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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1540話:花束を渡す役

「ここで出してくれるお茶はおいしいな」

「本当ですね」


 アーベントロート公爵家邸で、フリードリヒさんを待っている間に淹れてくれたものだ。

 この前もおいしかった。

 確かズデーテン産とか。

 皇女のルーネが感心してるくらいだから、やはり相当なものなのだろう。


「やあ、待たせたかい?」


 フリードリヒさんとパウリーネさん、パスカル君が出てきた。


「こんにちはー。移動御苦労様。疲れてない?」

「ハハッ、心配してもらうまでもないよ」

「ルキウス叔父様と結婚されるそうで、おめでとうございます!」

「ありがとうございます!」


 おーおー、ルーネとパウリーネさんがいきなり盛り上がって。

 フリードリヒさんが興味深げだ。


「ルーネロッテ様か。しばらく見ない内に、魅力的になられましたね」

「いえいえ、そんな」

「そんなことあるよ。パスカル君がルーネをガン見してるでしょ? あれはただ今ロックオン中のサインだよ」

「狙われているのですね?」

「オレが何も言わない内に!」

「パスカル君はあたしにもモーションをかけてきたくらい気が多いんだ。よっぽど注意した方がいい」

「台無しだ!」

「台無しだぬ!」


 大笑い。

 注意するのはパスカル君の方だぞ?

 下手にルーネに手を出そうものなら、お父ちゃん閣下のプレッシャー半端ないぞ?

 もう少し周りをよく観察してからアクションを起こしなさい。


「結婚式とパレードの、大体のスケジュールはどうなっているのかな?」

「今月の一七日が式とパレードですよ」

「前々日にはルキウス様に帝都入りしてもらいたいんだ」

「お手紙にはそう書いておきますね」


 帝都に戻ってきて使用人達から状況を聞き、プリンスルキウスが前々日くらいに帝都入りすれば間に合うということらしい。


「オーケー。あたしも一応、プリンスに直接伝えとく」

「結婚後のことは聞いてないかい?」

「在ドーラ大使のお仕事の方? いや、どーなんだろ?」


 ラグランド総督ホルガーさんの任期が今月一杯。

 在ドーラ大使に横滑りだが、ラグランドは引継ぎに時間かかるんじゃないかなあ?

 プリンスの在ドーラ大使の本来の任期はもっと先だから、ラグランドの都合次第になるのでは?

 フリードリヒさんが言う。


「次期ラグランド総督は重要だ。なまなかの実力じゃ務まらないよ」

「うん、柔軟な姿勢の人がいいけど」

「となると選択肢は多くない。おそらくはジェロン伯爵だな」


 アデラちゃんの前の植民地大臣だそーな。


「彼は現在無役だ。早めにラグランド入りするんじゃないか。在ドーラ大使の引継ぎはどうなんだい?」

「ドーラはのんびりしてるから、仕事はあんまりないよ。移民と貿易に関することくらい。引継ぎなんかプリンスいなくてもいいと思う」


 仕事の内容よりむしろ、帝国で重要な位置にいる人が派遣されてくることが大事。


「じゃあルキウス様は来月すぐに帝都入り。次席執政官就任が濃厚だな」


 ……遠回りで話に入ったな。

 フリードリヒさんは何かあたしに言いたいことがあるみたいだけど。


「パウリーネの結婚披露パレードの演出でね。中央広場から皇宮まで、ルキウス様がパウリーネをお姫様抱っこして歩くってことだったろう?」

「とても素敵です!」


 ルーネが感動してら。

 パウリーネさんも嬉しそうだし。


「皇宮でルキウス様とパウリーネを仲立ちしたユーラシア君が待っていて、花束を二人に渡すのはどうだろうって考えていたんだよ」

「働いてたのはあたしじゃなくてヴィルだけどね」


 意味深な目であたしを見つめるフリードリヒさん。

 ドーラ人の平民かつ知名度のあるあたしが花束贈呈となれば、ドーラの存在感を増すことができる。

 身分に隔てのないプリンスの姿勢もアピールできそうではあるが……。

 ……どうやらあたしに言わせようとしているらしい。


「……あたしよりルーネの方が適任だな」

「えっ?」

「ユーラシア君もそう思うかい?」

「うん」


 パウリーネさんとパスカル君に驚きがない。

 事前に聞いていたようだ。

 フリードリヒさんやるな。


「光栄ではありますけれど……よろしいんでしょうか?」


 戸惑うルーネ。

 これは裏を説明しとくべきだと思うけど。

 え? 帝国貴族として憚りがあるから、あたしから話せって?

 了解、ぶっちゃけてしまえ。


「こんなこと話してごめんよ。まことに遺憾なことながら、もうすぐ皇帝陛下が亡くなるでしょ?」

「は、はい」

「陛下は皇太子を定めてないから、次の皇帝が誰になるかの争いになっちゃいそうなんだよ。有力な候補者が四、五人いるけど、セウェルス殿下が精神病で脱落。フロリアヌス殿下が年若で政治に詳しいと言えない、やる気もあんまりなさそうとなると、実質お父ちゃん閣下とプリンスルキウスの一騎打ちになると思われる。ここまでいいかな?」

「わかります」


 背筋が伸びてきちんとした聞く姿勢を見せるルーネ。

 皇女だけのことはあるなあ。

 次期皇帝については、ルーネも考えていることがあったのかもしれない。


「ここであたしが花束贈呈役をやるとするよ? あたしはドーラに詳しいプリンスルキウスが次の皇帝だとありがたいと、個人的には思ってるんだ。するとしょっちゅう施政館に出入りしているにも拘らず、あたしはルキウス派なのか? 施政館を探ってるのか? って憶測する人が出てきそう。それが引き金になってお父ちゃん閣下派とプリンスルキウス派に分裂、次期皇帝を巡って激烈な争いにならないとも限らない。次期皇帝が決定してからも、対立は尾を引きそうじゃない? 帝国にとって実によろしくない」

「はい」

「じゃああたしじゃなくて、ルーネが花束渡す係だとどうなる?」

「……お父様とルキウス叔父様の間に、特に溝はないと思わせることができる?」

「そうそう。どっちが皇帝になろうと大事になんないなと人々に思われれば、皆が安心でしょ?」

「はい」

「ルーネロッテ様は社交界デビューもまだでいらしたでしょう? 最初のお披露目としては最高だと思いますよ」


 あ、そーゆー視点もあるのか。

 お父ちゃん閣下が喜びそう。


「あたしの立場としてもなー。ドーラ人が皇位に干渉するわけにいかないじゃん。お父ちゃん閣下と仲悪いわけでもないし」


 フリードリヒさんが君干渉する気満々だろって顔してるけど、あからさまなことはやんないわ。

 口で言ってるだけだわ。

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