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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1580話:ガリアで商売

「美少女精霊使いユーラシア参上!」

「いい子ヴィル参上ぬ!」

「白き幼女ヒーラークララ参上です!」

「カードマニアアトム参上だぜ!」

「横文字を愛するクールマンダンテ参上ね!」

「あっ、ダンテ打ち合わせと違う!」


 せっかく重要なオチの役割を振ったのに、このインチキ横文字トーカーめ。

 まあでも面白かったからいいや。

 呆れた顔してるアレクケスハヤテの三人。


「ユー姉、何なの?」

「新しいエンターテインメントの模索だね」

「あんまり面白くなかっただ」

「理解されにくかったかー。『迷子精霊ハヤテだべ』ってのを入れるべきだったね」


 アハハ、やってる方は楽しかったんだけどな。

 一方通行だったか。

 芸の道は厳しい。


「姐さん、今日は儲け話を持ってきてくれたんだろう? サイナス族長からチラッと聞いたぜ」

「ケスは耳敏いね。楽しい話だぞー。札取りゲームよく売れてるじゃん?」

「おかげ様で順調だよ。目一杯作ってもらってるけど、限界があるから」

「ガリアで売るのはどうかと思って」

「「「ガリア?」」」


 ナップザックから地図を取り出して見せる。


「ここだよ」

「大きな国だべ!」

「人口では帝国に比べて数分の一の規模らしいんだけどね。寒い国で農作物の生産量に限界あるから。森の豊かな北国だよ」

「帝国に比べて何分の一かだったら、ドーラの数十倍の人口じゃないか」

「大国ってことか」


 熱心に地図を見てら。

 関われる世界が広がるのは嬉しいことだね。


「今んとこあたし達の商売できるエリアは、ドーラ国内と帝国しかないじゃん? 基本的に商売は、買ってくれる可能性のある人の母数が大きい方が儲かるからさ」

「ガリアという国にも輸出するということだか?」

「ではなくて」


 アレクが気付いたようだ。


「……ガリアで現地生産して売ろうってことか。木は余るほどあるから」

「そうそう。こっちと商圏重なんないから、ドーラからの輸出にも響かないしさ。どうかな?」


 考える三人。

 いいね、考えるのはタダだよ。


「問題がいくつかあるね」

「おら以外、現地に飛べないだ」

「向こうの業者を知らねえ。伝手もねえ」

「モタモタやってる内にアイデアを横取りされてお終いって気がするね。ユー姉なら何とかできるのかもしれないけど、ボク達の手には余るよ」

「よし、いいね。あんた達はわかってる。偉い」


 ガッカリした様子のケス。


「結局おいら達のテストだったのかい? 儲け話じゃなくて」

「儲け話だとゆーのに。札取りゲームの製造権と販売権を、一セットあたりどれだけっていう歩合で売ったらどうかなと思って」

「丸投げか。それならボク達の負担はないし、いいかもしれない」

「アイデアを盗まれる危険は一緒じゃねえか?」

「そうだべ。相手が信頼できるとは限らないべ!」

「王様に売ったらどうかな?」

「「「王様?」」」

「ガリアの今の王様。ピエルマルコ王。クエストで知り合いになったんだ」


 ポカンとする三人。


「……ユーラシアさんは、そんただ偉い人と知り合いだか?」

「『アトラスの冒険者』やってると、どんどん偉い人と知り合いになるんだよ。実にやり甲斐があるんだ」

「いいんじゃねえか? 王様に騙されるようじゃ、どっちにしてもその国で商売はできねえよ。商圏重ならないなら損もない」

「うんうん、いい考え方だね。会ってみりゃわかるけど、王様は信用できる人だよ」


 アレクの表情は小難しげだ。

 また面倒くさいこと考えてるみたいだな。


「背景を知りたい。ユー姉が札取りゲームをガリアで売るなんてことを言い出したのは、単に商売の規模を拡大したいってだけじゃないんだろう? そもそもガリアの王様が乗ってくるかわからないじゃないか」

「アレクやるね。森林国ガリアにとって、識字率を上げることは有利なんだ」

「つまり紙が売れるようになるから?」

「うん。実際に札取りゲームを見せたら、王様と森林大臣が食いついてきたからさ。見込みあると思うよ」

「おそらくガリアは識字率を上げたい意向が元々あったんだろう。そして森林資源を生かせるアイデアをユー姉が持ち込んだから色めき立ったんだ」


 内海情勢についても話しとけ。


「こっちも見てくれる? 地図上で閉じられたように見えるここがテテュス内海っていう、交易の盛んな海ね。このサラセニアって国がガリアの子分で、内海におけるガリアの玄関口になってる」

「「「ふんふん」」」

「アンヘルモーセンっていう商業国が、内海交易における絶対的な存在なんだ。貿易商とお隣の農業国からの食料を操って、アンヘルモーセンを通さないとものが回んない仕組みになってるの。それをいいことに、アンヘルモーセンがサラセニアに圧力かけてる」

「え? でも見るからにガリアは大国でしょ?」

「総合力では大国なんだけど、内海での力関係は別物だと思って。帝国もここタルガ植民地から内海に影響力を及ぼそうとしたことがかつてあったけど、アンヘルモーセンに反発されて国が傾いたことがあったって」

「「「……」」」


 黙る三人。

 内海情勢はドーラの田舎で知る術がないし、気にしてる人もいないだろう。

 でもあんた達はもっと広い世界で商売すべきだと思うよ。

 どんどんいくぞお。


「で、ガリア&サラセニアは帝国と組んで、アンヘルモーセンを介在させない貿易を行うことにしたんだ。あたしも売り惜しんだり独占したりして民衆を苦しめようとするアンヘルモーセンのやり方は好きじゃないから、ガリア~帝国のタッグに手を貸したい」

「……ガリアからの輸出品を充実させたいってことか」

「アレク正解。どうせ札取りゲームは安い類似品が出ると売れなくなっちゃうから、いつまでもしがみついてる商品じゃないじゃん? 次々商品を投入してあんた達の名を上げて信用を勝ち取ろう。そうすりゃ名前で売れるようになる。ガリアも国策で輸出品を充実させたいから、多分話聞いてくれるぞ? どうする? 王様に会ってみる?」

「「「会ってみる!」」」

「よーし、決まった!」


 アレクケスは明日から輸送隊だったよね。

 帰ってくるのが三日後で、あたしもゼムリヤへ行く用事があるから……。


「一応、五日後を予定しといてね。明日ガリア行って王様の都合聞いてくるよ」

「わかった」

「じゃーねー」

「バイバイぬ!」


 さて、野菜仕入れてから魔境でも行くか。

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