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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1548話:遺書

「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「ユーラシア! ルーネ! よく来たのじゃ!」


 中央府へ行ったら、ロビーに皆おるやん。

 そして何故かぎゅーしにくるオードリーヴィルルーネ。

 可愛いやつらめ。

 ぎゅーしたるわ。

 

「様子見に来たんだ。昨日の今日だから、まだ慣れてもいないだろうけど」


 うっかり元公爵が胸を反らす。


「うむ、ラグランドはいいところだ!」

「昨日じっちゃんが大活躍だったって聞いたよ」

「どういうわけかわしが英雄扱いでな」

「英雄? 多分ラグランドには娯楽がないから」

「早速例の盾魔法の杖が役に立ったのだ。感謝する」


 絶妙に会話が噛み合ってるような噛み合ってないような。

 リキニウスちゃんが嬉しそうに言う。


「ジャブラニ衛士長に剣術を教えていただけることになったんです」

「よかったねえ。経験は損にはならないからね」

「はい!」


 ジャブラニ衛士長は結構な使い手だと思う。

 言葉に重みがあって信頼できる人だしな。

 帝国流じゃない剣術を知っとくことも、リキニウスちゃんにとって悪くないことだ。


 チラッと見たら、アルヴィリアお母ちゃんの体調も今日は悪くなさそう。

 帝国とは気候の違いがあるから心配してたけど、大丈夫そうだな。

 オードリーが言う。


「ユーラシア、冒険の話をしてたもれ!」

「私も聞きたいです!」

「ぼくにもぜひ!」

「え? あんた達は物好きだな。じゃあ少しだけ」


          ◇


「……で、ガリアの王様が欲しいものはあるかって聞いてくるんだ。おっぱいのボリュームって答えたら、居並ぶ大臣連中が大爆笑。まったくガリア人は失礼なの」

「「「「「「「「あははははははは!」」」」」」」」


 いくつか面白話を披露したった。

 使用人一同まで聞いてるやん。

 大ウケすると気分がいいなあ。

 アルヴィリアお母ちゃんゲラゲラ笑ってるけど、体調大丈夫かしらん?

 こっちが心配になるわ。

 うっかり公爵が言う。


「アルヴィリア、その辺にしておきなさい。気が高ぶり過ぎるとよろしくない」

「はい。ユーラシアさん、ルーネちゃん、途中だけど失礼させてもらうわ。ごめんなさいね」

「いえいえ、ごゆっくり」

「ユーラシア君、少々話があるのだ」

「うん。ルーネ、ヴィル、リキニウスちゃんとオードリーをよろしくね」

「はい」「はいだぬ!」


 いつになく真剣な表情のうっかり公爵とともに別室へ。

 重要なことかな?

 ドアを閉めて椅子に座ると、おもむろに話し出すうっかり公爵。


「しばらくラグランドに滞在しようかと思っているのだ」

「プリンスルキウスとアーベントロート公爵家のパウリーネさんが結婚するって知ってる? 式に参加するなら、あたしが連れてくけど」


 首を振るうっかり公爵。


「いや、公爵位は既に息子アルフォンスが継いでおる。良きようにするであろう。最早わしの出番ではない。リキニウスちゃんも社交デビューしているわけではないしな」

「新公爵の出番だもんねえ」

「適当な時期に帝都に戻り、リキニウスちゃんとオードリー王女を私塾に通わせたい。教養とマナーを身につけさせるためにな」

「うん、いいと思う」


 思いついたように話を続けるうっかり公爵。

 わざわざ別室に連れ出したくらいだ。

 本命の話したいことがあるんだろうけど、逡巡しているみたい。

 まあ、焦らなくてもいいですよ。

 ごゆっくりどーぞ。


「……連れてきた医師によると、ラグランドは薬草が豊富で安く手に入るそうなのだ」

「へー。ラグランドの気候でしか育たないやつだと特産品になるかもな」

「ハハッ、ユーラシア君は熱心だな」

「商売ネタは気になるねえ。ドーラへも輸入できるかもしれないから覚えとこ」

「ラグランド滞在は、アルヴィリアの健康のためにもいいと思う」

「そーだね」


 沈黙が訪れる。

 何を話したいんだろうな?

 一つの封筒を取り出すうっかり公爵。


「これをユーラシア君に渡しておく。好きなように使ってくれ」

「何これ?」

「コンスタンティヌス陛下の遺書、だと思う」

「えっ?」


 とんでもないもんが出てきたでござる。

 うっかり公爵は皇帝の病床をよく訪れていたというし、最も気安く話せる貴族だとも聞く。

 遺書を持っていてもおかしくはないか。


「婿殿の死の直後に渡されたのだ」

「ガレリウス第一皇子の?」

「ああ。思い返せば、あれがコンスタンティヌスの意識がハッキリしていた最後の時だったように思う」


 目を閉じ、眉間のしわを深くするうっかり公爵。


「わしはもう隠居の身の上だ。わしが持つには重過ぎる」

「内容は確認した?」

「いや、見てはおらん」

「遺書かもしれないけど、個人的なお別れの言葉なんじゃないの? じっちゃんが持ってた方がいいんじゃないかな?」


 だってうっかり公爵頼りないもん。

 大事な手紙を委ねられるかな?

 しかし頭を振るうっかり公爵。


「コンスタンティヌスは言ったのだ。この手紙を託す、カル帝国を頼む、と」

「じゃあ重要な内容っぽいねえ」

「リキニウスちゃんの出番なのかと、年甲斐もなく舞い上がってしまってな」


 あ、だからリキニウスちゃんを皇帝にって話が出てきたのか。

 単なるうっかり公爵の妄想だけじゃなかったんだ。

 でもリキニウスちゃんを皇帝にってのが陛下の意思なら、いろんな人に言うと思うがなあ?

 だってリキニウスちゃんには政治的な実力がないもん。

 陛下がこう考えてるんだってことを皆に知らしめないと、国がまとまらない。


「この手紙には、陛下が指名した次期皇帝の名が記されている。という可能性が高かろうと思うのだ。ユーラシア君はどう見る?」

「状況的にはありそーだね」


 皇帝陛下の病室に入れる有力者は多くはないだろう。

 そして次期皇帝の名を記した手紙なんか、さすがに有力皇子の実母である皇妃様には渡せまい。

 だからガレリウス第一皇子が亡くなり、利害関係者から外れたように見えるうっかり公爵に託した。

 陛下もうっかり公爵がリキニウスちゃんフィーバーを起こすとは考えてなかったんだろうと思えば、自然なことなんじゃないかな。


「でもあたしは陛下に会ったことないから、どういう人だかわかんない」

「そうか? しかしユーラシア君もよく知っているドミティウス殿、ルキウス殿、ウルピウス殿の父であるぞ?」

「……改めて言われると大した人だね」


 子供に優秀な人が多いのに、父親が凡人てのは確かに考えにくいなあ。

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