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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1546話:おっぱいさんの結婚でお嘆きの貴兄に

 フイィィーンシュパパパッ。


「このくらいの時間だとお目覚めですかね?」

「多分ね」

「お目覚めだと思うぬ」


 移民の新輸送隊員を帰してから、うちの子達を連れて塔の村にやって来た。

 新輸送隊員用のパワーカード購入と、リリーに会うのが目的だ。

 ギルドで買うと、アルアさんの工房の素材の備蓄が不安だからな。

 塔の村の素材の量は問題ないだろ。

 さてリリーは、と。


「いたぬ!」

「予想通りだな。おーい、リリー!」

「ユーラシアではないか」


 若干まだ眠そうな太眉の皇女リリー。


「プリンスとパウリーネさんの結婚式とパレードの日が決まったんだ。今月の一七日」

「何? 随分と急なことではないか」

「まー急にせざるを得ない事情もあるんでしょ」


 できる従者黒服は皇帝陛下がいよいよ危ないということに気付いたようだ。

 しかしリリーはのん気に言う。


「パウリーネが二〇歳になる前にということか」


 パウリーネさんの誕生日は知らんけれども。


「リリーの予定はどうなる? 式には参加するんでしょ?」

「うむ。ルキウス兄様はお忙しいのか?」

「いや、大使のお仕事は忙しいことないよ。式の二日前に帝都に連れてきてくれと、フリードリヒ公爵に言われたんだ。その旨をついさっきプリンスに伝えたとこ」

「では我も一緒に連れていってくれるか?」

「りょーかーい。じゃあ一五日ね。朝迎えに来るから、起きててよ?」

「多大な苦難があると思うが、前向きに善処する」


 大丈夫かよ。

 メッチャ不安だな。

 まあ少々遅れたって、特に問題ないだろうけど。


「しかしかなり急ぎの結婚だの。ドレスは間に合うのかの?」

「ドレスの仕立てに目処がついたから結婚だって、フリードリヒさんは言ってたよ」

「ルキウス兄様のスーツは?」

「えっ、新しいのいる?」

「必要であろ?」


 男は何を着たって変わりないような気も。


「花婿は式で白、パレードで黒が基本なのだ。ルキウス兄様も黒はともかく、白は持っていないだろうしの」

「セレシアの店で仕立てているぬよ?」

「そーなの? ヴィルはよく調べてて偉いな」


 ぎゅっとしたろ。

 セレシアさんとこ男物はオーソドックスだし、仕事が早いから大丈夫だろ。

 じゃあプリンスルキウスの結婚式関係はいいとして。


「ゼムリヤの魔物駆除係の三人、どうなってる?」

「うむ、セバスチャンが鍛え上げておるぞ。もう少しだ」

「結局黒服さんが鍛えてるのか。ゼムリヤに連れて帰るのは、結婚式より前の方がいいよね?」

「そうだの。さらに二日前、一三日の都合はどうか?」

「平気だよ。じゃ、一三日の昼前に迎えに来るね」


 式にはメルヒオールさんも出席するかな?

 リリー達に会えて嬉しいだろうな。

 あたしもパレードの方は見ときたい気がする。


「リリーはこれから御飯なの?」

「いや、朝食を食べたら眠くなってしまってな。眠気覚ましに散歩していたところだったのだ」

「もう食べたんかい。ついさっきまで寝ててまだ眠いんかい。朝食じゃなくて昼食な?」

「ツッコミが慌しいの」

「焦点が絞れなかったよ。あたしとしたことが」


 アハハと笑い合う。

 リリーとお昼しようかと思ってうちの子達連れてきたけど、ギルド行こうかな。


「またねー」

「バイバイぬ!」


 さて、コルム兄の店へ行ってパワーカード買ってくるか。

 その後ギルドでお昼だな。


          ◇


「おい、どういうことだよ?」


 ギルドに来たら、いきなり依頼受付所でダンに捕まった。

 おっぱいさんも扱いかねてるみたいだな。

 ラブい雰囲気はないから、オニオンさんとの新婚生活関係ではない。

 しかしダンは、おっぱいさんなら事情を知ってるんじゃないかと考えている件だ。

 そしておっぱいさんが答えるのを保留している。

 となれば……。


「可哀そうなあたしはお腹をすかせているのです」

「奢ってやるから」

「やたっ! ダンいい男!」

「まったく調子がいいぜ。一昨日リリー皇女と従者がギルドに来たんだ。あんたから転移の玉をもらったと言って」


 やはり転移の玉の件か。


「ユーラシアは何で転移の玉を配ってるんだって聞いたら、それは言えぬ約束なのだ、と」

「もーリリーは隠すの下手なんだから」

「どういうことだよ?」


 変に騒がれる前に、情報屋のダンには話しておくべきだな。

 内緒話モード発動。


「『アトラスの冒険者』が廃止される」

「!」


 うむ、おっぱいさんは既に承知だな。


「『アトラスの冒険者』の転送魔法陣と転移の玉は使えなくなるんだ。皆が困るし、ドーラが混乱するじゃん? だから転移の玉を作って皆に配ろうかと思って。リリーともう一人、画集にも載ってる火魔法使いレイカに、ドワーフに作ってもらった試作の転移の玉を持たせたの」

「……『アトラスの冒険者』廃止後も、同様の組織をってことか?」

「丸っきり同じことはムリだけどね」

「転移の玉だけあっても仕方ねえだろ」

「ギルドに各地へ飛べる転移石碑を置く。主要な町や村と魔境に行ければ、かなりのことができると考えているんだ」

「おお? 美少女精霊使いは伊達じゃねえな」

「美少女精霊使いは伊達じゃないんだよ」


 実に気分がいいなあ。


「廃止の時期は飽魚の月末、ギルドの職員にはその三ヶ月前に、冒険者には一ヶ月前に知らされることになってるんだ。それまで秘密にしといてくれる?」

「わかったぜ。だがどうして秘密なんだ?」

「廃止のことはバエちゃんが親切で教えてくれたんだけどさ。この話が漏れて騒ぎになっちゃうと、バエちゃんの情報管理責任が問われるの。せっかく知らせてくれたのに罰則では申し訳ないじゃん?」

「あんたが転移の玉をわざわざ作らせ、二人にやったっていう事実は誤魔化しようがねえだろ。俺みたいに不審に思うやつは必ず出てくるぞ?」


 リリーには黒服が、レイカにはジンがついてるから、聞かれたら適当に誤魔化してくれると思ってたけど甘かったわ。

 しからば……。


「サクラさんの結婚でお嘆きの貴兄に、聖女なあたしが美少女を調達しましたって言っときゃいいじゃん。この事情はリリーとレイカに話してないから、あんまり突っ込むと遊びに来なくなっちゃうぞって」


 単純な人は納得するだろうし、納得しない人はあたしが煙に巻こうとするってことは言えない事情があると察するだろ。

 内緒話モード解除。


「さあ、昼御飯をごちそーになろうじゃないか」

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