これはプリンスルキウスの置き土産みたいなもんなんだ。プリンスの信用で貿易商が引き受けてくれただけだから」


 エルとレイカが口々に言う。


「原稿の段階でボクも読ませてもらったんだよ」

「ああ。するするっと読めて、くすっと笑える本だ」

「でしょ? これまでそーゆー軽いテーマの廉価本がなかったから、フィフィの本をきっかけにエンタメ本を増やすんだ。ガンガン売り込んでくる」

「お願いしますのですわ」

「任せなさい。初版本受け取ったら持ってくるからね」


 第二弾の本も期待してるぞ。

 一度フィフィはヴィクトリアさんと話してもらいたいな。

 リリーと気まずくてあたしがやりづらいから、皇妃様とヴィクトリアさんの和解も画策しなくては。

 やること多いわ。


「ところでこっちは何か変わったことないの?」

「あるぞ。ユーラシアが喜びそうなのが」

「何なのレイカ。もったいつけないでよ」

「ハハッ。塔の一六~二〇階に生息する大口ダイカーという魔物の肉が、頻繁に入荷するようになったんだ。ローストしてスライスしたものが今大人気のメニューだぞ」

「あっ、食べる食べる! 注文してこよ」

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