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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1550話:怒涛の三連星

「サイナスさん、こんばんはー」

『ああ、こんばんは』


 夕食後、毎晩恒例のヴィル通信だ。


『新輸送隊員のレベリングと装備品、ありがとうな。皆喜んでいたよ』

「あたしが聖なる勤労少女だって? 困ったなー」

『困りゃしないだろう』


 アハハと笑い合う。

 困りゃしないけどオゼゼは出て行くなー。

 まーパワーカードのサービスはあたしが好きでやってることだからいいけれども。

 サブローさん達と魔物退治に参加してくれてもいいしな。


『スティーヴ氏が感心してたぞ』

「スティーヴ? 誰だっけ? そんな名前の人は、あたしの人生に関わってない気がする」

『今日一緒だったろう? 元辺境開拓民だという、割と小柄の……』

「ああ、はいはい。『訓練生』持ちの人か」

『覚え方が結構ひどい。ある意味ユーラシアらしい』

「あたし大事なことしか頭に入んないの」


 名前聞いてなかっただけだよ。

 最初突っかかってきたけど、物わかりもいいし、レベルさえ上がれば結構使いでのある固有能力持ちではある。

 今後活躍してくれるんじゃないかな。


「つまり感心するほどあたしが可愛いって?」

『感心の仕方の方向性が違うな。君の希望には沿えないかもしれないが』

「気品があるっていう方向だった?」

『気迫がある、かな。どっちかと言うと』


 気迫?

 どーも勇士の評価のされ方らしい。

 聖女を評価してくれないかなあ。


「あの人の『訓練生』って多くの基本的なスキル覚えるんだけど、習得遅いっていう固有能力なんだって」

『惜しい固有能力だな。レベルが上がれば強力なスキルが欲しくなるだろうに』

「冒険者ならね。でも攻撃魔法も回復魔法も素で使えるってことだからさ。輸送隊にはピッタリだと思うよ。ちょこっとだけど元々戦闘経験もある人だし、大事にしてやって」

『わかった』


 器用貧乏的ではあるが、いろんなスキル使えるって便利だよ。

 応用利きそう。


「『訓練生』の人、帝国のタルガっていう帝国の植民地に詳しいらしくてさ。あたし今度タルガに行くことになるから、案内してもらおうかな」

『いつだ?』

「明日から三日以内だな」

『本人にそう伝えておけばいいな?』

「お願いしまーす」


 現地を知るガイドがいた方がより面白いだろ。

 楽しみが増えたぞ。


「本日の面白話いきまーす!」

『随分と大上段だなあ。自分でハードル上げ過ぎるとロクなことないぞ?」

「今日は大丈夫な自信がある。えらいもん手に入れたんだ。あたしもちょっとビックリしたくらい」

『ちょっとなのか。一体何を手に入れたんだい?』

「皇帝陛下の遺書」

『えっ?』


 ハハッ、サイナスさん驚いてやがる。

 気分がいいなあ。


『病に臥せっている今上帝の遺言状ということだな? 過去の皇帝の、現在の情勢に関係ない歴史的な品というわけじゃなくて』

「そうそう、今度お亡くなりになる陛下の手紙」


 あれっ? 丁寧に言ったつもりが、かなり不謹慎だった気がする。

 まーいーか。


『かなり重要なことが記されている可能性があるじゃないか。次期皇帝についてとか?』

「大いにあり得るねえ。中は読んでないんだけど」

『どんな悪いことして手に入れたんだ? 場合によっては魔法の葉青汁の刑だぞ?』

「悪くないわ。魔法の葉青汁の刑はほんとやめて。身震いがする」


 極刑に処せられてはかなわん。

 種明かしだ。


「うっかり公爵にもらったんだ。もう公爵位を息子さんに譲って隠居だからって」

『色々わからない。何故公爵が帝国の行く末を左右するような大層なものを持ってる?』

「うっかりさんは陛下と同い年で、母親同士が姉妹の従兄弟なんだって。陛下と最も気安く話せる貴族だそーな」

『ええ? うっかり公爵って重要人物なんじゃないか。君が軽く扱ってるから、オレは全然そんな意識なかったぞ?』

「皇位継承権一位だった第一皇子の義父だぞ? 重要じゃないわけないじゃん」


 サイナスさんは今更何を言ってるのだ。

 うっかり公爵が重要人物であることとあたしが軽く扱ってることは別の話だわ。


「第一皇子の死後に、この手紙を託す、カル帝国を頼むと言われたそうな」

『……つまり第一皇子が亡くなって、次期皇帝争いから離れたポジションになった公爵に遺書が託された?』

「とゆーもっぱらの噂」

『誰がどこで何の噂だ』

「おお、怒涛の三連星。……三連星と訓練生って似てるな?」

『誰がどこで何の話だ』


 アハハと笑い合う。

 サイナスさんも極めていわくありげな手紙だということは察したろ。


『状況としてはかなり気になるね。しかし、取り立ててどうということのない手紙ってこともあり得るだろう?』

「まあね。でもあたしの鋭いカンが極めてインポータントなものだと告げてるの」

『ムリヤリフラグ立ててくるなあ。で、その手紙をどうしてユーラシアが手に入れることになったんだい?』

「うっかりさん本人は、他人を見る目には自信があるからって言ってたぞ?」

『ええ? 何だその理由?』


 あたしだって変だと思わんでもないけど。

 ただあたしを頼るのは正しいことだしな?


「問題の手紙に次期皇帝に関する陛下の考えが書かれていると仮定するよ? うっかりさんは陛下の意思を尊重したい。でも自分じゃどうしたらいいかわからないし、迂闊な人間に渡せない。だってうっかり公爵や陛下の周りにいる有力者は、皆誰が皇帝になるかが自分の利害に関わってくるんだもん。そーゆー人がこの手紙を持つと、握り潰したり、公表しても信用されなかったりしそうじゃん? となると陛下の考えが埋もれてしまいそうで無念だから、消去法であたしに手紙を寄越したんだと思う」

『かなり信頼されてるね。だが君はルキウス皇子派じゃないか』

「だからといってこんな大事なもんを誤魔化して使うつもりないわ。あたし自身の信用に関わるわ」

『なるほど?』

「むしろあたしの影響力増大に使うわ」

『なるほど!』


 ハハッ、サイナスさんが納得したぞ。

 陛下の真意だと証明できれば、この手紙は揉めずに次期皇帝を定める権威になるかもしれない。

 とはゆーものの、あたしじゃちょっと持て余すくらい扱いの難しいものではある。

 明日リモネスさんに相談だな。


「サイナスさん、おやすみなさい」

『ああ、御苦労だったね。おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『わかったぬ!』


 明日はまずどこへ行くのが先だ?

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